摩訶不思議探偵局〜幽霊屋敷殺人事件〜
容疑者リスト
江戸川乱歩(えどがわらんぽ)…【ジャーナリスト】
橋口尚子(はしぐちなおこ)…【江戸川乱歩の友人】
橋口徹(はしぐちとおる)…【橋口尚子の夫】
島川涼子(しまがわりょうこ)…【江戸川乱歩の友人&被害者の妻】
はしがき;さて、レギュラー陣は一体、誰でしょうか!?(何か違う

摩訶不思議探偵局〜幽霊屋敷殺人事件〜事件・推理編

 謎事の叫び声は幽霊屋敷中に響き渡った。当然、真解、真実のところにも届いた。
真解「お、叫んでる叫んでる。あれ、謎事の声じゃないか?やっぱり、怖いんだな」
真実「でも…そんなに叫ぶのあったっけ?」
 真実が不思議がると、後方から「真解!戻ってこい!」と言う謎事の声がした。
真解「ん?なにがあったんだ?」
 一瞬真解が立ち止まり、後ろを振り向いた。
 と、また謎事の声がした。
「本物の死体だ!!」
 このセリフには、真解はもちろん真実も驚いた。

 真解と真実が戻ると、メイだけがいた。
真実「あれ?謎事君は?」
謎「係官に警察を呼ぶように言いに行った」
 謎が震えながら言った。こういう場所は、相当苦手らしい。
「何があったの!?」と言う声とともに、乱歩達が前方からやって来た。どうやら、謎事の「本物の死体だ!!」と言う声が聞こえたらしい。
涼子「どうしたの!?いったい……っ!?」
 涼子が息をのみ、その場に倒れた。

兜「つまり…謎事とメイ嬢がここを通ったとき、横から死体が倒れてきたと?」
 数分後、やってきた警察には、兜引き入る例の三人組みがいた。
 兜は例によってまたタバコを吸っている。
猫山「タイミングよく?」
小鳥遊「そんな生きているみたいに?」
謎事「ええ。そうです」
兜「ところで…気になるのは…江戸川リポーター。何故ここにいる?」
江戸川「だから、今はジャーナリストだって言ってるでしょ!?」
真実「あれ?お2人とも知り合いなんですか?」
真解「まぁ、ジャーナリストと警察だ。顔を合わせることはしょっちゅうだろう」
真実「そっか☆」
兜「ああ、そのとおりだ」
 兜が少し不機嫌そうに言った。そして「何故いるんだ?」ともう一度聞いた。
江戸川「始めっからいたんだから、しょうがないでしょ」
兜「…ということは、江戸川リポーター、お前も容疑者か」
江戸川「ジャーナリストだっていってるでしょ!」
 兜と江戸川のこういうやり取りには慣れているのか、猫山が代わりに事情聴取を始めた。
 とりあえずだいたいの状況を把握したところで、やっと兜と江戸川の口論もおさまった。猫山は兜に内容を告げた。
兜「なるほど…だいたい事情はわかった。つまりみなさんは全員、謎事の悲鳴が聞こえたって言うわけですね?」
徹「ええ。そうです」
兜「そういえば…事件のあったとき、お化け屋敷にいた人物は…?」
 係員が現れて言った。
係員「いま、ここにいらっしゃる方々のみです。それと、外ですが入り口の所にわたしが、出口の所にもう1人の係員がいました」
 兜がうなり、真解に小声で話し掛けた。5年前はケチつけてたわりに、今ではすっかり頼っているようだ。
兜「おい真解。なんか犯人を見つける手がかりはないか?」
真解「う〜ん……。あ、そうだ。みなさんがどの位置で悲鳴を聞いたか…それを教えてください」
徹「えっと…そんなこと言われてもなぁ…口じゃぁ…」
 徹がそいうったとき、猫山が地図を持ってきた。
猫山「これ、この化け物屋敷の地図です」
徹「そうそう、そういうのがなくちゃ…。僕がいたのは、たぶんここです。ここ」
 徹は地図を見て、すぐに自分がいた場所を指した。
真解(なんでそんなすぐわかるんだよ!)
 徹が指差したのは、お化け屋敷の中間あたりにある、迷路の入り口。
徹「『ここから迷路』って書かれた看板を見つけたときに、悲鳴が聞こえたんだ」
兜「ほぅ…そんな間抜けな看板が立ってたのか?」
徹「立ってました」
 どちらも真顔で会話した。
 尚子がいたのは、そのすぐうしろ。壁には血を口から吐き出すお化け(?)がいる場所である。
尚子「ちょうど、口から血が吹き出た瞬間だったわ。まぁ、『キャッ』って言った瞬間でもあったけど…」
 涼子がいたのは、真っ直ぐな道。
涼子「一見何もないんで、油断していたら急に亡霊のようなうめき声が聞こえて…で、その瞬間に悲鳴を…聞いたんです…」
 乱歩がいたのは、涼子からちょっと離れたところのろくろ首がいたところ。
江戸川「人の死体……じゃなくって、お化けが大量に壁にいてね。で、そのうちの一人の首が伸びた瞬間に、悲鳴を聞いたわ」
 全員の話しを聞いて、全員の位置関係を真解は地図にまとめた。
真解「う〜ん…ん?待てよ…?」
兜「お?どうした?なにかわかったか!?」
 兜が聞いたが、真解は黙って考え出した。
真解(島川俊男さんは、江戸川さんの前、涼子さんの後に入って行った。だけど…実際に死体となって現れたところは謎事と謎の横から。つまり、江戸川さんとボクと真実が横を通ったってこと……………。だからなんだ?壁には大量のどう見ても死体のお化けがいたんだ。死体の一つや二つ、簡単に隠せるじゃないか。こんなの、謎でもなんでも無いぞ)
 真解が自分に突っ込みを入れ、なにか他に聞く事を考えていると、小鳥遊がやってきた。
小鳥遊「警部。ちょっと妙なことが…」
兜「妙なこと?」
小鳥遊「ええ」
 真解も気になり、そばによった。
小鳥遊「被害者…島川俊男さんの足に、ピアノ線だか釣り糸だか、なんだかわかりませんが、細い糸を絡ませたような跡があるんですよ」
兜「釣り糸だぁ?」
小鳥遊「ええ。それが何を意味するか分かりませんが…。あ、あとそれともう一つ」
兜「なんだ?」
小鳥遊「死斑(しはん)等の様子から、死体が壁に立て掛けられていたことがわかったんです」
兜「立て掛けられていた?当たり前じゃないか」
小鳥遊「あ、いえその…斜めに立て掛けられていたんです」
兜「斜め?」
小鳥遊「ええ。頭が壁に寄りかかってるんです。つまり…地震でも起こらない限り、あのお化け屋敷の中で死体が倒れることは有り得ないんですよ」
兜「なんだと?」
 ”妙なこと”の意味がわかり、兜が驚いた。
兜「じゃぁ、なんで死体が倒れてきたんだ?」
小鳥遊「さぁ…?でも、そこになにか事件を解くカギがあるような気がするんです」
真解(細い糸に、立て掛けられた死体…か。………ってことは、犯人は足にかけられた釣り糸を引っ張って、死体を転倒させた、と言うことか)
 真解はあっさりと解いた。
真解(これじゃ、手がかりにはならんな…)
 と思った矢先、真解はふと気が付いた。
真解(ん?まてよ…)
真解「おい、真実」
真実「なに?」
真解「壁に立て掛けた死体を、足に引っ掛けた細い糸だけで前へ転倒させるには、どこから引っ張ればいい?」
真実「え…?う〜ん……単純に考えれば上か後ろからだけど…横に物があったり、かなりバランスが悪かったり…いろいろ条件が揃えば、横から引っ張っても前へ倒すことは出来るんじゃないかな?島川さんの足に細い糸が絡まってたの?」
真解「ああ。そんな跡があったらしい」
真実「と言うことは?」
真解「離れていても、死体を倒すことは出来た…と言うことだ」
 真解が兜達のところへ戻った。兜達は、未だに「何故死体が倒れてきたか?」という謎を懸命に考えている。
真解「なぁ、兜警部」
兜「お、なんだ?死体が倒れた謎が解ったか?」
真解「……………」
 真解は冷ややかな目で兜を見つめた。
兜「な…なんだ、その目は」
真解「死体の足に釣り糸が付いていたんだから、それ引っ張りゃ簡単に倒せるでしょう?」
兜「あ…おお、そうだ。そうだった。忘れてた」
真解(忘れるなよ!!)
 真解はどことなく込み上げてくる怒りを押さえ、兜に言った。
真解「犯人は、まだその糸を持っている可能性がある。すぐに調べてみてください」
兜「よし、わかった」
 兜が容疑者達のところへ行った。
兜「え〜…みなさん。ちょっと、荷物を調べさせていただきたいのですが」
徹「荷物?凶器は死体に刺さっていたじゃないですか」
兜「いえ、凶器ではなく、死体の足になにか釣り糸かピアノ線のようなものが絡ませてあった形跡が見つかったのです」
涼子「その釣り糸…なにか事件に関係があるんですか?」
兜「あるんです」
尚子「死体を倒すためには、何かで引っ張らなければだめ…それが、その糸ってこと?」
兜「と、この坊主は言っていた」
 兜は、万が一間違っていたときのために責任を真解に押し付けた。
謎事「あんなこといってるぞ…兜警部」
真解「……………江戸川さん。いまのは?」
江戸川「ばっちしテープにとってあるわよ。お偉いさんに聞かせたら、なんと言うかしら?」
 それを聞いて、兜が慌てて
兜「前言撤回、前言撤回!!」
 と叫んだ。
江戸川「ま、いいわ。ほら、わたしの荷物」
 江戸川に続き、あとの3人も荷物をさしだした。
 それを、鑑識である小鳥遊が調べ始めた。
真実「なにが入っているのかな?」
 小鳥遊が、手厚く荷物の中身を取りだした。
 真解達と兜達がそれを覗き込む。
 兜は唸りながら吸い殻で一杯の携帯灰皿に吸い殻を詰め込み、またタバコを取り出した。
 余談だが、タバコの煙の主成分はニコチンという猛毒である。ニコチンの致死量は約50mg。幼児にいたってはたったの10mgである。タバコ一本には約10mgのニコチンが含まれているため、タバコを幼児が飲み込むと、とんでもないことになるので注意が必要だ。
 兜のように、携帯灰皿一杯の吸い殻を使えば、ヒト1人殺すことは何てことないだろう。
謎「得にこれといって引っ張れそうなものは入ってませんね」
真解「警察が来る前に処分したのか。謎事、怪しい素振りしている人、いなかったか?」
謎事「え?あ〜……う〜ん……」
真解「見てなかったのか?」
謎事「いやほら、オレ係りの人呼ぼうと思って外に出てたし」
謎「肝心なときに役立たないんですね…」
謎事「!?」
 真解から言われるならまだしも、謎から言われると謎事はとことん傷つくらしい。
真解(御愁傷様)
真解「まあ、そんなことはどうでもいい。何か、使えそうな物はないか?」
 真解が荷物を隅から隅まで眺めた。が、やはり特に使えそうな物は無いようだ。
真解「弱ったな…。これじゃ手がかりが全然ねぇ…。警察が幽霊屋敷の中から糸を発見するのを待つしかないか?」
徹「でも、すごい時間かかるんじゃないのか?それじゃ…」
尚子「そうよねぇ。なんたって広いし」
涼子「早く見つけて欲しいわね……」
 夫を殺されたショックがあまりに強いのか、涼子の声はえらく小さい。
真解「しょうがない……身体検査ですね」
兜「それしかないな。ってか、普通はそっちが先だな。よし、橋口徹さんは猫山が、残り3人は婦警が調べろ」
猫山「わかりやした」
 全員が居なくなると、謎事が言った。
謎事「あ、そういえば…」
真解「お、何か気付いたか?」
謎事「ああ。さっきあの人が妙な事言ってたんだけど…」
真実「来たぁっ!!そう来なくっちゃ!!」
真解「真実は少し静かにしてろ」
真実「わたし、今回はセリフ少ないわよ!!」
 怒る真実を横目に、謎事が真解に”妙な事”を言った。
真解「なるほど…言われてみれば妙な気がする…」
謎事「き…気がする??」
真実「それだけ信頼出来ないってことよ」
謎「真実ちゃん…さっきのわたしの一言でただでさえ傷ついてるみたいなんだから、これ以上言うと…」
 真実に言われて少し傷ついた謎事だが、謎に気遣われていることを知り、ちょっと元気になった(こういう男なら、女は扱い易い)。
真解「確かに妙だが、それだけじゃあなんにもならない。なんか他にもないか…?」
 と、猫山と婦警が帰って来た。
兜「どうだった?」
猫山「特にこれと言ったものはないですね。ただ……」
兜「ただ、なんだ?」
猫山「徹さんがメガネを取らないんです。顔の一部だとか言って…」
兜「………公務執行妨害でしょっ引いとけ」
猫山「はぁ……」
兜「で、そっちは?」
婦警「こっちは…涼子さんと尚子さんが乗り物酔いの薬を持っていたぐらいです」
兜「ちっ…」
 それを聞いていた真解は、がっかりしたが、あっと思い出し、真解が小鳥遊に聞いた。
真解「小鳥遊さん、そういえばさっき釣り糸みたいなのが島川さんの足に絡み付いていた形跡があるって言ってましたけど…それ、靴下の上からか下からか、どちらからかわかります?」
小鳥遊「ああ、もちろん。被害者は、冬だというのに靴下を履いていなかったからね」
真解「え?履いていなかった?」
小鳥遊「冬だというのに裸足でサンダル…あれじゃあ、風邪引くよ」
真解「ふぅん…。なら小鳥遊さん、ついでですから、あれを調べてもらえます?」
小鳥遊「あれって?」
 真解が小鳥遊に”あれ”を言った。
小鳥遊「なんでそんなもの……あ…なるほど」
真解「わかりました?あ、あとそれと……………も一緒にお願いします」
小鳥遊「?そっちはよく意味がわからないが…まぁ、調べるよ」
真解「お願いします」
 小鳥遊が去ったあと、真解が言った。
真解「さぁてと……あとは鑑識の結果を待つだけだ」

Countinue

〜あとがき(舞台裏)〜
こんにちは。キグロです。
今回のゲストは実相真実さんです!
真実「どうも☆」
真実に一言。兄を追い回すのは止めようね。
真実「別に追い回してないも〜ん。それより、謎事君はどうなるのよ?」
彼は大丈夫だろう。
江戸川「♪追いかけ〜て、追いかけ〜て、すがりよっるっわたっし♪」
真実「……………」
……………
真実「なに?いまの…」
さぁ…?

さて、第2話の今回。え〜……簡単です(泣)。
真実「前回もそう言ってなかった」
うん…。
真実「『またまた謙遜してぇ』なんて思ったら、本当に簡単で、どんどん推理メールが来るんだもんね」
うるせぃ。
真実「もしかして今回も…?」
うん。ヒント無し。
真実「駄目じゃん」
そんなこと言ったって…。
真実「だいたいさぁ、わたし達書く前にも書いてたんでしょ?自分の納得いく小説書けないわけ?全くもう…」
なんで自分の作ったキャラにそんなこと言われにゃあかんのさ…。
真実「わたしを喋らせてるの、キグロなんだけど」
いや、なんか…そのキャラクターのセリフを書くと、ついついそのキャラクターになりきっちゃうもんだから…。
真実「多重人格ってやつ?ビリー・ミリガン?」
いや、少なくともそれじゃない。

え〜…謎が解けた方は
真実「メールで推理を送ってね☆間違ってもレスしないでね☆メールアドレスは【kiguro2@yahoo.co.jp】だから、間違えないように♪ってかさぁ、キグロ。最初の[kiguro]はわかるけど、その次の[2]ってなによ。2って。あんたヤフーのメールアドレス一個しか持ってないんだから、2って入れる必要無いでしょう??」
黙れ。

おまけの名句珍言集(謎)「※∞∀∂ЦΛΘ!」
解説;謎事が兜に「牛乳」等の乳製品の名前で呼ばれたときに出たセリフ。ちなみにこのセリフは全く同じ形で2度登場する。

作;黄黒真直

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