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身近な物で東京ドームのサイズを測る
1;問題提起
よく、テレビなどで大きなもののサイズを表現するとき、
「東京ドーム○○個分の広さ」
などと表現する。
しかしこの表現、野球やライブなどでよく東京ドームに行く人ならいざ知らず、そうでない人には全くピンと来ない表現である。
そこで、以前私は東京ドームシティの公式HPに足を運び、東京ドームの大きさを調べた。
そして得られた結果を姉妹サイト(姉)『雑学の館』に載せて、調査を終了したのである。
…しかし。しかしだ。
これでは「東京ドーム1個分の広さ」を「4万6755m2」と言い換えただけで、全く問題の解決になっていない。
一体、それはどのぐらいの大きさなのか?
もっと身近なもので東京ドームの大きさを換算し、実感を掴む。これが今回の実験の目的である。

2;事前調査
さて、先ほども書いたが、東京ドームシティの公式HP[http://www.tokyo-dome.co.jp/]によると、
「東京ドーム1個分の広さ」は面積(建築面積)は46755m2だそうだ。
では、実験に取り掛かろう。

3;実験
本来であれば、この項の前に「準備」の項があるが、今回は実験の項が多いので実験と平行して準備を行っていく。

3.1;坪
我々が普段面積と接する機会と言えば、テレビで広いものの面積を聞くときと、家を建てるときである。
家を建てるときは、その広さを「坪」と言う単位で表す。これは有名であろう。
では、1坪とは何m2なのか。
Wikipediaによると、坪の定義は
『一辺が6尺(1間)の正方形の面積』
とある。続けて尺の定義をWikipediaで調べると、
『日本では、明治時代に1尺=(10/33)メートル(約30.3cm)と定めた』
とある。Wikipediaの定義に従うなら、1坪とは
   1坪=6尺×6尺=36尺236×(10/33)2m2
     =3.305785123966942148760330578512 m2

と言うことになる(実際には割り切れず、3305785123966942148760という数字の並びが繰り返される)。
の計算がわかりにくいかもしれない。
尺=(10/33)m であるから、その2乗は 尺2=(10/33)2m2 となるのである。
算数の授業で 1m2=10000cm2 などと出てくるが、これも m2=(100cm)2=1002cm2=10000cm2 と計算しているのである。


では東京ドームは何坪なのか。早速計算しよう。
偶然にも、1坪を分数のままで表して
   
とすると、うまく約分できて綺麗に計算できてしまう。結局、
   
となる。

このまま「東京ドームの大きさは14143.3875坪」としても良いのだが、ここで「有効数字」と言う考え方を取り入れよう。
有効数字とは、「実験の測定データを処理する上で、正確だと考えられる桁数」のことだと考えて差し支えない。
実験中は様々な測定を行うことになるが、そうして得られたデータは、各々異なる有効数字を持つ場合が多い。
例えば、一方の計測器では123mmと得られ、別の計測器では23.45mmなどと得られたとする。
前者の有効数字は3桁であり(この計測器には、1mm単位の目盛りが振ってあるのだろう)、
後者の有効数字は4桁である(この計測器には、0.01mmか0.05mm単位の目盛りが振ってあるのだろう)。
この2つの測定データを用いて何かを計算しようと思った場合、
まずはこのまま計算しても構わないが、最終的には有効数字の桁数が一番小さいものにあわせて結果を出さないといけない。
つまり、この場合は有効数字3桁で結果を出さないといけないのである(つまり、4桁目を四捨五入するのだ)。
例えばこの2つが長方形の縦と横の長さで、面積を出したいのであれば、
 123mm×23.45mm = 2884.35mm2
と出るが、有効数字が3桁なので、
 = 2880mm2
という結果になるのである。

話を戻そう。
坪の定義は6尺×6尺であり、1尺の定義は正確に (10/33)m とあるので、
この場合の有効数字は無限大である(数学的に定められる値に対しては、有効数字は無限大、というか存在しない)。
一方、東京ドーム1個分の面積は46755m2なので、有効数字は5桁と言うことになる。
よって、先ほど計算した値は有効数字を考慮すると、
   14143.3875 ≒ 14143
と書き換えるべきなので、東京ドームの大きさは1万4143坪と言うことになる。

とはいえ、やはりピンと来ない。そもそも1坪とはどのぐらいのサイズなのだろうか。
約3.3平方メートルなので、直径2メートルの円や、1辺1.8メートルの正方形ぐらいの面積と言える。
人一人が横になってゴロゴロ出来る程度の広さは十分にある、と言うことか。
2つか3つ、ベッドを横に並べることが出来そうだ。

3.2;畳
続けて、面積の代表的な単位の2つ目、「畳(じょう)」に移ろう。
坪が家の面積を表すのによく使うのに対し、こちらは部屋の面積を表すのによく使うことで有名だ。
ではまず、1畳は何m2なのだろうか。
実は「畳」と言うのはいい加減な単位で、ハッキリと定めることが出来ない。
そもそも昔、家に畳しかなかった時代に、「この部屋は畳が○枚あるから、広さは○畳」と表現していたのだが、
畳は1枚1枚手作りであるため、畳ごとに微妙にサイズが異なるのだ。
と言うか、部屋のサイズに合わせて畳のサイズを決定していたので、一致するはずがない。
本来ならこのようなものを単位とすること自体、科学的にはナンセンスなのだが、慣習なので仕方がない。
一応Wikipediaによると、畳のサイズはいくつかあるが、一般的な家庭にある畳は
「2尺8寸×5尺6寸(850mm×1700mm)のサイズが中心である」
だという。1寸とは、0.1尺=1/33メートルのことである。
親切にmm換算の幅が書いてあるが、一応先ほどの尺の定義(10/33)mを利用してちゃんと計算してみよう。
すると、
   2尺8寸=2×(10/33)+8×(1/33)=28/33=0.84848484…m
   5尺6寸=5×(10/33)+6×(1/33)=56/33=1.69696969…m

と得られた。これらをかければ面積になるので、
   1畳=28/33m×56/33m=(56×28)/(33×33)m2=1.4398530762167125803489…m2
である。当然、これも割り切れずに小数点以下は4398530762167125803489が繰り返される。
(1坪は約3.3平方メートルであったから、1坪は約2.3畳のようだ)
よって、
   
となる。ゆえに、東京ドームの大きさは3万2472畳である。

3.3;新幹線
さて、ここまで坪、畳と面積を表す単位を見てきたが、ここからは身近なものの面積で東京ドームの面積を測っていこう。
身近にあって大きなものは何かな、と考えると、例えば一部の船やジャンボジェット機などは相当大きいが、これらはあまり身近にはない(職業によって身近だったり疎遠だったりするだろう)。
なにより、全体の大きさがどのぐらいなのか、実感が沸きにくい。
で、考えたのが新幹線である。
頻繁に乗る人は少ないにしても、家族旅行や出張などで1回は乗ったことがある人が多いだろうし、
1両分の客室スペースがどの程度の広さか、なんとなくイメージが沸くはずだ。
(ちなみに「新幹線」と言うのは路線の名前で、あの乗り物は「新幹線電車」と言うようだ。
 が、慣習的にあの乗り物を「新幹線」と呼ぶことが多いので、このレポートでも「新幹線」と呼ぶ)

一口に「新幹線」と言っても色んな車種があるが、ここではN700系と呼ばれる車種を調べよう。
「のぞみ」や「こだま」の名で知られるタイプで、「そうだ 京都、行こう」と思ったときに乗るやつである。
客室スペースの床面積を調べようとJR東海のHPに飛んだが、残念ながら記述がなかった。
そこで色々な検索ワードで検索した結果、再びWikipediaにて
「最大寸法(長・幅・高) 25,000 ×3,360 ×3,600mm」
という記述を発見した(本当に、Wikipediaは便利である)。
この寸法は先頭車は微妙に異なり、先頭車の長さは27,350mm、高さは大部分が3,500mmだそうだ。
有効数字が何桁なのかわからないが、わざわざmm単位まで書いてあるので、書いてある桁数が有効数字なのだろう。
長さの有効数字は5桁だが、幅の有効数字は4桁、と言うことになる。

さて、単位をそれぞれメートルに直すと、長さが25.000m、幅が3.360mである。
するとその面積は、
   25.000×3.360=84.00m2
である(ちなみに、これは約24坪、約58畳である。3人ぐらい暮らせるかもしれない。かなり細長い物件だが)。
よって、
   46755÷84=556.60714285714285……
なので、東京ドームの面積はN700系新幹線約556.6両分である。
さらに先頭車の長さは27350mmであったから、その面積は
   27350×3360=91896000mm2=91.896m2
である。
N700系は16両編成または8両編成であるから、16両編成だとすると、その総面積は
   84.00×14+91.896×2=1176+183.792=1359.792m2
となる。よって、
   46755÷1359.792=34.38393519008……
なので、東京ドームの面積は16両編成のN700系新幹線約34.38本分である。

3.4;観光バス
「大きいもの」と言えばやはり乗り物であろう。そして身近な乗り物と言えば、車である。
自家用車も気になるが、ここはバスで調べることにする。
ただ、バスと言っても色々ある。市営バスなのか、観光バスなのか、はたまた別なバスなのか。
また市営バスと言っても、市によって大きさが違う可能性がある。
考えた結果、今回は観光バスについて調べてみることにした。
観光バスであれば、遠足や修学旅行で乗ったことがある人も多いだろうという考えである(新幹線と同じ発想だ)。
観光(貸切)バス会社として有名な「はとバス株式会社」のHPに行くと、残念ながら車両のサイズは乗っていなかったが、
よく見かける『HATO BUS』と赤い字で書かれたあの黄色いバス車両は、「いすゞバス製造株式会社」が製造していることがわかった。
そこでいすゞバス製造株式会社のHPに飛ぶと、車両の寸法を発見した。
それによると、バスの全長は11990mm(約12m)、全幅は2490mm(約2.5m)だそうだ。
これは車両全体の大きさで、客室スペースは10900mm×2085mmとあった。
もちろん車種によって値は異なるが、大体どれも同じ程度であった。
(他の車メーカーである日野自動車のバスも、同程度であった。ちなみに、観光バス会社としては東都観光も有名だが、こちらの車両もいすゞが製造しているようだ)
なお、この値はGALA(車型RU1ESAG−NDB)のものである。
早速面積を計算しよう。今回は車両全体と客室スペースの両方がわかっているので、両方とも計算してみる。
   11990mm×2490mm=29855100mm2=29.8551m2
   10900mm×2085mm=22726500mm2=22.7265m2

(バス車両は約9坪、客室スペースは約7坪と言える。
 たまにバスで生活している人の話を耳にするが、確かに1人暮らしには十分なスペースがあることがわかる)
東京ドームの面積を、これらの値で割ると、
   46755÷29.8551=1566.064089552538…
   46755÷22.7265=2057.289947858227…

となる。
有効数字はともに3桁であるから、東京ドームの大きさは、観光バス1570両分、観光バスの客室スペース2060両分、となる。
ちなみに、社団法人 日本バス協会のHPによると、平成17年度末の貸切バスの車両数は4万5625両だそうだ。
観光バスは貸切バスの一種であるから、貸切バスが全て同じサイズだとすれば、東京ドーム約29個で、日本中の貸切バスを駐車できることになる。

3.5;平均的な日本人成人男性
新幹線、バス、の次が人体では、いきなりサイズが小さくなったように思うかもしれないが、
バスと人体の間のサイズで、かつ全国どこでも大体同じサイズであり、かつ多くの人が知っているもの、が思いつかなかったのだ。
自家用車は車種によってサイズが異なるし、タクシーは地域によってサイズが違う可能性が考えられた。
ベッドも考えたのだが、これは畳と大して変わらないサイズであるし、家庭によっても微妙にサイズが違うだろう。
それに何より、そろそろネットや本で調べるのではなく、実際の測定がやりたくなった。
(実はここまで、一度も測定を行っていないことに気がついただろうか?)

と言うわけで、この項では平均的な日本人成人男性の面積を測定する。
平均的な日本人成人男性(以下、成人男性)は、よく動物や大きな乗り物のサイズを表現するのに用いられる。
普段は「高さ」を比べるのに使用されるわけだが、今回は面積を比べるのに役立ってもらおう。
(ただ、この「成人」が何歳を指すのかはよくわからない。おそらく20〜40歳ぐらいなのだろう、と思っている)

測定の前に、今回測定する「面積」がどこの面積なのか、ハッキリさせておく必要がある。
今回測定するのは、「成人男性を真正面から見たときの面積」である。
よく刑事ドラマなどで、事件現場に死体の形をしたロープが置いてあるが、あのロープで囲まれた部分の面積が知りたいのである。
つまり、「もし東京ドームに成人男性が寝転んだら、何人寝れるのか?」を知りたいわけだ。
ちなみに、このように真正面から見た面積のことを「前面投影面積」と言う。
(正確には、「移動している物体の進行方向から見た面積」のことを前面投影面積と言う)

では、どのようにして測定するか。
円や長方形ならば、その半径や辺の長さを測定すれば、公式を使って面積を求めることが出来る。
しかし、人体のように複雑な形状のものの面積は、求めるための公式が存在しない。
そこで、このようなものを用意した。

巨大方眼紙
写真1 近所のホームセンターで購入。税込み268円。

縦1m×横70cmの大きな方眼紙である(実際のサイズは、余白がある分もう少し大きい)。
これを縦に2つ並べ、この上に寝る。そして体の輪郭をペンでなぞり、方眼紙に写し取る。
すると、そのペン跡で囲まれた部分の面積が、成人男性の前面投影面積となるわけだ。
その面積は、方眼の個数を数えることで求めることが出来る。
今回使用する方眼紙は1mm四方の四角形が書いてあるので、mm2単位での測定になる。
また、輪郭付近にある四角形の場合、四角形全部が輪郭の内側に入らず、中途半端に内側に入ることになる。
この場合、「半分以上入っていれば1個、半分未満であれば0個」とカウントする事とする(図1参照。これは四捨五入である)。

面積の四捨五入
図1 図形の面積の四捨五入

さて、ではいよいよ測定に取り掛かろう…と思うのだが、実はこの測定は私では出来ない。
文部科学省の「平成20年度体力・運動能力調査調査結果統計表」によると、
平成20年度の日本の成人男性(20〜39歳)の平均身長はだいたい171.94cmである。
(20〜79歳の平均では169.43cmとなる。40歳を過ぎた辺りから、日本人の身長は縮むようだ)
が、私は少々小柄で165cmしかない(これは14歳男子の平均と同じであり、成人女性の平均より少々高い)。
そこで、大学の同じ研究室のI君に実験の協力を依頼した。
彼の身長は約172cmであり、しかも見た目も中肉中背。まさに平均的な日本人的日本人、日本人の中の日本人であると言えよう。
彼に早速方眼紙の上に寝てもらい、その輪郭を写し取った。

下着が見えてるが気にしてはいけない 足が無いように見えるのは気のせい
(左)写真2 方眼紙に寝転がるI君 (右)写真3 写し取った輪郭
(本来、左右の写真は同じ姿勢であるべきだが、うっかり姿勢を変えてしまった。右の写真では、足を閉じている)

あとは、この線の内側の面積を求めればよい。
とは言ったものの、この内側の升目をそのまま数えるのは、まず(精神的に)不可能である。
そこで、50×50や5×5など大きな枠で升目を区切り、その個数を数え、枠に入らなかった部分を、カウンターで数えた。

数年前に購入したもの
写真4 カウンター(税込み105円)

その結果、成人男性の前面投影面積は、627422mm2と判明した。
62万mm2は約0.6m2である。1畳は約1.4m2だったので、面積だけみれば、1畳に2人の成人男性が寝ることが可能だ。
東京ドームの面積は46755m2=46755000000mm2なので、
   46755000000÷627422=74519.22311……
となる。よって、東京ドームは成人男性74519人分である。つまり、東京ドームに成人男性は7万5000人近く寝ることが出来る。
ちなみに、総務省の「人口推計(平成22年7月報)」によると、平成22年2月1日現在の日本人の20〜39歳男性の数は、約1617万3000人である。
と言うことは、東京ドームが約217個あれば、成人男性が全員横になることが出来る。

3.6;A4サイズ、B5サイズ
さて、次は紙のサイズとして有名なA4、B5サイズである。
大学ノートなど、普段よく目にするノートのサイズがB5サイズであり、
学校などで先生が配る、ノートより一回り大きいが、半分に折るとノートよりだいぶ小さくなる紙が、A4サイズである。

レポート用紙はA4、ノートはB5
写真5 B5サイズのノート(左)とA4サイズのレポート用紙(右)

AやBと言った紙の規格は、JIS(日本工業規格)によって定められている。
なので本項でも測定は行わず、JISのHPに飛んだ。
「紙加工仕上寸法(JIS P 0138:1998)」によると、A4サイズは210mm×297mm、B5サイズは182mm×257mmだそうだ。
と言うことは、面積はそれぞれ62370mm2、46774mm2である(なお、有効数字は3桁である)。
よって、
   46755000000÷62370=749639.24…=750000
   46755000000÷46774=999593.79…=1000000

なので、東京ドームの面積は、A4サイズ約75万枚分、B5サイズ約100万枚分である。

3.7;日本の硬貨
いよいよ最後である。
小さい生物などの小ささを表現するのに、よくお札や硬貨を使う。
硬貨と、その横に並んだ虫や小さいロボットの写真を見たことがある人も多いだろう。
硬貨は身近にあるため、それと比べることで小ささがわかりやすいのだ。
というわけで、早速硬貨のサイズを測定する。
硬貨は円形であるから、その面積を測定するためには直径を測定する必要がある。
円の直径を測定するには、ノギスと言う道具を使うと便利である。

ミツトヨ製ノギス
写真6 ノギス

ノギスは、普通に直線状の物の長さを測れるほか、円の直径や筒の内径(内側の直径)、段差の高さなどを簡単に測れる優れものだ。

直径の測り方 内径の測り方
(左)写真7 10円玉の直径を測定しているところ (右)写真8 50円玉の穴の内径を測定しているところ

ノギスを使うと、0.05mm単位で長さが測定できる。硬貨の直径はどれも数十mmであったから、有効数字は全て4桁となる。
そして、その測定結果をまとめたものが、以下の表である。

[表1]日本の硬貨の面積、及び東京ドーム換算
種類1円玉5円玉10円玉50円玉100円玉500円玉
直径(mm)20.0022.0023.5021.0022.5026.50
面積(mm2)314.2380.1433.7346.4397.6551.5
換算(枚)14880000012300000010780000013500000011760000084770000

表中の「換算(枚)」と言うのが、「東京ドームを埋め尽くすのに何枚必要か?」と言う値である。
東京ドームの面積は46755m2=46755000000mm2であるから、これを硬貨の面積で割って求めた。
予想はしていたが、物凄い値である。
東京ドームは1円玉1億4880万枚分、5円玉1億2300万枚分、10円玉1億780万枚分、50円玉1億3500万枚分、100円玉1億1760万枚分、500円玉8477万枚分、である。
ちなみに、写真にあるとおり5円玉、50円玉の穴の面積も求めようと思ったが、今回の測定であの穴は円ではないと言うことが発覚した。
円形でないと面積を求めるのが億劫なので、省略した。
なお、表中の5円玉、50円玉の面積は、穴の面積まで含めた面積である(つまり、穴の開いていない円盤としている)。

4;まとめ
さて、以上で測定は終了であるが、なんだか長かったので、ここでまとめてみよう。
東京ドームの面積は、他のもので換算すると、次のようになる。
なお、表中の値は前項までに登場した値だが、それぞれの有効数字や見易さを考慮して若干書き換えてある。

[表2]東京ドーム換算
対象物東京ドームN700系観光バス成人男性A4B5
面積46755m23.3m21.4m21360m229.9m2627422mm262400mm246800mm2
換算1個1万4143坪3万2472畳34.38本1570両74519人75万枚100万枚
対象物1円玉5円玉10円玉50円玉100円玉500円玉
面積314.2mm2380.1mm2433.7mm2346.4mm2397.6mm2551.5mm2
換算1億4880万枚1億2300万枚1億0780万枚1億3500万枚1億1760万枚8477万枚

表中の「換算」が、「東京ドームは○○が○○個分」を表し、今回の実験の結論である。

5;考察
改めて[表2]を見てみると、東京ドームがいかに巨大かがわかる。
ところで、今回の実験の目的は「身近なもので東京ドームの大きさを換算し、実感を掴む」ことであった。
だが、1円玉1億枚と言われても全くピンと来ない。まともに想像できる値は、N700系の34本くらいだろうか。
その意味で、今回の実験は失敗だった、と言える。測定を終えた今でも、全く実感が掴めていないからだ。
逆に言えば、東京ドームが何個も入るような場所は、想像を絶する広さなのかもしれない。
今回の実験を成功に導くには、「出来る限り大きく、出来る限りに身近にあるもの」を探すか、実際に東京ドームに行くしかないだろう。

6;感想
今回のレポートは、やたらと長くなってしまった。もう少し短く収めることが反省点だろうか。
しかも、東京ドームの大きさを実感することが、結局出来なかった。
これを読んでいるあなたは、[表2]を見て実感出来ただろうか。出来たなら幸いである。
ただ、普段何気なく見ている物の大きさを知ることが出来たので、それなりに満足である。
(例えば、硬貨を大きい順に並べると、500、10、100、5、50、1である。知っていただろうか?)

ところで、今回の実験の目的であった「実感を掴む」と言うのは、実は非常に重要な考え方である。
誰にとって重要かと言うと、物理や数学など、科学を学ぶ我々のような人間にとって、である。
科学には様々な理論がある。そしてそれらの理論を用いて、新しい理論を作ったりもする。
学校で物理などを習った人は、公式を使って問題を解いたことが何度もあるだろう。
そうして得られた理論や答えの実感を掴み、「それらがどのぐらい現実的か?」を考えることが、実は重要なのだ。
何故なら、科学とは現実を知るための学問であり、現実こそ全てだからである。
その意味で、今回の実験の失敗は、科学的に大きな失敗と言える。
ううむ……なんとも悔しい。
考察でも書いたが、東京ドームの大きさを実感するには、やはり現実に東京ドームに行くしか無さそうだ。
理科系科目で苦しんでいる人が世の中にはたくさんいると思うが、理科系科目が得意になる一番の方法は、現物を目にすることである。
正直、それ以外の方法で理科系科目が得意になることは、まず無理だと私は思う。

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2010年08月01日 レポート公開 inserted by FC2 system