摩訶不思議探偵局〜近未来体験ツアー殺人事件〜
主な登場人物( )内は読み、【 】内は役
実相真解(みあいまさと)…【生徒】
実相真実(みあいまさみ)…【生徒】
相上謎事(あいうえめいじ)…【生徒】
事河謎(ことがわめい)…【生徒】
三谷伸也(みたみしんや)…【船長】
柴和則(しばかずのり)…【操縦者】
塩澤謙哉(しおざわけんや)…【操縦者】
水谷航介(みずたにこうすけ)…【船医】
事谷哲雄(ことたにてつお)…【乗務員】
小島信(こじましん)…【乗客】
円谷高次(つぶらやこうじ)…【乗客】
片桐神子(かたぎりみこ)…【乗客】
はしがき;今回は、ちょっと現実離れしたお話。でも、いつかきっとこういう日が来ます。

宇宙旅行は全人類の夢だった…。あなたは、その夢の中で殺人を犯したんですよ?

摩訶不思議探偵局〜近未来体験ツアー殺人事件〜プロローグ

真実「お兄ちゃん!お母さん!見て見て!」
 真実が大声を張り上げた。
真解「なんだよ…この家狭いんだから、そんな大声出さなくても聞こえるよ」
母「悪かったわね。狭くて。自分の家建てるとき大きくすれば?」
 真解達の母、美登理(みどり)が真解を睨み付けながら言った。
美登理「で、何それ?」
真実「これね、これね。宇宙の旅が当たるかもしれない抽選券!!」
美登理「ええぇ!?」
真解「おまえ、そんなもん買って来たのかよ? どうせ当たんないぞ」
真実「もう…どうしてお兄ちゃんはそうも冷めてるかなぁ?」
真解「ふん…」
 真解は鼻で笑った。
美登理「えっとどれどれ……抽選で3組の方に当たります!?1組4名様まで!?じゃあ、わたしとお父さんと、真実と真解で、ちょうど行けるわね!!」
真実「え〜…当たったら、わたしとお兄ちゃんと謎ちゃんと謎事君で行きたい」
美登理「!? こ…ここまで育て上げたのは一体誰だと…!」
真実「ともかく、わたしとお兄ちゃんと謎ちゃんと謎事君で行くの!」
美登理「…ちっ」
真解(なんだよ。『ちっ』って…。しかも真実も、当たったみたいな言い方だし。当たる訳ねぇだろ)
 真解は冷めた目で見ていた。

 数週間後、新聞にあの抽選券の当選者発表が載っていた。
真実「どれどれ〜? 当たってるかなぁ??」
真解「当たってるわけないだろう。何人の人がその券を買ったと思ってるんだ?」
真実「えっと…50万人だって。日本の人口は現在1億人だから、200人に1人が買ったってこと。あら、意外と少ないじゃん」
真解「え? 日本の人口って……なに、それ日本にしか売ってないのか?」
真実「そうよ」
真解「あ、なんだ。世界中で売ってるんじゃないのか」
真実「そ。だから、結構当たる確率高いでしょ?」
真解(それでも50万人。そのうち3組だから当たる確率は…)
真実「約17万分の1」
 真実が真解の考えを先回りして言った。さすが双子である。相手の考えていることが手に取るようにわかるらしい。
真実「で、当選者は……………………あ」
真解「どうした? 外れたか?」
真実「あ…当たってる…」
真解「なんだって!?」
美登理「うっそ!?」
 真解も美登理も、すっとんきょうな声を出して側に寄った。
真解「み…見せてみろ!!」
美登理「ほ、本当に!?」
真解「謎事呼んでこようか?? あいつの観察力なら、違いを見つけられるかも」
真実「なによそれ……」
 真解と美登理が、何度も何度も確かめたが、確かに当たっている!
真解「す…すごい……」
真実「ほらね。たまにはこういう事もあるんだよ。じゃあ、謎事君と謎ちゃん呼ぼう!」
真解「そうだな」
 すぐさま、謎事と謎を呼んだ。2人ともあっと言う間に来た。
謎事「おい! 宇宙旅行が当たったって本当かよ!?」
真実「本当よ!」
謎「宇宙旅行…って言っても、行けるまでにはまだ半年以上あるんじゃないの?」
真実「え? そうなの?」
謎「だってほら、宇宙に行く前に、まずいろいろと検査とか訓練とかするんじゃないの?」
真実「あ…」
謎事「え? すぐに行けないのか?」
謎「いや…わからないけど…」
真解「どうせ抽選券を見せに行くんだろ? そんとき聞けよ」
真実「うん!」
 真実は元気よく答えた。
 余談だが、宇宙飛行士が行う訓練というのは半端ではない。
 実際に宇宙服を試着するまで何ヶ月もかかり、試着してからもまだまだ長い年月を要する。また、無重力体験などもする。
 今回真実達は旅行に行くのであって操縦するわけではないが、実際に操縦する場合は、その訓練も怠らない。話によると、その操縦訓練に最も力をかけるとかかけないとか。詳しいことはあまり知らないが、ともかく大変らしい。
 また、宇宙服も箆棒(べらぼう)に重く、鎧のようで、とても子供が着れたような物ではないらしい。まぁ、宇宙に行ってしまえば、無重力だからなんてことはないのかもしれないが。
 だが、宇宙遊泳をすると、今度は宇宙服内の空気が膨張し服がパンパンに膨れ上がり、やはり動けたような物ではないらしい。

 旅行会社(?)より、色々と注意書きの書かれた物を、真実が貰ってきた。
謎事「なんだそれは?」
真実「注意書き。びっしり書いてあるわよ」
真解「どれどれ…?」
 真解達が覗きこんだ。
謎「本当にたくさんあるわね…」
謎事「水筒持込禁止だと?なんでだ?」
謎「宇宙空間だと無重力ですので、水が空中にフワフワ浮くんですよ。それで、機械の隙間に入ると危険だ…そういう事じゃないかしら?」
真解「荷物は1kg未満だってよ」
真実「宇宙船だからね。重量を少しでも減らさないと」
謎事「電子機器の持込禁止」
真実「え〜! そんなぁ!! 宇宙で携帯電話使えるかどうか試したかったのに…」
謎事「カメラのみ例外」
真実「やった! じゃあ、写真撮りまくろ!」
真解(なんでカメラだけいいんだ?)
謎「酔い止め薬は、こちらで用意致します、だって」

 そして、旅行当日がやって来た。
真実「じゃ、行って来るね♪」
美登理「行ってらっしゃい。これが最期の別れかもね」
真実「なんでそうなるのよ」
真解(しかも、この場合は『最後』だろ? まぁ、『最期』でも間違いじゃないけど…)
美登理「だってほら、宇宙よ? 宇宙。うっうっうっ。恐ろしい時代が来たものねぇ」
真実「飛躍しすぎ。大丈夫だって。じゃ、行って来ます♪」
美登理「行ってらっしゃい。うっうっ」
真解(オレらはまだ死んじゃいねぇ!!)

宇宙ステーション
???「みなさん、ようこそ! 宇宙旅行の旅へ! わたしは、これからみなさんに搭乗してもらう宇宙船未来号の船長、三谷伸也(みたみしんや)と申します。よろしくお願いします!」
真解(船長の名前が「三谷」か…。なんか落っこちそうだな、おい…)
謎「宇宙船は、軌道に乗ったら常に地球に落ちている状態にあるんですよ?」
真解(なんでボクが考えてることわかったんだ?)
三谷「では、まずは我々乗務員の紹介から参りましょう。右から、パイロットの柴和則(しばかずのり)、塩澤謙哉(しおざわけんや)、船医の水谷航介(みずたにこうすけ)、そして、みなさんのお付き役、事谷哲雄(ことたにてつお)です」
クルー「よろしく」
謎事「ほとんどのクルーに『谷』の字が入ってる……」
事谷「船長…オレは別にお付き役ってわけじゃないです…」
三谷「ままま、良いじゃないか良いじゃないか。それでは、お次は近未来のみなさんの紹介をお願いしましょう。そちらの方からどうぞ」
小島「小島信(こじましん)です。よろしく」
円谷「円谷高次(つぶらやこうじ)です。よろしくお願いします」
片桐「片桐神子(かたぎりみこ)、高次の恋人です。よろしくお願いします」
真解「実相真解です」
真実「実相真実です♪」
謎事「相上謎事です。よろしく」
謎「事河謎です。よろしくお願いします」
三谷「それではみなさん、発射まであと30分しかありません。搭乗してください」
真実「は〜い☆」
 真解達は、ついに宇宙へと飛び出すことになった。
 ロケットが宇宙へ飛び出す時、ジェットを噴出する。その反作用で宇宙へと飛び出すのだが、その時受ける衝撃が、生半可な物では無いと言う(今はどうだか知らないが)。
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………とすごい音を立てながら、真解達はついに宇宙へと飛んで行った。

Countinue

〜あとがき(舞台裏)〜
こんにちは。キグロです。今回のゲストは、名前だけだとなんだかよくわからない事河謎さんです!
謎「ど…どういう意味よ…?」
どういう意味って…そのまんまだよ、謎。
謎「……ああ、そういう意味ね…」
う〜ん…やっぱり、名前が「謎」ってのはやめた方がよかったかな? なんかそのまんま書くと「ナゾ」と書いたのか「メイ」と書いたのかわからない…。
謎「かといって、今から変えるわけにも行かないし…って?」
そゆこと。

さて、彼女はクールな優等生と言う設定。
謎「別に…優等生ってわけじゃないけど……」
こうやって否定もする設定。
謎「……自分の性格を、設定設定言われると、ちょっと悲しい気持ちになるわね」
そうなんだ。
謎「ええ」
う〜ん…こっちの世界に住んでると、そう言うことないからね。
謎「そりゃ、そうでしょうね」
ま、ともかくきみは優等生、と言うせって……ともかく、きみは優等生だ。
謎「言い直しましたね」
う…うん。
謎「でも…優等生って言っても、授業風景出てこないわよね。この小説」
う〜ん…確かに、今のところは予定ないな。でも、学校は出て来る予定だよ。
謎「へぇ」

さて、今回はプロローグ、と言うわけで、殺人も何もまだ起こっておりません。
次回の事件編をお待ちください。
謎「なるべく早くね」
真解と同じセリフだよ…それ。
真解「信頼されてねぇんじゃねぇのか?」
そんなぁ………って、なんで真解の声が??
謎「確か、前回もこうなってませんでした?」
うん。どっかで混線してんのかな??
謎「混…“線”??」
ま、気にしない気にしない。
そんなわけで、また次回。

おまけの名句珍言集(謎)「恋人よ♪」
解説;謎事に真解との中を冷やかされた時、真実が言った言葉。ムッと来たわけでも何でもなく、心の底からこう感じている。

作者;黄黒真直

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