摩訶不思議探偵局〜コンサートホール殺人事件〜
容疑者リスト
相上 育覧(あいうえ いくみ/もめん)…【アイドル歌手】
魚住 忠助(うおずみ ただすけ)…【育覧のマネージャー】
黒川 仁美(くろかわ ひとみ)…【人気女優】
安口 彩(やすぐち あや)…【人気歌手】
Holy Knight(ホーリー ナイト)…【人気歌手(グループ・Kissリーダー)】
木村 国信(きむら くにのぶ)…【人気歌手(グループ・Kissメンバー)】
銀冶(ぎんじ)…【人気歌手(グループ・Kissメンバー)】

摩訶不思議探偵局〜コンサートホール殺人事件〜推理編

黒川「わたしは犯人を知っているわ…」
真解「え…?」
 真解は驚いて黒川を見た。ウソかどうか見極めようとしたが…真解に、そんなことはできない。
黒川「本当よ。…確信はないけど、ほぼ確実…」
真解「…それは誰ですか? 何故そんなことを知っ…!」
 と、真解は謎事の言葉を思い出した。
――浮気相手と交際するのに板垣さんが邪魔になり、殺害したか…――
 だが、彼女にはアリバイがある。 …いったい…?
 真解は思い切って言ってみた。
真解「…もしかして、犯人はあなたなんですか?」
黒川「いえ違うわ…。わたしはおそらく、次の被害者…」
真解「! …何故・・・ですか?」
黒川「わたしは…板垣さんと、付き合っていたのよ」
真解「え・・・?」
 謎事の言ったとおり…だというのか? 真解は驚愕した。
黒川「それもただの付き合いじゃない…浮気よ」
真解「!?」
 浮気? ってことはつまり、黒川さんと付き合っているもう1人の人が板垣さんの存在に気付き、殺害し…同時に、黒川さんも殺そうとしている…?
 と、その時、
真実「お兄ちゃ〜ん!」
 と、真実が売店から飛び出して来た。同時に黒川が去って行った。
真解「あ、黒川さ…」
真実「? 黒川さんだよね、いまの人。何話してたの?」
真解「…いや、別に…。大したことじゃないよ…」
真実「ふ〜ん…?」
 真実が疑いの眼差しで見た。…女のカンか?
真解〔ともかく、いまの事…もっと詳しく調べないとな…。どうやって調べるか…。黒川さんに直接聞けりゃいいんだけど…〕
 たぶん、黒川さんと2人きりでもう一度会うのは、難しいだろう。
 真解はちょっと考えたが、すぐにいい方法が見つかった。
真解「そうだ、真実。ケータイ貸してくれ」
真実「え? いいけど…?」
 真実は携帯電話を取り出した。真解がクリスマスにあげたストラップが一本、ついている。
真解「あ、真実、江戸川さんの電話番号、知ってるか?」
真実「えっと、確かメモリーに入れてたけど?」
真解「あ、そう」
 真解は携帯電話をいじくり、「通話」ボタンを押した。
 しばらくして、真解が話し出した。
真解「あ、江戸川さんですか?」
江戸川《そうですが…あ、もしかして真解くん?》
真解「ええ、そうです」
 江戸川の声の後ろでは、ざわめき声がひっきりなしにしている。どうやら、人ごみの中にいるらしい。
江戸川《どうしたの? 珍しいわね、あなたの方からかけてくるなんて》
真解「ええ、ちょっと…調べて欲しいことがあるんです」
江戸川《調べて欲しいこと? なに、なんか事件に遭ってるの?》
真解「まぁ、そうです」
江戸川《わかった。力になるわ。で、何を調べればいいの?》
真解「江戸川さん…黒川 瞳って言う女優、知ってますか?」
江戸川《ああ、そりゃもちろん》
真解「彼女の交遊関係について…調べてほしいんです」
江戸川《ふ〜ん…わかったわ》
真解「ところで江戸川さん…」
 真解はさっきから気になっていたことを聞いた。
真解「いま、どこにいるんですか? さっきから、奥がうるさいですけど…」
江戸川《ああ、それがすごいのよ。板垣 光って言う歌手知ってる? 彼が、殺されたのよ。コンサートホールのトイレで》
真解「は?」
江戸川《いまその現場に来ててね。今日は兜警部いないけど…あ、でもさっき小鳥遊さんを見かけたわ》
真解「・・・・・・・・」
江戸川《どうしたの?》
真解「…ともかく江戸川さん。調査、頼みますよ」
江戸川《任せておいて》
 真解はピッと通話を切った。そして、真実に電話を返した。受け取りながら、真実が言った。
真実「黒川さんの交遊関係なんて、調べてどうするの? 謎事くんの言ったことの裏付け?」
真解「ん…まぁ、な」
 真解はまた、誤魔化した。今はまだ言うべきじゃない…そんな気がしたのだ。
 余談だが、「こうゆう」には「交遊」と「交友」がある。双方とも意味がものすごく似ているが、「交遊」は主に異性(恋人)との付き合いで、「交友」とは主に友人(同性)との付き合いだ。
真解「…じゃ、真実。部屋に戻るぞ」
真実「え? でも、あの2人をもうしばらく2人きりに……」
真解「・・・・・戻るぞ」
 真解はため息をつき、部屋に向かって歩き出した。

 部屋では2人がいちゃいちゃと……しているわけもなく、謎事もメイもウーロン茶片手に小鳥遊の持ってきた写真を見ていた。真解がドアを開けると、すぐに謎事もメイも気がついて、写真から顔を上げた。
謎事「おぅ、お帰り、真解」
謎「お帰りなさい」
真解「ただいま」
真実「ただいまぁ」
 一通り挨拶を済ませ、真解たちもソファーに座った。真解は近くの写真を一枚取った。死んだ板垣が写っている。
 便器に座ってはいるが、ズボンははいている。やはり、個室を出ようとしたところを殺されたのだろう。眠っているような顔だ。もしかしたら、先に睡眠薬か何かをかがされたのかもしれない。そっちの方が、毒も飲ませやすいだろう。血を吐いているわけでもなく、白目をむいているわけでもない。一見しただけでは、死体かどうかもわからない。だが、首を力なく傾け、腕をダランとしている姿は、なんとなく「死体」的なムードをかもし出しているような気がする。まぁ、それも死体と知っているからかも知れないが。
真解〔やっぱり、特に何かわかることはないか…〕
 真解は写真を置いた。


 真解はベッドに寝っころがりながら、考えていた。
真解〔黒川さんのあの言葉…いったい、どういうことだ? 本当に犯人を知っているのか、それとも…。そして、もめんの空白の10分間も気になる。まさか、本当に別のトイレに行っていたとは思えない…。あの怯えているような、慌てているような態度…本当のことを話しているとは思えない…〕
――本当に、彼女は潔白なのか?
真解〔いや、あいつは潔白だ。潔白のハズだ〕
 真解は自分の考えを否定した。何を考えているんだ、オレは。あいつが犯人なわけがない。
真解〔…? なんであいつが犯人なわけないんだ? 別にそんな証拠もない。それどころかむしろ、怪しい。なのに何で…? 謎事の従姉妹だからか…?〕
 何故…? そう考えながら、真解は眠りに入った。


「きゃああぁぁぁ〜〜〜!!」
真解「!? な、なんだぁ!?」
 真解は悲鳴と共に目が覚めた。謎事も飛び起きた。
 部屋の中には日の光が射し込んできている。どうやら朝らしい。…と、そんなことより、いまの悲鳴だ。
謎事「真解、なんだいまの悲鳴」
真解「知るか! おい、外に出るぞ!」
謎事「お、おう」
 真解は外に飛び出た。寝巻きを着ていないので、そのまま飛び出した。謎事も一緒だ。
 隣の部屋から、真実も飛び出して来た。
真実「お兄ちゃん、なに、いまの悲鳴」
真解「わからない…。だけど、あの悲鳴は…」
 死体を見つけたときの悲鳴だ。
 そう言いかけて、真解は口をつぐんだ。まだ確信はない。むやみに、こういうことは言わない方がいいだろう。
 メイも部屋から出てきた。
謎「さっきの悲鳴はいったい?」
謎事「どこから聞こえたもんなんだ?」
 謎事はキョロキョロしているが、廊下に人影は見えない。ここから見えるところには、誰も泊まっていないのか、それとも誰もいまの悲鳴に気付かなかったのか…?
 4人がしばらく困惑していると、猫山が階段から現れた。
真実「あ! 猫山さん! さっきの悲鳴、なんだったんですか?」
 真実の問いかけを無視して、猫山は
猫山「あ! 真解君たち! ここにいたのか! 捜していたんだ。すぐに来てくれ!」
真実「ど、どうしたんですか? 何があったんですか?」
猫山「…黒川 瞳が殺害された」
真解「えっ」
 真解は瞬時に、昨日の言葉を思い出した。
――わたしはおそらく、次の被害者…――
 黒川の、あの言葉だ。
真解「いつ!? 誰に!?」
猫山「『誰に』はわからないけど…小鳥遊が言うには、昨晩殺されたらしい」
真解「昨晩…」
――ってことは、昨日黒川が立ち去った直後…?
猫山「ともかく、来てくれ」
 猫山に続いて、真解たちも階段を下りた。

 黒川の死体は、ホテルの裏庭にあった。まるで、犯人が放置したかのように、うつ伏せで倒れていた。
真解「兜警部!」
兜「真解。やっと来たか」
謎「さっきの悲鳴は…これだったんですね?」
兜「ああ。従業員の女性が、遺体を見つけて悲鳴を上げたんだ」
真解〔ボクらの部屋は2階…。聞こえなくはない…か〕
 真解がせわしく動く警官たちを見ていると、小鳥遊がやってきた。
小鳥遊「兜警部」
兜「お、どうした?」
小鳥遊「今回の犯行…使用された毒が同じものなので、板垣 光と同一犯のように思われます」
兜「同一犯? だが、板垣と黒川…いったい、なんのつながりがあるんだ? 芸能人ってこと以外、特に何もないと思うが?」
真解〔そうか…板垣さんと黒川さんの関係…あの2人以外には、ボクと犯人しか知らないんだったな…〕
 そうなると、警察が動機を見つけ出すのは、時間がかかる事かもしれない。
兜「まぁいい。同一犯だと仮定して…例の芸能人グループを連れて来い。どっかの大部屋にな」

Countinue

〜舞台裏〜
はい、若干中途半端ですがぶち切らせてもらいました。
いや〜、コンサートホールも早5編目。今回のゲストは江戸川さんです。
江戸川「お久しぶり。ところでキグロくん、なんで今回はあんな微妙な登場?」
いや、別に微妙じゃないと思うけど…。
江戸川「もうちょっと活躍させてくれたって…」
いや、江戸川さん、当初からああいう使われ方をするために配置したようなもんだし。
江戸川「捨て駒!?」
なんでですか…。

さてはて、それほど長くするつもりはなかったのに、いつの間にかに5編目…。もうすぐで、「遺産相続…」と同じ長さになりそうです。
江戸川「でも、長編小説だと思えば」
長編なら原稿用紙2、300枚は行きます。たぶんこれ、行きません。
江戸川「じゃぁ、短編?」
う〜ん…短編よりも、中編ですかね?

特にネタもないのでこの辺で。ではまた次回。

作;黄黒真直

疑惑編を読む

本を閉じる inserted by FC2 system