摩訶不思議探偵局〜深間小学校殺人事件〜真相編
容疑者リスト
兜剣(かぶとつるぎ)…【警部】
猫山剣事(ねこやまけんじ)…【警部補】
小鳥遊市医(たかなしいちい)…【鑑識】
新井光(あらいみつる)…【教師】
原美奈子(はらみなこ)…【教師】
市野瀬明良(いちのせあきら)…【教師】
とろとろ(とろとろ)…【教師】
27(27)…【教師】
末吉(すえよし)…【教師】
はしがき;さて、では真相編です。あなたの推理は当たってますか?


真解「この事件、ボクらの勝利だ!」
 真解がそう叫ぶと、全員、黙った。
真実「そ…それで…犯人は誰なの?」
兜「おいこら。勝手に話しを進めるな」
謎「話しぐらい聞いてくれてもいいんじゃありませんか」
兜「…聞くだけな」
 真解がニヤリと笑った。
真解「じゃ、ボクの推理ショーをはじめよう」
末吉「本当に…??」
原「これでもし推理が的中したら、天才少年…」
 全員が、信じられないような目で真解を見た。
真解「まずは、密室の謎からの説明を…。この部屋。実は密室のようで、完全な密室じゃなかったんです」
兜「なに!?どういうことだ坊主!」
 真解はドアに歩み寄って、鍵穴を指差した。
真解「ここ。実は空いてるんです。覗こうと思えば、中が覗けるしね」
猫山「確かにそうだけど…。でも、それが何か?」
新井「そんな小さな穴だけじゃぁ、どうやって中にいる校長を殺すんだい?」
真解「簡単ですよ。凶器を思い出してみりゃ、一発さ」
27「凶器?」
 全員、一斉に凶器を思い出した。
兜「バカ。凶器は小さな針じゃねえか。どうやってこの小さな穴から刺すと言うんだ?」
真解「誰も、刺したとは言っていない」
兜「なに?」
真解「刺したんじゃなくて、射ったんだよ」
全員「ええ!?」
謎事「ど、どうやって?」
謎「あんな小さな針を、ダーツにしたの?」
真解「そうじゃない。なぁ、あの針、どっかで見たろ?」
謎事「どっかで…って…?」
真実「あ…さっきの授業の…吹き矢の矢!?」
 真実が言うと、全員が驚いた。
新井「なんだって!?」
市野瀬「さっきの授業!?」
とろとろ「ちょ…ちょっとまて…」
27「君達のクラスの担任は……」
末吉「は……原先生!?」
 全員が息をのみ、原の方を向いた。
原「!?」
真解「そう…。犯人は…先生でしょ?」
原「ちょ…ちょっと待ってよ、なんでわたしが?一番アリバイがはっきりしてるじゃない。わたしが授業の終わった直後にここに来て、その直後に真解君達が来たじゃない」
真実「そういえばそうねぇ…」
謎事「真解、ほんの一瞬で殺人か?」
真解「まぁ、いま言った方法を使えば、一瞬あれば簡単に校長先生を殺すことができる」
兜「馬鹿な…」
真解「ま、ある程度の運も重なったんだろうけどね」
原「……で、でも、ちょっとまってよ。そんな吹き矢なんて、どこにでもあるじゃないの」
 また全員が「確かに」と言った表情を見せた。
真解「確かにそうです」
原「ほら…。それじゃぁ、わたしが射ったって言う証拠がないでしょ?ダメよ?」
 原は急に優しくなっていった。
真解「証拠なら、ありますよ」
 真解がこういうと、優しくなった表情がまたこわばった。
兜「まさか…」
末吉「おいおい、真解君。いくらなんでも、そんな証拠があるわけないだろう」
小鳥遊「鑑識の結果でも、指紋が出なかったし」
とろとろ「それでも証拠があるのか?」
 1文字、2文字、3文字、4文字と連続攻撃を受けても、真解には効かなかった。
真解「あるから言ってるんですよ」
27「その証拠とは?」
真解「ズバリ、先生がいま持っているハズの吹き矢ですよ」
 真解が原を睨んだ。
真実「先生が今もっている吹き矢…?」
謎事「そりゃ持ってるだろ。さっきの授業でみんなに見せたんだから」
謎「確かに真解の推理なら凶器みたいだけど…」
真解「凶器さ」
小鳥遊「本当に…?」
真解「その証拠は、先生の持っている吹き矢を調べてみればわかりますよ」
原「な、なんでよ」
真解「先生がここに来たすぐ後に、ボクらがここに来た…。そして、その後すぐに校長先生が死んでいる事がわかり、またすぐに警察が来た」
真実「うん」
真解「ところで死因はなんでしたっけ?」
小鳥遊「え?毒殺だけど?」
真解「そう、それも矢に塗った毒…ね。矢に塗った毒は、吹き矢の筒の中に入れた時、当然筒の内側に付着する。しかし、先生にはそれを拭うだけの時間的余裕が無かったはず。となれば?」
猫山「吹き矢の内側に………」
 全員が一斉に原を見た。
兜「吹き矢を見せて貰いましょうか??ここに鑑識もいることですから」
原「…………‥‥‥・・」
 原がポケットから吹き矢を取り出した。
 小鳥遊がそれを取った。
謎事「ま…まさか…先生が…本当に…やったんですか?」
原「ええ」
真解「なんで?なんでですか!?」
原「わたしは…脅迫されていたのよ」
兜「きょ…脅迫!?」
新井「な…なにをしたんですか…」
原「わたしは…なにも…してない」
市野瀬「え?」
新井「じゃぁ、なぜ?」
 全員が黙り、原を見つめた。
原「多分、校長室にあると思うわ。わたしの無実の罪の写真が」
小鳥遊「どういう意味ですか?」
原「万引きの写真よ」
猫山「万引き?」
兜「探せ」
猫山「ヘイ」
 猫山と小鳥遊が校長室に入っていき、写真を探しはじめた。
 原はそんな2人を横目に、話しを続けた。
原「もちろんわたしはそんなことしていないわ。多分、他人の空似か…合成のどちらか」
兜「まさか、その写真を突きつけられて?」
原「ええ」
猫山「あ、ありました」
 猫山が兜に向かっていった。
 兜がその写真を見た。
兜「なるほど…な。これはどうみても原さん、あなただ」
 その写真には、原がバッグの中に何かを入れる写真が写っていた。写真現場はどこかのスーパーのようだ。
小鳥遊「この写真が合成かどうか…署で調べてみますね」
兜「ああ」
猫山「それと、あんたも来てもらう」
原「ええ」
 原の手に手錠がかけられ、原が行こうとした時、真解が叫んだ。
真解「待って下さい!」
兜「なに?」
 4人は立ち止まり、振り向いた。
真解「先生は……先生は、何もしていないのにさもしたかのように言われて脅迫されたんですよ?つまり、校長先生は悪い人だった…。悪人をこらしめたのに…」
兜「……悪人だろうがなんだろうが、殺してはいけない」
真解「なんで…?」
兜「そういう決まりだ」
真解「そんな…。それに先生だって」
原「え?」
真解「先生、何もやってないんでしょ?それだったら、堂々としていたっていいじゃないですか!なんで、ビクビクするんですか?無実の罪に…」
原「あんな写真があったら…ね」
真解「あんな写真っていったって、偽者なんでしょ!?先生は、悪人じゃないんでしょ?」
原「・・そういうことになるわね」
真解「なら、なんでビクビクするの!?堂々としていればよかったのに!正義は必ず勝つんだから…」
原「正義ね…。真解君。この世は、正義が負けるように出来てるの」
真解「え?」
原「正義は勝てない…。悪が勝って、悪が得して、悪が世界を動かす…。正義なんてものは…」
真解「どうして?そんなのおかしいよ」
原「そう。おかしいの。いい?真解君達。あなた達で、このおかしな仕組みを直しなさい」
真解「………。はい。もちろん」
 そうは言ったものの、真解には意味が良く解らなかった。

 パトカーの中で、猫山は兜に話し掛けた。
猫山「それにしても親分、あの坊や…凄かったですね」
兜「ああ…。人間、大人になるにつれだんだん頭が固くなる。だが、子供は頭が柔らかい。もしかしたら、警察や探偵は、大人よりも子供の方が向いているのかしれないな」
小鳥遊「そうですね」
原「……子供の…純粋な心なら…悪を無くすことが…出来るかもしれない…」
兜「……あいつらなら、やりかねないな」
原「……………」

 次の日、深間小学校には大量の報道陣が詰め寄せた。
 学校で密室殺人事件がおこっただけでなく、さらにそれを3年生が解決したの言うのだから、食いつかない手はない。
リポーター1「彼が、その、名少年探偵です!彼がこの事件の謎を解き明かしました」
 ほとんどのリポーターはこういった。そのたびに真解は「実際には、ボク1人じゃないんだけどね」と言った。
リポーター2「彼らは、まさに、摩訶不思議探偵団、とでも言いましょうか」
 リポーター達が懸命にリポートを続けていた。


真解(そしてあの事件の直後、ボクらは探偵団を結成することにした。あの時のリポーターの1人が発した『摩訶不思議探偵団』と言う言葉に引かれたのと、”悪を無くす”ために…。そして、その3年後…ボクらは探偵局を作った。あの忌々しい事件をきっかけに…)
真実「よし、出来た!」
 真解がボーっとしていると、真実が横で叫んだ。
真解「ウワッ☆!?ま…真実?いつのまに戻ってきたんだ!?」
真実「だいぶ前よ。ねぇ?」
謎事「ああ。お前、ずーっと考え事してるんだもんな」
謎「実相君、物を考えながらでも周りに注意が行かないと、探偵は務まりませんよ?」
真解「ははははは…まぁ、頑張ってみるよ」
真実「で、お兄ちゃん」
真解「ん?」
真実「このホームページ、どうどう?公開してもいい?」
真解「う〜ん…」
 真解がパソコンの画面を見つめた。
真解「まぁ…別にいいけど」
真実「ホントに!?やった〜!!」
 真実が真解に思いっきり抱き付いた。
真解「だ、だから抱き付くなっつうに!!」
謎「ホント…仲いいわね。2人とも」
謎事「ああ。“恋人”みたいだよな」
真実「恋人よ♪」
真解(真実がいる限り…オレは一生恋愛が出来ないんだろうか?)
 5年前の事件をきっかけに、4人の少年少女は探偵団を結成した。
 推理の天才、実相真解。
 桁外れの記憶力を持つ理系少女、実相真実。
 鋭い観察眼と五感の持ち主、相上謎事。
 桁外れの知識の持ち主、事河謎。
 4人の少年少女達の物語りが、いま始まる。

Finish and Countinue

〜あとがき〜
いかがでしたでしょうか?最初の事件。
「これは序章だったんかいな!」って言う突っ込みは無しです。
ま、いいじゃないですか。別に。
真解「まぁ…始まりにはすぎないけどさ…」
今回の事件は、ほとんど登場人物の紹介程度のつもりで書きました。
真実「すごい、軽い気持ちってわけね」
そういうこと。
まぁ、実際には出てきてないレギュラー陣がまだいるんだけどね。
真実「たしか、事件編のあとがきでも似たような事言ってたわよね」
まぁね。次回をお楽しみに、ってなわけだ。
謎事「商売上手だな」
なんだよ…その言い方。ってか、商売じゃないし。
謎「確かにそうね」
ま、摩訶不思議探偵局はこんな感じで進んでいきます。
それと、最初と最後の真実の行動でわかった方もいると思いますが、今回の小説、若干恋愛要素も加わります。
あと、今回はあまり存在しなさそうな名前を使いましたが、これからもこうなるとは限りません。
どういう事かというと、だんだんそのうち、そこらへんにいそうな名前がどんどん出てくる可能性があるってことです。
つまり、あなたの本名がこの小説に登場する可能性も、十分あるってことです。
また、その人が殺されるかもしれませんし、犯人かもしれません。
それと、名前は本当に適当。どっかで聞いたことのあるようなないような名前を組み合わせ、完成させるので、そのうちボクの気がつかないうちにどっかの有名人の名前がドーンと出てくる可能性もありますが、全てフィクションなので、あしからず。

それでは、正解者発表。
犯人が解った方>27さん、↓
トリックが解った方>↓
謎が全て解けた方>A.Kさん、山口祐さん
え〜…この方達には、そのうち何か送ります。

そうそう、余談ですが、今回の小説を書き終えた後、探偵学園Qというマンガの第8巻を買ったんですよね。
そしたら、この事件とそっくりな事件があったんですよ!
驚いた……。

〜次回予告〜
「これ…ほ…本物の…死体だ!」
次回はとある遊園地での殺人事件。
お化け屋敷で本物の死体が発見!
通路の横から、さも生きているかのように現れた謎の死体。
さらに、新たなレギュラー陣登場!
次回『幽霊屋敷殺人事件』をお楽しみに。

おまけコーナーは、次回からやります♪
では、また次回、お会いしましょう!

作者;黄黒真直

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