メビウスの輪
それは、裏と表がつながっている輪
表を辿っていても、いつのまにかに裏に来ている…
これは、我々の住んでいるこの世界も同じ
表の世界で生活していても、ちょっとした弾みで…………


メビウスの輪Д夢、夢、夢д
ようこそ。黄黒真直作、メビウスの輪へ。
今回のテーマは夢。
夢というのはなかなか神秘的な物で、全ての動物が夢をみるとも言われています。
そんな夢をテーマにしたようです。
ちなみに、今回の話しは、キグロが本当に体験したちょっと不思議な話し…。
メビウスの輪д夢、夢、夢д
 夢。それは、脳内で強く強く思っていることが夢になったり、脳の記憶を司る(つかさどる)部分、海馬(かいば)が記憶の整理をしている時に、その記憶を見るもの等があります。
 その夢は、時には鮮明に、時にはあやふやに映し出され、神秘の世界へ全動物を連れて行きます。もしその夢が、鮮明すぎたら…?

「え!?一番!?本当に〜〜!?」
 ここは、某高等学校の試験結果発表会場。この学校では、定期テストの順位が最下位から最上位まで張り出されるのである。
 その発表をみて、よろこんでいる彼女の名前は河口咲子(かわぐちさきこ)。さほど優秀でもない学生である。それなのに、今回の定期テストで学年1位。咲子の親友、裕香(ゆうか)と美登理(みどり)が褒め称えた(ほめたたえた)。
「やったじゃん!咲子!」
「すご〜い!どうやったの?先生に見つからない方法教えてよ!」
「先生に見つからないってねぇ…。わたしはカンニングなんかしてないわよ!」
「うっそだぁ!」
「ひど〜い!」
 そこにいた友達全員、爆笑した。

 次の日、咲子はご機嫌だった。当然である。学年トップになった訳なのだから。
 学校についた咲子はなんとなく違和感を覚えた。
 学年トップになったって言うのに、みんな普通の対応をしてくる。もっと、称えて(たたえて)くれたっていいのに…。二日間も称えてくれと言うのは欲深かもしれないけどさ。
 咲子は自問自答した。
 が、結局は裕香と美登理にいった。
「ねぇねぇ。わたしさぁ、テストトップになったんだからさぁ、もっとこう……今日までくらいなら、称えてくれてもいいんじゃないの?」
 が、裕香と美登理の反応が明らかに変だった。
「え?トップ?発表は今日の午後からよ?なんで知ってるの?」
「え?」
「それ以前に、学年トップになるんだったら、合計点数最低750点になんなきゃちょっとむずいんじゃない?あんたたしか、ろっぴゃく……」(この学校は教科数9つ)
 咲子は、美登理が大声で言い出したので、慌てて美登理の口をふさいだ。
「きゃぁ〜!いっちゃだめ!!」
「なんでさ。わたし達より良いんだからいいじゃん」
「でもだめなの!」
「でさぁ、さっきのはいったいなんなの?テストトップって…」
「えと…」
 咲子ははっとした。
(またやっちゃった…)
「どうしたの?」
 裕香が顔を覗き込んできたので、
「なんでもない、なんでもない」
 と、誤魔化した(ごまかした)。
(またやっちゃった…。もう、どうしてこうなのかなぁ…?)
 咲子は考えた。
(昔からこうなのよね…。中学の時なんか、好きな人に告白された夢をみて、それで次の日その夢が夢だってことに気が付かなくて………)
 咲子の妄想の続きは、皆さん各自でご想像を。
 ”また”というのはこういう事である。
 咲子は、夢と現実が混ざることがあるのだ。
 現実だと思っていたことが夢だったり、逆に夢だと思っていたことが現実だったり…。
(ふぅ…。まったく…なんでこうなるのかしら?)
 咲子に追い討ちをかけるかのようにテストの順位が発表された。
 咲子はおそるおそる一番上から見始めた。
(やっぱり、一番じゃなかったか…。はぁ…)
 そして、そのあとも順に下に下げて見ていく。
(あら?なかなかわたしの名前、出てこないわね…)
 みていくとなんと、咲子の名前は一番下にあった。
(!?)
 隣にいた裕香が話し掛けてきた。
「あんた、最下位じゃん!わたしの一つ下じゃない!どうしたのよ?」
 すろと、反対側の美登理が話し掛けてきた。
「でも変よね…。咲子、わたし達より点数が上だったはずだけど…?」
「そんな…一番下なんて…」
 咲子は、ショックで裕香と美登理の声は聞こえなかった。
(そんな……そんな…)
 あまりのショックでか、何故か耳鳴りがしてきた。
 その耳鳴りはだんだん大きくなる。
(うるさい!)

 と、咲子は目覚し時計の爆音で目が覚めた。
(………あら?夢…?)
 どうやら、また夢と現実が混ざったようだ。
(またかぁ……)
 咲子はあたまがすっきりしないががとりあえず学校へ行った。

学校へ着くと、裕香と美登理が咲子のところへやって来た。
「遅かったじゃない!ほら、職員室行こう!」
「え?」
「『え?』じゃないでしょ。ほら、昨日、テストの順位が間違ってたから、先生に抗議しよう、って言ったじゃん。ほら、行こう」
「え?」
 どうやら、夢だと思っていたことが現実だったようだ。だが、ある意味では夢…?
 職員室に着き、美登理がドアを開けた。
「すみません」
「はい?」
 先生が咲子達のところへやって来た。
「なんでしょうか?」
「昨日の順位、絶対間違ってるんですけど」
「咲子、わたし達より点数が高かったのに、学年ビリはないんじゃないですか?」
「学年ビリ…?今年から上位者だけにしたんだぞ」
「え?」
 咲子達はどうじにいった。
「でも、わたしより咲子の方が下なわけないんです」
「そうか。わかった。じゃあ、修正しておくよ」
「お願いします」
 職員室をあとにした咲子は、どうもしっくり来なかった。
 現実だと思っていたことが夢だとわかり、現実だと思っていたら夢だと思い、そしてそれは本当に現実だった…。
(複雑…だなぁ…)
 こんなこといままで一度もなかった。何かの前兆…?咲子はふっとそんなことも考えたが、それはないだろう、と考えた。
「どうしたの?咲子。ボーっとして」
「え?うぅん。なんでもない」
(とはいったものの、気になる…)

次の日、咲子は学校に着くと、念の為、今日がなんにちだか聞いておいた。
(よかった。昨日から1日進んでる…。でも、これも夢かもしれないし…)
「ねぇ咲子と美登理」
 突然、裕香が聞いて来た。
「今日さ、どっか遊びに行かない?カラオケでもボーリングでも映画でも」(←ぜ、贅沢だ!)
「いいよ」
 裕香も美登理も、咲子の不安をよそに、楽しそうに会話をしている…。
 そして放課後。
 今日、帰るのが遅くなる、と、家に一報して咲子一行はカラオケに行くことになった。(ところで、カラオケってなんの略なんですか?)
 うたってうたってうたって…。歌い疲れるほど歌った。モヤモヤを忘れて、咲子はパーっと歌った。人間、歌を思いっきり歌うのが、一番のストレス解消法なんだそうだ。咲子はそれを実感した。
 そんな帰り道。
 咲子は薄暗い外灯のついている道を歩いていた。
 まわりは薄暗く、辺りはよく見えなかった。
 その咲子の後ろから車がやって来た。スポットライトの明かりが強烈で、一瞬何も見えなかった。
 咲子は車を避けようと、道の端っこへ行った。しかし、相手は居眠り運転だった
「!?」
 車は急に方向転換、道の隅…しかも咲子のいる方向へ来た。
「〜〜〜!?」
 咲子は声が出なかった。まわりには誰もいない。咲子は車を避けきれなかった。そして……

 気が付くと咲子は薄暗い…いや、ほとんど真っ暗な中にいた。浮いていた。身体(からだ)を小さく丸くして。
 だが、咲子はそれが変だとは少しも思わなかった。いや、変だと思うまで知能が発達していなかった。それに、いつもそこにいたのだ。
「河口さん。そろそろ分娩室へ行きましょう」
 “ソト”でそんな声が聞こえた。
 咲子は現在10ヶ月の胎児。産声(うぶごえ)をあげる瞬間を待っている。

教訓;夢をみて、心を休ませましょう…。

あとがき
こんにちは。キグロです。
今回の話。最初にメビウスが言ったように、本当に体験した話です。
別に胎児の時にこんな夢を見たって言ってんじゃありません。
どうもね。夢だと思ってたら現実だったり、現実だと思ってたら夢だった、なんてことがたまにあるんですよねぇ。ええ。
いや、ホント。
なんとなからないもんですかねぇ?
……………なんだか、むしょうに突っ込みを入れられそうな気がする……。
感想は全て掲示板で。苦情はいりません(ぉぃ
では次回。

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