1階へ戻る
自転車の2人乗り、有罪無罪? 女風呂に入ると、どんな罪になるか?
婚姻届を出したあと、どの位まてば離婚届が出せるか? トンネルなどによくある落書き、有罪無罪?
賭け試合で負けたのになにも払わない、有罪無罪? 動物愛護法はどこまで適用される?
横断歩道で優先されるのは? 遺産の行方!
義務教育は義務じゃない!? 車は左、人は右!
融通のきかない詐欺罪 押収された覚醒剤はその後どうなるの?
殴らなくても暴行罪 救急車が事故を起こすと…?
銭湯で風呂の栓を抜くと罪になるのか? あまり使われなさそうなこんな法律
家の庭は地下何メートルまで自分の物か? 空気を盗むと…?
偽札を見つけたら、どうすればいい? 妻のヘソクリは一体誰の物か?
サンタクロースには不法侵入罪が適用されないのか!? 未成年者が“おとそ”を飲むと、未成年者飲酒禁止法に違反するのか?
超危険な自転車練習 自分の家の庭にお墓を作ることは可能か?
ポイ捨てはこんな法律で裁かれている 法に背かずにNHKの受信料金を逃れる方法
自転車は車道を走るのか、歩道を走るのか? たった一つだけ存在する必ず死刑になる犯罪
車のナンバーの読み方 殴らなくても暴行罪2
政府の報告書は何故「白書」と言うのか? 満二十歳と未成年
監禁罪の意外な適用方 天皇は普段、何をしているのか?
タクシーの深夜料金が割増になる法的根拠 古くなったお札は、その後どうなるのか?
衛星放送の衛星が墜落したら、その月の放送料金はどうなるのか? 天皇が罪を犯したらどうなる?
高速道路の出口でお金がなかったらどうなるのか? 死刑でも生命保険はもらえるのか?
俗に言う「法律の抜け穴」は何故できるのか? バスの運転手がシートベルトをしていないのは違法じゃないのか?
胎児は人間じゃない!? 特許出願中に他の人が同じ物を作ったらどうなるのか?
0歳の赤ん坊でもパスポートは必要か? 新幹線の中で生まれた子ども。さて、出身地は?
噴水に投げ込まれたお金を勝手に持っていくと? 発掘した埋蔵金は、果たして誰の物か!?
窃盗と横領。どう違う? 銀行内で盗られたお金。銀行は返してくれるか?

1階へ戻る
検索サイトからいらっしゃった方へ;ブラウザのツールバーにある「編集」から、「検索」「このページを検索」を選び、このページ内を検索してください。

自転車の2人乗り、有罪無罪?
実は、これを明確に提示した条文はありません。
ただ、「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」の第12条第1項に、
「自転車を利用する者は、道路交通法その他の法令を遵守する等により歩行者に危害を及ぼさないようにする等自転車の安全な利用に努めなければならない。」
とあります。
早い話が、「安全運転を心がけろ」と言う事です。
また、この条文中に登場する「道路交通法」では、第76条の「禁止行為」にて、
「(前略)道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」
を禁止しています(道交法第76条第4項第7号)。
早い話が、「危険な事や、邪魔な事は止めろ」と言う事です。
「自転車の2人乗り」について考えるには、この2つを考える必要があります。
2人乗りが「絶対安全」ならば、やっても全く問題ありません。
しかし、公安委員会などから見て、「危険」と思われた場合は、罪に問われます。
一応の目安としては、「大人と子どもが乗っていて、大人がこいでいる」ならば大丈夫で、
「大人と子どもが乗っていて、子どもがこいでいる」と、ちょっとまずいかもしれません。
そこら辺の判断は、公安委員会や警官などの方々にゆだねられる事になるわけです。
なお、先ほどの道路交通法の条文に違反した場合は、同法第120条第1項第9号により、5万円以下の罰金に処せられます。

女風呂に入ると、どんな罪になるか?
(もちろんこれは、男が女風呂に入った場合です。)
男性にとってのある意味での秘湯…女風呂。
ところで、男が女風呂に入ると、どんな罪に問われるのでしょうか?
実はなんと、なんの罪にも問われないのです。
考えてみれば、もし罪に問われるのならば、男性の清掃員は女風呂を掃除できない事になってしまいます。
「よ〜し! ならば早速入ろう!」
と言う方、ちょっと待って下さい。
確かに女風呂に入ること自体は犯罪ではありませんが、間接的に犯罪になってしまいます。
女風呂に入ろうとした場合、まず必ず、番頭さんが「困ります」とか「止めてください」とかと制止をかけます。
それを振り切って女風呂に入ってしまうと、刑法第234条「威力業務妨害」が成立し、3年以下の懲役か、50万円以下の罰金に処されます。
また、女性の裸を見ること自体は罪ではありませんが、慰謝料(精神的な苦痛に対して支払うお金)などを請求された場合は、支払わなければなりません。
そして、自分自身も裸になっていた場合は、
軽犯罪法第1条第20号「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」に引っかかり、
拘留(1日以上30日未満、牢屋(拘置所)にぶち込む事)か、科料(1000円以上1万円以下のお金を取る事)に処せられます。
なお、女風呂に入らず、女風呂を「覗き見た」場合。
この場合は、
軽犯罪法第1条第23号「正当な理由がなくて(中略)人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」に引っかかり、
やはり拘留か科料に処せられます。
ちなみに、女性に支払う慰謝料の額ですが、これは最近、年々上がり続けているようです。
少なくとも数十万、普通は数百万取られると考えて、おそらく間違いないでしょう。
そしてこの金額を、そこにいた女性全てに支払わなければなりません(場合によっては、全員ではないかも知れませんが)。
女風呂へチラッと入り、裸の女性たちを眺める…たったこれだけの事で、莫大なお金を失う事になるのです。

婚姻届を出したあと、どの位まてば離婚届が出せるか?
「結婚は人生の墓場」などと言いつつ、最近は離婚をする人も増えているようですが…。
さて、婚姻届を出した後、離婚届けはいつだせるんでしょうか?
1日? 1週間? 1ヶ月? 1年?
正解はもっと短い、1秒以下!
つまり、婚姻届を出した直後に、離婚届をだしてもいいのです。
法律には、婚姻届と離婚届の間隔を明示する条文はありませんので、別にいつだしたって問題は無いのです。
ただ、女性は離婚してから6ヶ月は再婚が出来ませんので、注意してください(同じ男性との結婚は6ヶ月以内でも可能)。
これは、女性が直前の夫との間に子どもを妊娠している可能性があるためです。
ただし、仮に妊娠していたとしても、その子を出産すれば、6ヶ月経っていなくても、再婚する事が出来ます。
ちなみに、この法律は現在、「女性差別だ」と言う事で、改正するよう呼びかける運動があるとの事です。

トンネルなどによくある落書き、有罪無罪?
トンネルなどによく落書きがしてありますが、あれは法的に問題ないのでしょうか?
もちろんそんなわけは無く、あれは立派な犯罪です。
落書きをすると、その場所が汚れる事になり、壁が元の状態とは別の状態になってしまいます。
このような場合は、刑法第261条の「器物損壊等」に引っかかり、3年以下の懲役か、30万円以下の罰金、もしくは科料に処されます。
もちろんこれはトンネルに限ったことではなく、看板や道路にも適用されます。
また、例えば、校庭に大きな穴を開けた場合や、学校の机や椅子への落書きも、立派な器物損壊罪になります。
よく学校の壁や机に落書きがしてありますが、あれらは全て、犯罪なのです。

賭け試合で負けたのになにも払わない、有罪無罪?
お金を賭けて、2人で試合…。
しかし、自分が勝ったのに、相手は何も支払わなかった。
「契約違反だ! これは犯罪だ!」
と、思いきや、実は犯罪にはならないのです。
実を言うと、賭け事は、刑法第185条「賭博」にて、禁止されている行為なのです。
刑法第185条には、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。(後略)」とあります。
ですので、賭け事でお金を手に入れると言う事は、犯罪によってお金を手に入れる事になります。
そのため、民法上の規定により、お金を払う側は、それを拒否する事が出来るのです。
そして、刑法第19条第1項第3号には、
「犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物」は没収する事が出来る、とあります。
噛み砕けば、「犯罪で手に入れたものは、即没収」と言う事。
つまり、仮に賭け事でお金を手に入れても、それがばれると、50万円以下の罰金を支払わされる上、得たお金を全額没収されてしまうのです。
ただし、賭博全てが禁止されている訳ではありません。
先ほどの刑法第185条の「(後略)」部分。ここには、
「ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」とあります。
過去の判例によりますと、この「一時の娯楽に供する物」とは、それを得た人が、その場ですぐ使い終わるような物の事と考えられています。
例えば、パーティー会場で、食べ物などを賭けて賭け事をした場合、その食べ物を勝った人がその場で食べてしまえば、罪にはなりません。
ただし、大正13年2月9日の裁判で、お金はこの「一時の娯楽に供する物」ではない、と判決が下りました。
つまり、「お金の賭博」は犯罪であり、「お金以外の賭博」も、その場で使い終えられない物なら犯罪であり、その場で使い終えられる物なら犯罪ではないわけです。
なお、競馬場などは思いっきり賭け事をしていますが、あれは、法律で認められている物なので、罪にはならないのです。
ちなみに、この法律で言う「賭博」。
実は裏があり、「賭けを持ち出した人が絶対に勝つ仕組みになっている」と、それは「賭博」にはならないのです。
ただしこの場合、やり口によっては、詐欺罪が適用される可能性がありますので、ご注意下さい。
それと、賭け試合で負け、お金を支払ったあとにこの事を知り、「あの金返せ!」と言っても、返してもらえません。
民法第708条にて、
「不法ノ原因ノ為メ給付ヲ為シタル者ハ其給付シタルモノノ返還ヲ請求スルコトヲ得ス(後略)」
つまり、「不法行為のために使ったお金は、返してもらえない」と定められているからです。

動物愛護法はどこまで適用される?
下手な人間よりも、動物の方が大事にされる事がある昨今ですが…。
その動物に関する法律と聞いて、真っ先に思いつくのは、おそらく動物愛護法でしょう。
動物愛護法は、正しくは「動物の愛護及び管理に関する法律」と言います。
では、この動物愛護法。一体どの動物まで適用されるのでしょうか?
実は、動物愛護法には、「どの動物」とは、あまりちゃんと書かれていません。
ただ、第5章「罰則」における動物の定義は、キチンとあります。
動物愛護法第27条第4項には、
「牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる」(第1号)
「前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」(第2号)
が、「愛護動物」であると書かれています。
「いえうさぎ」「いえばと」と言うのは、それぞれウサギとハトの一種。
別名、「飼いウサギ」「飼いバト」とも呼ばれています。
そして、第2号を噛み砕くと、
「人が飼ってる哺乳類、鳥、爬虫類」が「愛護動物」と言う事になります。
つまり、ここまでが「動物愛護法で護られている動物」と言うわけです。
ですので、カやゴキブリなどの虫や、カエルなどの両生類、魚などは、少なくとも動物愛護法では保護されていない、と言うわけなのです。
ちなみに、これらの動物を、殺したり傷つけたりした場合は、1年以下の懲役か、100万円以下の罰金。
餌や水をあげるのを止め衰弱させる、などの虐待を行った場合や、捨てた場合は、30万円以下の罰金が、それぞれ科せられます。

横断歩道で優先されるのは?
横断歩道で手を挙げても止まらない車や、渡っている最中だと言うのに止まらない車…。
実は、この行為、道路交通法違反なんです(車側が)。
これは、道路交通法第38条「横断歩道等における歩行者等の優先」でキチッと決められている事です。
第38条はかなり長いので、全文載せる事は出来ませんが、
「(車は)横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。」
つまり、噛み砕くと、「車は、横断歩道を渡っている(渡ろうとしている)歩行者がいた場合は、一時停止しろ」と言う事。
ですので、本当は、横断歩道を渡ろうとしているにも関わらず車が目の前を通って行った場合、その車の運転手はこの規定に反した事になり、
道路交通法第119条第1項第2号により、3ヶ月以下の懲役か、5万円以下の罰金に処されます。
また、過失で反してしまった場合は(つまり、歩行者に気付かなかったなどで、一時停止しなかった場合は)、同条第2項により、10万円以下の罰金に処されます。
ただし、運転手側も、明らかに歩行者がいない、とわかっている場合には、止まる必要はありません。
しかし、いるのかいないのかわからない場合は、横断歩道の直前で確実に停止できる速度で走行しなければなりません。
また、よく小さな交差点などでは横断歩道が設けられていませんが、この場合も、歩行者が優先されます。
同法第38条の2「横断歩道のない交差点における歩行者の優先」にて、これが記されています。
これの罰則は、先ほどと全く同じ。3ヶ月以下の懲役か、5万円以下の罰金となります。
ただ、本来こう言う事は自動車教習所で習っているはずの事…。
車両運転手の方は、習った事を忘れず、安全運転を心がけてください。
自分が損をしないために。

遺産の行方!
民法は、全5編に分かれています。
そして最後の第5編「相続」。ここには、第882条から第1044条まで、162条に渡って長々と遺産について書かれています。
当然、弁護士でも無ければ、これを全部完璧にわかりやすく説明する事はかなり難しい事なので、ここでは雑学的な事だけを紹介しましょう。
さて、遺産を受け継ぐ事が出来る人の事を、「相続人」と言います。
ではこの「相続人」。一体、「誰」が、なれるのでしょうか?
とりあえず、Aさんが亡くなった、としましょう。
まず、Aさんの子どもと妻(夫)は、基本的に相続人になれます。
では、Aさんの子どもが、既に死亡していた場合は?
この場合は、Aさんの孫が相続人となります。
ここまでサラリと書いたようで、ここから行き成りややこしくなります。
実は、Aさんの孫でも、相続人になれない人もいます。
それは、「直系卑属ではない者」。
だれが「直系卑属ではない者」なのかと言いますと、それは、まだ養子縁組をしていない、養子。
この子は、残念ですが、相続人になることは出来ません。
そして、甥っ子や姪っ子も、相続人になることは、基本的に出来ません。
ではもし、Aさんの妻(あるいはAさん自身)が妊娠していた場合、その胎児は相続人になれるのでしょうか?
この場合は、「なれる」とされています。つまり、胎児は遺産を相続できるのです。
他にも、Aさんの子どもが妊娠している場合、その胎児も、相続人になる事が出来るのです。
また、Aさんの実の子ではなくとも、「実の子だ」と言う法的な手続きを済ました子(認知した子、と言う)も、相続人になる事が出来ます。
基本的に、ここまでの「子、妻(夫)、孫(子がいない場合)、胎児、認知した子」は、相続人になる事が出来ます。
では、もしこれらの人が全員いなかった場合は?
この場合は、まず、Aさんの父母や祖父母が相続人として最優先されます。
そして次に優先されるのが、Aさんの兄弟姉妹です。
ところで、さっきから「基本的に」と何度か言っていますが、これはなんでしょう。
実は、ここまでで出てきた人でも、場合によっては相続人になれないのです。
まず、Aさんや、相続人を殺し(殺そうとし)、刑に処された人。
Aさんが殺害されたのを知っていたのに、黙っていた人(ただし、その人が「殺人」について理解していなかったり、犯人がその人の妻(夫)だったり、祖父母、父母、子、孫だったりした場合は、除く)。
Aさんを脅迫したり騙したりして、Aさんに自分の思うような遺言書を書かせた人。
Aさんを脅迫したり騙したりして、Aさんが書いた遺言書を、Aさんが変更できないようにした人。
Aさんの遺言書を偽造したり、書き変えたり、隠した人。
の5つのパターンに当てはまる人は、相続人になることは出来ません。
また、相続人となる事を拒否する事も出来ます。
これは、遺産が全て借金だった場合などを想定して作られた法律です。
ちなみに、あらゆる偶然が重なって、相続人が1人もいなくなってしまった場合。
この場合は、家庭裁判所がすぐにこの遺産の「管理人」を選び、その人に財産を預けます。
この管理人は、まず、2ヶ月間その財産を管理します。
この2ヶ月の間に、相続人が現れた場合は、色々な法的手続きの後、その人に遺産を相続させますが、もし2ヶ月間誰も現れなかった場合。
この場合は、今度、家庭裁判所が「相続人は早く名乗り出てください」と告知します。これが、今度6ヶ月間続きます。
そして6ヶ月経っても現れなかった場合。ここで、Aさんの相続人の持つ全ての権利は、完全に消滅します。
そして、ここに来て、初めて、お金が人に渡ります。
この時お金を受け取れる人間は、Aさんと一緒に暮らしていた人、Aさんを看護していた人、Aさんと特別の縁があった人、などです。
これらの人々は、家庭裁判所に申し出れば、Aさんの遺産の全部、または一部をもらう事ができます。
そして、これは、「早く名乗り出てください」の告知が終わってから、3ヶ月以内に済ませなければなりません。
もし、これでも遺産を相続してくれる人が誰もいなかった場合(あるいは、遺産が少しでも残った場合)。
この場合は、最終的にAさんの遺産は、国のお金となります。
こうしてAさんの遺した財産は、全て綺麗に無くなるのです。

義務教育は義務じゃない!?
義務教育と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。多分、聞いたことのある人の方が多いと思います。
「義務教育」と言う名前なので、「学校には絶対に行かなくてはならない」と考えがちです。
しかし、実は、「学校に通わなければならない」などという法律は、存在しないのです(日本の場合は)。
実際にあるのは、「学校に通わなければならない」ではなく、「学校に通っても良い」と言う法律です。
ですので、学校をやめたい場合は、手続きを済ませるだけで、やめることができるのです。
この権利については、憲法第26条第1項にて、
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」
と書かれています。噛み砕けば、「教育を受けても良い」と言う意味です。
では、「義務教育」とは、一体なんなのでしょうか?
実はこの「義務教育」と言う言葉は、子どもにむけた言葉ではなく、親に向けた言葉なのです。
憲法第26条第2項(さっきの条文の次)には、
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」とあります。
噛み砕けば、「保護者は、自分の子どもを小・中学校に通わせなさい。ただし、その費用は一部、国が負担します」と言う事です。
ただ、義務教育に入るのは、今の条文にもあった「普通教育」と呼ばれる教育のみ。
「普通教育」と言うのは、小学校、中学校、そして高等学校(高校)で行われる教育の事です。
それぞれ順番に、「初等普通教育」「中等普通教育」「高等普通教育及び専門教育」と呼ばれています。
こう言うと、「じゃぁ高校も『普通教育』だから、義務教育なんじゃ? それなら、授業料もタダなのでは?」と聞きたくなりますが、教育基本法第4条【義務教育】には、こうあるのです。
「国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」
つまり、「子どもに9年間の普通教育を受けさせなさい」と言う意味です。
そして知っての通り、小学校、中学校の修業年数は、それぞれ6年と3年(学校教育法第19条と第37条)。
足すと9年なので、義務教育は中学3年生までと言えます(実際には義務教育の年数は学年ではなく子どもの年齢で決まっています〔学校教育法第22条〕)。
そのため、高校は義務教育に当たらず、授業料もタダにはならないのです。
ちなみに、学校教育法第26条第1項では、義務教育中でも、市町村の教育委員会が、問題のある生徒の保護者に、「あの子どもを登校させるな」と命令できる、と定められています。
その「問題」とは、第1項の第1号から第4号までに定められた次の4つ。
第1号「他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為」(つまり、いじめ・恐喝をする奴)
第2号「職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為」(つまり、先生をいじめる奴)
第3号「施設又は設備を損壊する行為」(つまり、何かを壊した奴)
第4号「授業その他の教育活動の実施を妨げる行為」(つまり、授業中うるさ過ぎて邪魔な奴)
これらの行為を何度も繰り返し行った場合、教育委員会は第2項に基づき、その生徒を止めさせる事が出来ます。
第2項では、「保護者に、自分の子どもの行動についてどう思うかを聞く事」と、「止めさせる事や、止めさせる理由、期間を保護者に伝える事」を、教育委員会の義務として挙げています。
なお、この「止めている間」も、教育委員会は、その生徒に対して、何らかの教育をしなければなりません(第4項)。
と、このように、「親の義務」よりも「教育委員会の権力」の方が、強くなっているのです。
まぁ、「周りの生徒に迷惑をかけさせない」というのが、一番の理由なのですが。

車は左、人は右!
車は左、人(歩行者)は右。
これは、みなさん知っているはずです(もっとも、守ってる人は見る限りではかなり少ないですが)。
これは単なる暗黙のルールかと思いきや、道路交通法でしっかり定められてることなのです。
道路交通法第10条第1項には、
「歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる。」
とあります。
噛み砕けば、「歩行者は、歩道か、歩道が無い場合は、車道の右側を歩け。ただ、右側が歩けない場合は、左側でも良い」と言う事。
また、第2項では、「歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、(中略)歩道等を通行しなければならない。」
つまり噛み砕くと、「歩道がある場合は、歩道を通れ」と言う事。
ただし、第1号と第2号にて、「車道を横断する時」(第1号)と、「歩道を歩く事が出来ない時」(第2号)は、車道を歩いても良い事になっています。
さらに、道路交通法は思ったよりも細かくいろんなことが書かれています。
例えば、第12条第1項には、
「歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない。」
つまり、「横断歩道があったらそこを渡れ」とありますし、
さらにわざわざ第2項には「歩行者は、(中略)斜めに道路を横断してはならない。」とまで書いてあります(ただ、「斜め横断OK」の標識がある場合はもちろん渡ってOKです)。
ただし、第13条に、車両が入れない車や、歩行者天国のような場所では、この規定は適用されない、と定められています。
ちなみに、この規定に特に罰則は無いようです(あるかも知れませんが、見つかりませんでした。どなたか知っていたら、教えてください)。
また、道路交通法第76条の第1項から第4号までには、道路での禁止行為が書かれています。
道路での禁止行為は、
1;信号機や道路標識などに似た物を、道路に置く事。
2;信号機や道路標識などが見づらくなるような物を道路に置く事。
3;交通の邪魔になる物を道路に置く事。
4;酔っ払って道路でふらつく事。
5;道路で交通の邪魔になるような形で、寝たり、座ったり、しゃがんだり、立ち止まる事。
6;交通の頻繁な道路で、ボール遊びや、ローラースケートなどをする事。
7;石やガラス瓶など、歩行者や車などを傷つける可能性の物を投げたり発射する事。
8;走ってる車の中から、物を投げる事。
9;道路で走ってる車やバス、路面電車に飛び乗ったり飛び降りたり、外からつかまる事。
などが挙げられています。
ちなみに、1と2の違反者は、6ヶ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金、
3の違反者は、3ヶ月以下の懲役、又は5万円以下の罰金、
4〜9の違反者は、5万円以下の罰金に、それぞれ処されます。

融通のきかない詐欺罪
人を騙す犯罪、詐欺罪。刑法第246条に記されており、10年以下の懲役に処させる罪です。
人に嘘をつけば、それだけで詐欺罪になると考えている人も少なくないでしょう。
ところが、実は意外とそうではないのです。
刑法第246条第1項には、「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」とあります。
つまり、詐欺罪が成立するためには、「人を騙す事」と「お金を手に入れる事」の2つが同時に成り立つ必要があるのです。
そして、次のような場合も、詐欺罪になりません。
例えば、「黙っていた場合」。
どう言う事かと言うと、例えば、「あの男」と言うと、普通は、大人の男性を思い浮かべます。
しかし、実は「あの男」と言うのは少年。
この時、「少年」と言う事を「黙ってい場合」、普通は「あの男」を大人だと思い騙されてしまいますが、
この場合は、詐欺罪にはならないのです。
つまり、この心理を巧く利用できれば(つまり、何も言わないで騙す事が出来れば)、詐欺にはならないのです。
ただし、その「黙っていた事」が、法律上「言わなければいけない」事だった場合は、詐欺罪にあたります。
例えばお釣りが多いのに気付いてもそれを言わなかった場合は、詐欺になります(詳しくはこちら)。
また、「普通の人なら、これで騙せる!」と言う事を誰かにやって、たまたまその「誰か」がカンが鋭く、騙されなかった場合。
この場合は、「詐欺未遂罪」が成立し、10年以下の懲役に処されます。
それと、結婚詐欺、と言うやつがありますが、あれも詐欺の一種。
そのため「結婚しよう」と言っておいて結婚しなくても、金銭的利益を得ない限り、詐欺罪にはならないのです(ただし、民法上の責任を負われる可能性はあります)。

押収された覚醒剤はその後どうなるの?
覚醒剤はいまや、暴力団などの犯罪組織内だけでなく、一般市民の間にも密かに広がっています。
もちろん、覚醒剤は持っているだけで犯罪。
それらの覚醒剤や麻薬類は、警察に押収されます。
ところで、この押収処分を受けた覚醒剤は、その後どうなるんでしょう?
もちろん、薬品会社に売り飛ばされているなんて事はありません。
押収された覚醒剤はすぐに検査され、成分などを明記した鑑定書をつけて一旦封印されます。
そして、裁判所などの取り調べが一件落着すると、廃棄処分されます。
廃棄処分は、2人以上の立ち会いの下、焼却されることが多いようです。
このとき、厚生労働大臣の印が必要とされています。

殴らなくても暴行罪
もちろん、蹴っ飛ばしても暴行罪だ、と言いたいわけではありません(まぁ、確かに蹴っても暴行罪ですが…)。
暴行罪と言うと、殴ったり蹴ったりすることを連想するかと思います。
そして、それ以上はさほどないと思っているかと思います。
しかし、実は暴行罪は結構融通が利き、応用範囲も広いのです。
例えば、人に故意にボールなどをぶつけても暴行罪となります。
他には、ホースで水を人にぶっかけても暴行罪になります。
さらに、ホースでかけなくとも、バケツでもなりますし、なんと手に付いた水をピッと飛ばして人にかけるのも暴行罪となるのです。
これだけでなく、殴り掛かる、蹴りかかる、又は殴るまね、蹴るまねをするだけでも暴行罪となります。
ですので、殴り掛かり、紙一重で止めても、暴行罪になってしまいます。
さらには、人の髪の毛やヒゲを勝手に切ったり剃ったりしても暴行罪、
狭い部屋の中で、相手を脅すために日本刀を振り回しても、暴行罪になります。
なお、「殴らなくても暴行罪2」にもっと詳しく書いてあります。

救急車が事故を起こすと…?
救急車は、赤信号も無視できるし、反対斜線を走っても許されます。
が、しかし、こうなってくるといくらサイレンを鳴らしても「そこの車どいてください」と言っても、事故が起こることはあります。
そのとき、患者はどうなるのでしょうか?
消防庁によれば、交通事故がおきた場合、ぶつけた場合でもぶつけられた場合でも事故現場にとどまり、新たな救急車を呼んで、患者を移し替えるそうです。
一刻を争うときに、そんな悠長なことをやっていていいのか?
と思ってしまいますが、これが原則なのです(おそらく、普通の交通事故として扱われるのでしょう)。
ちなみにこれは、両方救急車のときでも同じです。
また、患者を運んでいるときに別の交通事故を目撃し、負傷者が出ている時はどうするのか、これも決まっているそうです。
こんなときは、無線で総合司令官室に連絡を入れて通り過ぎると言うのが原則。
しかし、車内の患者の容体が命に別状がないときは、隊員を現場に1人残して応急処置をしたり、補助ベットを使って新たな患者を乗せることもあるそうです。
つまり、「救急車で相乗り」が出来るわけなのです。
あまり、やってみたいとは思いませんが。

銭湯で風呂の栓を抜くと罪になるのか?
銭湯や温泉などに行った事のある方は、多いはずです。
銭湯では、隅の方をよ〜く見れば、どこかに栓があるはずです。
さて、ではその栓を引っこ抜くと、果たして犯罪になるんでしょうか?
結論から言いますと、実は犯罪になるのです。
犯罪名は「器物損壊罪」。
刑法第261条には、「(前略)他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」とあります。
つまり、「人の物を壊したり傷つけた奴は、3年以下の懲役か、30万円以下の罰金か、科料に処する」と言う事(大して要約できてませんが)。
しかし、実際には「破壊」まで行かなくても、この器物損壊罪が適用されます。
過去の判例では、その「物」が、壊れた場合以外でも、それの本来の使い方が出来なくなった場合にも、器物損壊罪が適用されるとされています。
風呂の栓を抜けば、当然風呂のお湯は減ります。下手をすれば無くなります。
その為、本来持っている機能を損なわせた(つまり、本来の使い方が出来なくなった)と見なされ、器物損壊罪になるのです。
銭湯へ行くさいは、栓に十分ご注意を。

あまり使われなさそうなこんな法律
さて、硬貨を折り曲げた事があるでしょうか?
おそらく、あまり無いかと思います。
さて、このあまり行わない行為。実はなんと犯罪なのです。
犯罪名は「貨幣損傷罪」。「貨幣損傷等取締法」と言う法律で定められています。
お金をわざと壊した場合などに罰せられる事になっています。
これは、お金を大切に、と言う意味の他に、昔のコインは金や銀で作られたものがあり、金、銀が値上がりした時に溶かして売られるのを防ぐ目的もありました。
貨幣損傷等取締法はとても短い法律で、全部で3項までと、附則が2項、附則抄(しょう)が1条しかありません。
そして、同法の第1項、第2項、第3項にはそれぞれ、
第1項「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。」
第2項「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。」
第3項「第一項又は前項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」
とあります。
つまり、全部をひっくるめると、
「貨幣(この場合はコインのみ)を、壊したり、溶かしたり、そのために集めたりした場合は、1年以下の懲役か、20万円以下の罰金に処する」
と言う事です。
なお、この法律での「貨幣」とは硬貨(1円玉、5円玉、10円玉…)だけを言うので、お札は含まれません。
どうぞ、お金は大切に…。

家の庭は地下何メートルまで自分の物か?
マイホームを持っている人は、大抵自分の土地も持っています。
では、その地下は、果たして自分の物なのでしょうか?
民法第207条には、土地の所有権の限界が次のように規定してあります。
「土地ノ所有権ハ法令ノ制限内ニ於テ其土地ノ上下ニ及フ」
読みやすく直すと「土地の所有権は法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」となります。
と言う事はどう言う事かと言うと、自分の土地の上下は、基本的に全て自分の物、と言う事です。
つまり、地下深くから、上空まで、ずっと自分の物になるわけです。
ただし、「法令ノ制限内」とあるように、特例はあります。
例えば、電話線の地下ケーブルや、地下鉄を通すときなどは、個人の世有権よりも公益が優先されます。
こればかりは、公共のためなのでいたしかたありません。

空気を盗むと…?
空気を盗むとどうなってしまうのでしょうか?
もちろん、そこいらにある空気を盗んだところで、何の罪にもなりません。
第一、窃盗の立証が出来ませんしね。
しかし、場合にとって、窃盗罪が適用されてしまうことがあります。
例えば、次のような場合がそうです。
アパートの隣部屋にクーラーがついていたとします。
自分の部屋はクーラーが無く、うだるような暑さ…。
そこで、こっそりと隣家との壁に穴を開け、こっそり冷気を貰いました…。
こういう時、隣家の訴えがあれば、有罪になり兼ねません。
これは、過去に、
「本罪の目的となりうる財物であるか否かは、可動性および管理可能性の有無を標準として決すべきである」
と言う判例があったためです。
噛み砕くと、「動かせて、管理できる物を盗ったら、窃盗罪にする」と言う意味。
空気は思いっきり動かせますし、窓やドアを閉めたり、換気扇を回したり、冷暖房をつけるなどして、管理をする事も可能。
そのため、空気は「財物」と見なされ、盗んだ場合は、窃盗罪になってしまうのです。
もちろん、これはストーブの温風を盗んでも同じ事です。
刑法第235条(窃盗)「他人の財物を摂取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役に処する」
この「財物」に、「空気も含まれますよ」と、こう言うわけです。

偽札を見つけたら、どうすればいい?
さすがに「使ってやる」と考える人はいないでしょう。
偽札を見つけた時、我々には警察に届けなくてはならない義務があります。
では、実際に警察に持っていくと、どうなるのでしょうか?
実はこれが、なかなかラッキーな事になります。
警察に持っていくと、本物のお札と交換してくれるのですが、その時、プラス2千円貰えるのです。
例えば、千円札の偽札を見つけたとして、それを警察に持っていけば、3千円となるのです。
1万円札でも、1万2千円。
ちなみに、お札を手に入れた後、それが偽札だと気付いた場合。
刑法第152条「収得後知情行使等」に、
「貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。」
とあります。
噛み砕けば、
「お札を手に入れた後偽札だと気付き、それを使ったり、使う目的で他人に渡した人は、お札の3倍以下の罰金か、科料(ただし2千円以上)に処する」
と言う事。
偽札だと気付いたにもかかわらず、しばらく持っていると、運が悪いとこれが適用される可能性があるので、気をつけてください。

妻のヘソクリは一体誰の物か?
わずかなお金をちょこっとずつ秘密にためたものを「へそくり」と言います。
大抵の場合は妻が夫の収入の中から少しずつためたお金のことを意味します。
でもそのへそくりは、本当に妻のものなのでしょうか?
「わたしがためたんだから、わたしのものでしょ!」と主張する妻。
「オレが稼いだ金なんだから、オレのものだ!」と主張する夫。
さて、法律はどちらに微笑むのでしょうか?
民法第762条第1項「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする。」
と言う規定があります。
噛み砕けば「夫婦の片方が、結婚前から持っていた財産(お金など)と、結婚後、自分が手に入れた財産(お金など)は、その人の物」と言う事。
「ということは、妻のへそくりはオレの物、と言うことか」
と思いがちですが、実はへそくりは法律上、夫婦のどちらの物かはっきりされていないお金と見なされています。
その場合は、先ほどの条の第2項、
「夫婦のいずれに属するか明かでない財産は、その共有に属するものと推定する。」
が当てはまります。
つまり、夫婦のどちらの物か判らない物は、2人の物、と言う事。
ですので、妻のへそくりを見つけたら
「半分だけよこせ」
と妻に請求することができるのです。

サンタクロースには不法侵入罪が適用されないのか!?
子どもたちに夢とプレゼントを与えてくれるありがたいサンタクロース。
さて、彼は知っての通り、エントツから入ってきて、プレゼントをそっとおき、そして帰っていきます。
しかし、よくよく考えてみれば、エントツからこっそり入ってきて、不法侵入罪にはならないのでしょうか?
不法侵入罪は、刑法第130条にて定められており、そこには、
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」
とあります。
つまり、「ちゃんとした理由が無くて、他人の家に入ったり、頼まれたのに出て行かなかった人は、3年以下の懲役か、10万円以下の罰金」と言う事。
ちゃんとした理由が無く入ると、不法侵入罪…つまり、
「プレゼントを子どもたちに与える」
と言う理由が正当な理由か否か?
サンタクロースに不法侵入罪が適用されるかされないかは、ここにかかっています。
まぁ、あとは裁判長にお任せ、ってことですね。
ちなみに、過去の判例ですと、「侵入」とは、「他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ること」とされています。
ですので、その家の管理権者(たぶん親)が、「サンタクロースが家に勝手に入ってくる」と言う事を、拒否しているかいないかが、重要な決め手です。
もし拒否していれば、サンタクロースは不法侵入罪、拒否していなければ、無罪となります。

未成年者が“おとそ”を飲むと、未成年者飲酒禁止法に違反するのか?
お正月になると飲む「御屠蘇(おとそ)」。
さて、このおとそ。
薬屋などで売っている「屠蘇散(とそさん)」という漢方薬の一種を、みりんを少し混ぜたお酒につけたものなのですが、
果たして、これを未成年者が飲むと未成年者飲酒禁止法に違反してしまうのでしょうか?
未成年者飲酒禁止法第1条第1項には、「満二十年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス」とあります。
要約すると「満二十歳にならない人(これ以降、未成年者)は、酒類を飲んではいけない」ということです。
もちろん、おとそだって立派な酒類。この法律に当てはまり、未成年者が飲むと立派な犯罪となります。
また、未成年者飲酒禁止法第1条第2項には、
「未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者若ハ親権者ニ代リテ之ヲ監督スル者未成年者ノ飲酒ヲ知リタルトキハ之ヲ制止スヘシ」
とあります。
要約すると「未成年者の保護者は、(自分の保護している)未成年者が酒を飲もうとしていたら(又は飲んでいたら)、それを止めなくてはいけない」という意味です。
つまり、お正月に未成年者がおとそを飲み、保護者がそれを「ま、お正月だし、おとそぐらいならいいでしょ」とかいう、軽い気持ちで放っておくと、未成年者、保護者、仲良くブタ箱にぶち込まれます。
ちなみに、お酒を飲もうとしている未成年者を止めなかった保護者は、科料に処されます。
ただ、未成年者自身には、大した罰則はありません。
その代わり、第2条にて
「満二十年ニ至ラサル者カ其ノ飲用ニ供スル目的ヲ以テ所有又ハ所持スル酒類及其ノ器具ハ行政ノ処分ヲ以テ之ヲ没収シ又ハ廃棄其ノ他ノ必要ナル処置ヲ為サシムルコトヲ得」
とされています。
噛み砕けば、
「未成年者が飲む目的で持っていたお酒や、それにまつわる器具を持っていた場合は、それらを没収する。そして、その他に必要な処罰を下す」
と言うような意味です。

超危険な自転車練習
自転車…それは、乗れるまでは目茶苦茶難しい乗り物。
が、何故か一度乗れるともうあとはすいすい乗れるという、不思議な乗り物。
誰もが、一度は自転車練習中にぶっ倒れたことでしょう。
さて、この自転車練習。倒れて覚える、とよく言いますが、実は、この言葉の中には、とんでもない真実が隠されているのです。
自転車練習中、後ろを手で押さえているのが普通だと思います。
で、「倒れて覚える」がために、ぱっとその手をはなす人が、ほとんどかと思います。
実はこれ、犯罪なのです。
罪名は、刑法第204条で定められている、「傷害罪」。
では何故これが傷害罪になるのでしょうか?
過去の判例では、
「傷害罪は結果犯であるから、その成立には、傷害の原因である暴行についての意思が存すれば足り、特に傷害の意思の存在を必要としない」
とされています。
どう言う事かと言うと、つまり、
「相手に暴行した時、別に相手を傷付けようと思って無くても、相手が傷付いてしまった場合は、傷害罪」と言う事。
「手を離せば倒れる」と言う事は、誰にだって予測が付きます。
にもかかわらず、手を離した。これは、「相手を転倒させようとする意思があった」と見なされてしまうのです。
ただ、「まさか倒れると思わなかった」と言う主張が通れば、刑法第209条「過失傷害罪」が成立すると思われます。
実際どうなるかは、裁判を起こしてみないとわかりませんが…。
ちなみに、傷害罪は10年以下の懲役か、30万円以下の罰金、又は科料、
過失傷害罪は30万円以下の罰金か、科料にそれぞれ処されます。

自分の家の庭にお墓を作ることは可能か?
飼っていたペットが亡くなると、庭に埋葬する人がほとんどかと思います。
では、人(親族)が亡くなった場合でも、同様にする事が出来るのでしょうか?
すなわち、庭に墓を作って埋葬できるのでしょうか?
「墓地・埋葬等に関する法律(略称;墓地埋葬法)」と言う法律があります。
墓地埋葬法第4条第1項には、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」とあります。
ですので、自宅の庭に埋葬することは出来ないのです。
ただ、方法が完全に無いわけでもありません。
同法第10条には、「墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。」とあります。
経営するわけではなくても、墓地を作る場合には許可が必要。
ですので、許可さえおりれば、自宅の庭に墓地を作り、埋葬することは可能です。
可能ですが、、個人の土地に墓地として許可がおりることはほとんど無いとの事です。
しかし、まだ方法はあります。
確かに、墓地以外の場所に埋葬することは禁じられていますが、遺体や遺骨の埋葬さえしなければ、庭に墓を建てたとしても、違法ではありません。
記念碑的な物として、墓石などを建てる事自体は法律では禁じられていないので、自宅の庭でもお墓を建てるだけなら問題はありません。
ただ、そこに霊がやって来るかどうかは、ちょっとわかりませんが……。
また、「遺骨を埋葬しなければならない」と言う法律もありません。
ですので、遺骨を箱に入れたまま、家に置いておくのは、法律上は可能です。
ちなみに、許可無く墓地以外のところに遺体や遺骨を埋葬すると、1000円以下の罰金か、拘留、又は科料に処されます。
拘留とは1日以上30日未満、犯罪人を拘留場に拘置するものです。

ポイ捨てはこんな法律で裁かれている
時々見かける、「不法投棄禁止」の看板。
この看板などからわかるように、ポイ捨ては立派な犯罪です。
犯罪を犯している人に向かって、「○○法第○条違反」などと言えると、なんとなくカッコイイような気がする人は、多いでしょう。
では、ポイ捨ては何法の第何条で裁かれているのでしょうか?
ポイ捨ては、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(略称;廃棄物処理法)」の第5条第3項で禁止されています。
廃棄物処理法の第5条第3項には、「何人も、公園、広場、キャンプ場、スキー場、海水浴場、道路、河川、港湾その他の公共の場所を汚さないようにしなければならない。」とあります。
これは、ポイ捨てと同時に落書きも禁止しています。
みなさん、地球環境にも非常に悪いので、ポイ捨ては絶対に止めましょう。

法に背かずにNHKの受信料金を逃れる方法
こんなことを書いて、NHK(日本放送協会)からクレームが来そうですが、ここはまぁ、とりあえずと言うことで。
実は、この方法を使って受信料金を払っていないところがあると言うことをご存知でしょうか?
それは、電器屋です。
電器屋では、たくさんのテレビを並べ、そのほとんどが点けっ放し。
電器屋の方も、習慣からか、たいていほとんどのテレビがNHKを映しています。
ところが、これだけ堂々とNHKを受信しているのに、集金できないのです。
実は、受信料を取るためには、番組が「見られている」必要性があるのです。
ですが、電器屋の場合はあくまで商品のデモンストレーションとして受信しているため、別に見ていません。
ですので、受信料を払う必要がないのです。
つまり、「これは、友達に売るための見本です!」と言い張れば、逃れられるかもしれません。
また、最初っから受信料金を払うのを拒否し続ければ、案外ちょろまかせるんだとか。
それと受信料は逃れられませんが、近くに空港等があり、電波障害が起こるような地域は、若干受信料が安くなります。
ちなみに、放送法第三十二条には、
「(前略)ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。」
とあります。
要約すると、「受信用ではないテレビか、ラジオ放送か多重放送の受信だけなら、受信料を払う必要が無い」と言う事。
つまり、テレビは見ずに、ラジオだけを聞き、「うちはNHKは見ていない!」と言い張るのも、一つの方法です。
ですが、法的には「受信料を払え」と完全に言える強制力は無いので、頑張れば、結構簡単に逃れられなくもないのです。
最後にもう一つ。
仮にこれらの方法を行って、失敗し、受信料金を取られた、又はなんらかの罰則を当てられても、我々館一同及び管理人は一切の責任を負いませんのであしからず。
ちなみに、「多重放送」とは、現在使用されていない周波数を使って、データを飛ばすことです。

自転車は車道を走るのか、歩道を走るのか?
大きめの道路は、歩道と車道、または路側帯と車道に分かれています。
歩道とは、車道から一段上がっているところや、仕切りがあるところ。路側帯とは、いわゆる「白い線のところ」です。
そして、歩行者は歩道か路側帯を、車は車道を通行しなくては行けません。
では、自転車はどうなるのでしょうか?
自転車の通行方法については、道路交通法の第3章第13節「自転車の交通方法の特例」などに載っています。
ここには、63条の3から、63条の9まで載っていて、自転車だけの特例が載っています。
ですが、先に、第17条と、第17条の2に、通則が載っています。
2つの条文によると、自転車は、基本的には「自転車道」と言うところを走らなければならない事になっています。
しかし、歩行者の邪魔にならない場合は、歩行者の邪魔にならない速度と方法で、歩道も走る事が許可されています。
もし自転車で歩道を走っていて、歩行者の邪魔になった場合は、2万円以下の罰金か、科料に処されます。
では、いよいよ特例を見てみましょう。
特例ではまず、自転車が歩道を走る場合の規定があります。
第63条の4の第2項では、自転車は、歩道の中の車道側を、ゆっくりと走らなければならないと決められています。
また、絶対に歩行者の邪魔になってはいけません(邪魔になりそうな時は、自転車が一時停止する)。
もし怠った場合は、先ほどと同じように、2万円以下の罰金か、科料に処されます。
そして自転車は、2台までは横に並んで走る事が出来ます。
しかし、3台以上は横に並んではいけない、と定められています(第63条の5)。
次は、路側帯の場合。
この場合、自転車は路側帯と車道の、どちらでも走って構いません。
ただし、これは路側帯と車道が1本線で区切られている場合。
路側帯と一言に言っても、実は2種類あるのです。
一つは1本線で区切られている路側帯、もう一つは2本線で区切られている路側帯です。
2本線の場合、自転車は車道を通行しなくてはいけません(また、歩行者は路側帯を通行しなくては行けません)。
実は、いろいろと細かく決められているのです。

たった一つだけ存在する必ず死刑になる犯罪
一般的に、被害者の遺族等の心情はどうあれ、死刑が最も重い刑罰だとされています。
しかし、死刑は死刑執行人にとっては、なかなか執行しづらい刑罰。
そのためなのか、遺族らにとっては死刑にして欲しいような人に対しても、なかなか死刑の判決は下されません。
そんな中、この犯罪を犯し、それが立証されると、100%死刑になるという犯罪が存在します。
それは、刑法第81条「外患誘致(がいかんゆうち)」と言う罪です。
刑法第81条には、「外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。」とあります。
つまり、「日本を攻撃しようとしている国に手を貸し、その国に日本を攻撃させた人は、死刑にする」と言う意味です。
たいていは「死刑、又は…」などと続くのですが、この犯罪だけは、死刑のみ。
もっとも、現時点(2003年3月5日)では、まだその判決がなされた事例はないようです。
ちなみに、これは、攻撃が失敗した場合でも、同じく死刑になります。
また、外国の手下になった人は、死刑か、無期懲役か、2年以上の懲役になり(刑法第82条「外患援助」)、
外患誘致、外患援助の準備をした人(又は企んだ人)は、1年以上10年以下の懲役となります。
罰金は無く、全て死刑か懲役。日本と言う国は、「国を裏切る」と言う行為を強く禁じている事が、ここからわかるかと思います。

車のナンバーの読み方
現在、日本にある自動車の数は、何億と言われています。これは、国民全員が1台以上車を持っている計算になります。
国土交通省では、こういった膨大な数の車を整理するために、ナンバーによって分類をしています。
ご存知のとおり、ナンバーは数字と文字の組み合わせです。
では、その読み方を説明しましょう。
とりあえず、ここでは車のナンバーを「練馬55−さ2364」としましょう。
まず、最初に陸運事務所や、出先機関の所在地単位で「どこの市の物か?」を示します(ここでは「練馬」)。
次に、小型四輪乗用車であることを示す「55」、自家用を示す「さ」、それに4桁のナンバー、と言うわけです。
「あ行」と「か行」はタクシーなどの事業用、「さ行」以下は自家用、「わ」と「れ」はレンタカー、となっています。
使用されない文字もあります。
「お」「し」「へ」「ゐ」「ゑ」「ん」の6文字です。
「お」は「あ」と字体が似ていて混合するため、「し」「へ」はそれぞれ「死」「屁」を連想するため、「ゐ」「ゑ」は旧字体のためです。
ただ、「ん」を使わない理由は不明です(知っている方、いらっしゃったら教えてください)。
ナンバーで使用されないのは、下二桁の「42」と「49」。
それぞれ「死に」と「死苦」になってしまうので、縁起が悪いと避けられているのです。
ただし、上二桁なら「42」や「49」もあります。
つまり、「4219(死に行く)」や「4971(ヨクナイ)」もあるわけです。
探してみたら、案外近くにあるかもしれませんよ?
ちなみに、これらを考えると、「55−さ4444」と言うものすごく不吉なカーナンバーも、存在する事になります。

殴らなくても暴行罪2
殴らなくても暴行罪」の続きです。
前述の「殴らなくても暴行罪」で既に、殴るまね、蹴るまね、水をぶっ掛ける等でも暴行罪になる、と書きました。
しかし、それ以外にも大量に暴行罪になるものはあるのです。
例えば、耳の近くで大声を出す。
これも場合によっては暴行罪になります。
また、ガラスをこすったときのような「キーッ!!」と言う音も、相手に無理矢理聞かせれば、暴行罪となりますし、
大太鼓や打楽器の鉦(かね)を相手の近くで連打し、意識朦朧(もうろう)にしたり、脳貧血を起こさせた場合も、暴行罪になります。
子供の頃に流行った「カンチョー」や、悪臭を無理矢理嗅がせる、水を大量に飲ませる、食べ物を無理に食わせる、雑巾を口に突っ込む等も、暴行罪となります。
さらに、なんと相手にちょっと触れるだけでも暴行罪になってしまうのです。
何故ここまで応用範囲が広いかと言うと、条例を見て見ればわかります。
暴行罪が定められている条例……すなわち、刑法第208条には、
「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」
と書かれているのです。
すなわち、
「その行動が暴行罪であるか否か?」
は、全て裁判官が判断することなのです。
極端な例をあげれば、思いっきり殴っても暴行罪にならないこともあれば、ちょっと触れただけで暴行罪になることもあるのです。
全ては裁判官次第……裁判官の責任とは、想像以上に重いのです。

政府の報告書は何故「白書」と言うのか?
政府の提出する報告書のことを「白書」と言います。
いろいろとつらつら文字が書かれているのに、なぜ「白書」…つまり、「白い書物」と言うのでしょうか?
それは、イギリスに関係があります。
イギリスの政府は、外交の内容を国民に知らせるために、「ホワイト・ペーパー(white paper)」と言う公式の調査報告書を出していたのです。
これを直訳して、日本初の公式調査報告書に「白書」と名づけたことから始まっています。
となると当然出てくる疑問が「何故イギリスはホワイト・ペーパーと言ったのか?」です。
これは実に単純で、単に表紙に白い紙を用いたことによるものです。
「ホワイト・ペーパー」の他に、「ブルー・ブック(blue book)」と呼ばれるイギリス議会と枢密院議会の報告書もあります。
もちろん、この報告書も表紙に青い紙を用いているためにこう呼ばれたものです。
これらを直訳して、政府が現状を一まとめにして、報告書のような形を取った文書のことを「白書」や「青書」と呼んだのです。
ちなみに、日本で初めて白書が出されたのは、昭和22年(1947年)7月の片山哲(かたやまてつ)内閣の時で、「経済白書」がその第一号です。
全文52ページの小冊子程度のものですが、「財政も企業も家計も赤字」と言う表題で、執筆者の都留重人(つるしげと)氏が敗戦直後の混乱した経済情勢について報告しています。
スタート当時はいつまで続くかわからないと思われていましたが、回を重ねるごとにページ数も増え、
「50回近くも続いている白書はアメリカ大統領経済諮問(しもん)委員会の年次報告があるだけ」といわれるほど息の長いものになっています。
いまでは、ほとんどの省や庁がこの白書、または青書を出しています。

満二十歳と未成年
法律には、「満二十歳」と「未成年」と言う言葉が、頻繁に出てきます。
日常生活では両者はごっちゃにして使ってしまいますが、法律的には、全く別の物なのです。
まず、「満二十歳」。例えば、「満二十歳になっていない者」と書かれた条文があるとします。
この場合、一見すると「20歳の誕生日を迎えていない人」と読みがちですが、実は、「20歳の誕生日の前日を迎えていない人」なのです。
具体例をあげますと、「『満二十年になっていない者』はお酒を飲んではいけない」と決められていますが、
これは、「『20歳の誕生日の前日』になったらお酒を飲んでもいい」と言うことになるのです。
ですので、よく20歳の誕生日にお酒を飲む人がいますが、実際には、その前日に飲んでも法的には構わないのです。
そして「未成年者」と言うのを辞書で見ると、「満20歳に達しない者」すなわち「20歳の誕生日の前日になっていない者」と言う意味になります。
そう考えると、「満二十歳になっていない者」も「未成年者」も同じじゃないか、と言う気がしますが、やっぱり違うのです。
現在(2005年4月)、日本の民法では、男子は18歳、女子は16歳になると、結婚が可能になります。
当然この時は未成年者であり、満二十歳になっていない者です。
しかし、この時に結婚すると、満二十歳になっていないにも関わらず、民法上は「成年」として扱われるのです。
例えば、「未成年者」の結婚は親の同意が必要ですが、1度結婚して20歳前に離婚しても、民法上は「成年」なので、親の同意なしで再婚する事が出来るのです。
ただし、この場合「成年」ではあっても「満二十歳に達した者」ではないので、酒やタバコは禁止されています。
ちなみに、何故「誕生日」ではなく「誕生日の前日」なのかと言うと、2月29日の存在が原因です。
2月29日は、4年に1度しか訪れません。もし法律上、誕生日を区切りとして考えていると、2月29日生まれの人は、法的に4年に1度しか年を取れません。
ですが、このように「誕生日の前日」としておけば、2月29日生まれの人も、2月28日に法的に年を取るので、毎年1回、必ず年が取れるのです。
なお、「誕生日の前日」で法的に年を取るため、1学年で一番初めに誕生日を迎えられる子は、4月2日生まれの子。
学校の学年は3月31日と4月1日を境にしているため、4月1日生まれの子が一番早い気がしますが、
「誕生日の前日」で考えるため、4月1日生まれの子は、3月31日生まれとみなされ、1つ上の学年の、最後に誕生日を迎える子、と言う事になってしまうのです。

監禁罪の意外な適用範囲
刑法第220条に、「監禁罪」と言う罪があります(正確には「逮捕・監禁罪」)。
その名の通り、人を監禁した場合に適用されるのですが、実は監禁以外の行為にも、適用されるのです。
例えば、こんな場合。
Aが恋人のBを車に乗せドライブの途中、Bが別れ話を持ち出し、Aがそれに怒って遠くへ車を走らせ、そこでBを降ろし置いて帰ってしまった…。
こんな場合にも、「監禁罪」が適用されるのです。
何故かと言うと、過去に、
「監禁罪は、(中略)一定の場所から脱出することのできないように継続して人の行動の自由を不法に拘束することによって成立する。」
つまり、「その人を長時間、一定の場所から動けないようにした場合は、監禁罪」と言う判決が下ったからです。
今回のような場合、AはBを「疾走する車の中」と「見知らぬ遠い場所」と言う2箇所に置く事で、長時間「自由」を「拘束」したと見なされるのです。
また他にも、脅迫や暴行、騙しなどで、一定の場所から動けないようにした場合でも、適用されます。
例えば、「そこから動くと爆弾が爆発する」などと言ってしばらく相手が動けないようにした場合、監禁罪になるわけです。
ちなみに、監禁罪は3か月以上5年以下の懲役刑です。

天皇は普段、何をしているのか?
日本国憲法にて日本国の象徴であるとされている天皇様。
この天皇様、いったいどんな仕事をしているのでしょうか? それ以前に、仕事などあるのでしょうか?
どの程度の仕事量なのかはよくわかりませんが、天皇にもちゃんと仕事はあります。
日本国憲法第6条と第7条に、天皇の仕事について書かれています。
1;国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する。(第6条第1項)
2;内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。(第6条第2項)
3;憲法改正、法律、政令及び条約を公布する(つまり、新しい法律を国民に知らせる事。第7条第1号)
4;国会を召集する(第7条第2号)
5;衆議院を解散する(第7条第3号)
6;国会議員の総選挙の施行を公示する(つまり、「選挙をやるよ」と国民に言う事。第7条第4号)
7;国務大臣及び法律の定めるその他の官吏(かんり)の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証する(つまり、役人を辞めさせたり、外国のお偉いさんに「日本に来ていいですよ」と言う事。第7条第5号)
8;大赦(たいしゃ)、特赦(とくしゃ)、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証する(つまり、犯罪者の刑を軽くする事。第7条第6号)
9;栄典を授与する(つまり、国に貢献した人を表彰する事。第7条第7号)
10;批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証する(つまり、条約を受け入れたり外国の要望を聞き入れる事。第7条第8号)
11;外国の大使及び公使を接受する(つまり、外国から来た人を接待する事。第7条第9号)
12;儀式を行ふ(第7条第10号)
以上です。

タクシーの深夜料金が割増になる法的根拠
タクシーの料金は、午後10時(一部の都市では午後11時)を過ぎると割増料金になります。
タクシーは深夜利用の方が多いと言いますのに、なぜ深夜には料金が割増になるのでしょうか?
普通は、利用客が多い時間帯には、少しだけ値段を下げるものですが……。
実は、この割増は、法的根拠に基づいた割増なのです。
労働基準法の第37条第3項には
「使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」
とあります。
噛み砕くと、「午後10時から午後5時まで働かせる場合は、普段の給料に25%を上乗せした額を支払え」と言う事。
タクシーももちろん例外ではなく、運転手には割増賃金を支払わなければなりません。
その分、深夜はコストが上昇するのです。
そうなれば、ツケが回ってくるのは客の方。
つまり、早い話が、深夜は運転手の賃金が割増になるので、客も割増料金を支払わなければならない…そういうことです。

古くなったお札は、その後どうなるのか?
金は天下の回り物…と言うことわざがあります。
「金持ちも金銭を失うことがあり、貧しい人が金持ちになることもあるから、金銭が無くてもくよくよするな」と言う意味です。
さて、金はこのようにして人から人へと渡るわけですが、そうすれば当然、徐々にボロボロになっていきます。
そうなったお金はどうなるのでしょうか?
硬貨の場合は、金属製であるため、デザインの変更が無い限り半永久的に使え、半永久的に使用されるようです。
しかし、お札はそうもいきません。古くなったお札はどうなるのでしょうか?
発行から順を追って行きましょう。
まず、お札は日本銀行から出発し、各銀行に行きます。
そこからわたし達の手元にやって来て、そしてさらに多くの人へと渡るわけです。
そうしていくうちにボロボロになってしまったお札が、(偶然にも)日本銀行に戻ってきた際に、そのお札が「寿命」かどうか、判断されます。
そして、そこで「寿命」だと判断されると、お金としての役目を終えることになります。
もちろん、そうなると処分されます。
お札は日本銀行本店の地下工場で、薬品を使って溶かされるのです。
そして、再生紙として新しいスタートを切るのです(最終的には段ボールの芯などになることが多いとか)。
ちなみに、お札の平均寿命は1万円札で約2年〜2年半、よく使用される千円札だと約1年〜1年半だそうです。

衛星放送の衛星が墜落したら、その月の放送料金はどうなるのか?
まさか墜落する事は滅多にないにしても、故障する事はまれにあるでしょう。
さて、もし墜落又は故障などして放送が出来なくなった場合、その月の放送料金はどうなってしまうのでしょうか?
日本放送協会(NHK)の放送受信規約13条では、月の半分以下しか放送が出来なかったら(つまり、月に15日しか放送できなかったら)、料金は徴収しないことになっています。
ただしこれはNHKの場合。民放は(スポンサーから受け取る分を)どうしているかわかりません。

天皇が罪を犯したらどうなる?
我々一般人は、罪を犯したら警察に捕まり、裁判所で裁判を受け、そこで有罪か無罪か、そして有罪だったらどんな刑罰を与えるか、を決めます。
では、これが天皇だったらどうなるのでしょうか?
天皇は罪を犯しても、特別扱いなのでしょうか? それとも、ちゃんと警察に捕まって、裁判所で裁判を受けるのでしょうか?
実はこの疑問。現段階では誰にも答えることはできないのです。
法律と言うのは、いままでの積み重ねで出来上がっていきます。
「こんな事件が起こった。じゃあ、それに対応できる法律を作ろう」
そうやって法律は改正を繰り返し、新しい法案をどんどん取り込みながら、現在の形になって来たのです(そして、これは現在でも続いています)。
また、裁判を行う際も、
「過去に、今回の事件と非常に良く似た事件が起こった。そして、その時の判決は○○だった。じゃぁ、今回の判決も○○で行こう」
と言う風にして、判決が下されます。
しかし、今まで一度たりとも天皇が罪を犯したことがないのです(少なくとも、裁判沙汰になるようなことは)。
そのため、六法全書のどこにも「天皇が罪を犯した場合」の事が書いておらず、また、裁判官にも、実際天皇が罪を犯した場合どうするべきか、わからないのです。
いま、法学者たちがこの問題に取り組んでいるらしいのですが、実際のところどうなるかは、実際に天皇が罪を犯してみないと、誰にもわからないのです。

高速道路の出口でお金がなかったらどうなるのか?
高速道路の出口には料金所があり、そこで高速道路の通行料を支払います。
さて、もしここでお金がなかったらどうなってしまうのでしょうか?高速道路の出口でお金がなかったらどうなるのか?
まさか、通り抜けて一旦家に帰って持ってくる…なんてこと、やらせてくれるはずもないですし、急がなければ後ろがどんどん詰まってきます。
しかし、これは意外と簡単で、金がないと素直に言えば、路肩の方に行くようにと言われます。
路肩で少し待つと係員が来て、運転免許証の番号と、「料金を支払います」と書面にサインします。
そして、料金を7日以内に銀行に振り込んで、終了です。
もし支払わなければ、利子がついて催促状が来ます。

死刑でも生命保険はもらえるのか?
現在、賛成派と反対派で真っ二つに分かれている「死刑」。これは読んで字の如く、その人を死にいたらせる刑です。
さて、現在の世には「生命保険」と言う、死亡した場合にその遺族に保険金を支払うと言う制度があります。
この生命保険は、自殺などの場合は支払われないこともあるのですが、死刑の場合はどうなるのでしょうか?
やはり、死んだからには払うのでしょうか?
これは、商法第680条にしっかり明記されています。
商法第680条第1項には、
「左ノ場合ニ於テハ保険者ハ保険金額ヲ支払フ責ニ任セス」とあります。
これは、「次の場合、保険会社は保険金を支払わなくても良い」と言う事。
この「次の場合」と言うのは、同条の第1号から第3号までに記載されています。
そしてその中には、「死刑」の項目も含まれています。
つまり、死刑の場合、保険会社は、保険金を支払わなくても別に構わないのです。
ただ、同条第2項にて、死刑の場合でも、保険をかけている人が積み立てた「保険金」は、全額返さなければならない、と定められています。
ちなみに、第1号から第3号までには、
「被保険者カ自殺、決闘其他ノ犯罪又ハ死刑ノ執行ニ因リテ死亡シタルトキ」(第1号)
「保険金額ヲ受取ルヘキ者カ故意ニテ被保険者ヲ死ニ致シタルトキ但其者カ保険金額ノ一部ヲ受取ルヘキ場合ニ於テハ保険者ハ其残額ヲ支払フ責ヲ免ルルコトヲ得ス」(第2号)
「保険契約者カ故意ニテ被保険者ヲ死ニ致シタルトキ」(第3号)
とあります。
第1号は、「保険をかけている人が、自殺、犯罪、死刑によって死亡した場合」
第2号は、「保険金を受け取る人が、保険をかけている人を殺した時(ただし、殺した人が受け取らない分の保険金は、支払わなければいけない)」
第3号は、「保険の契約者が、保険をかけている人を殺した時」
となります。
ちなみに、このうちの第1号と第2号の場合、保険会社は、積み立てた「保険金」を全額返さなければなりません(第2項)。
そのため、死刑でも、積み立てた保険金は返してもらえるのです。

俗に言う「法律の抜け穴」は何故できるのか?
よくドラマなどで、「法律」の盲点をついたあくどいことをやっている奴が登場します。
俗に「法律の抜け穴」と呼ばれているところをついてくるわけですが、この「法律の抜け穴」、何故できてしまうのでしょうか?
法律を考えついた人が、その「抜け穴」に気付かなかった、と言うこともありますが、大きな原因は別にあります。
法律を作ること(これを「立法」と言います)ができるのは、国会だけです(そのため国会を「立法機関」といいます)。
そして、法律を作ることができるのは国会だけですが、法律案(法案)を出すだけなら、内閣でもできます(ここらへんは詳しく説明しようとすると若干長くなるのでここでは省きます)。
さて、国会か内閣のどちらかから出された「法案」は、国会でそれを世に出していいかどうか、議論されます。
多数決その他で決めるわけですが、いきなり全員一致、と言うことはまずありえません。
しかし、法案者(法案を出した人)はどうしてもその法律を世に出したいわけです。
そこで、法案者は100歩譲って、反対する人が納得するように、法案を微妙に変更するのです。
大抵、この変更で、法律は緩和されます。
例えば、元々の法案は「体罰は絶対ダメ」と言う物だったのに、反対する人がいたために「どうしても必要な場合は体罰OK」にする、と言う感じです(本当にこんな議論があったかどうかは不明です)。
この緩和された部分が、俗に言う「法律の抜け穴」となってしまうわけです。

バスの運転手がシートベルトをしていないのは違法じゃないのか?
バスの運転席を思い浮かべてください。
バスの運転手は…シートベルトをしていません。
しかし、現在の日本の法律では、シートベルトの着用は義務付けられています。
では、このバスの運転手の行為、違法ではないのでしょうか?
実は、道路交通法第71条の3の第1項で「やむを得ない理由があるとき」はシートベルトをしなくても良い、とされてるのです。
では「やむを得ない理由」とは、この場合なんなのでしょう?
その理由とは、1つ目が運行中に不測の事故が発生したとき、乗客の安全を守るために、素早く行動ができるようにするため。
2つ目の理由は、乗客がシートベルトをしていない以上、運転手だけが命を守るシートベルトをするわけにはいかない、と言うことです。
こうしたことから、私営公営問わず、「シートベルトをしないように」と指導しているそうです。
でも、一応バスにもシートベルトはついています(これも義務付けられているため)。
ただ、誰も装着しないだけなのです。

胎児は人間じゃない!?
あくまで法律上の話ですが、実は、胎児とは法律上人間の分類には入っていないのです。
では、こうなると浮かんでくる疑問が、
「胎児を殺しても殺人罪にはならないのか?」
と言うこと。
もちろん、人間ではないので「殺人罪」にはなりません。
ただし、法律もそこまで非道ではなく、代わりに刑法第215条第1項に定める「不合意堕胎罪」が適用され、6か月以上7年以下の懲役に処されます。
また、これによってその胎児の母親を死なせた場合は、刑法第216条「不同意堕胎致死傷罪」にあたり、「傷害の罪と比較して、重い刑により処断」されます。
だいたい、もともと堕胎(中絶)と言うのは犯罪で、刑法第29章(第212条〜第216条)で厳しく処罰されています。
妊娠中の女性が、自ら自分の胎児を殺した場合も、刑法第212条の「堕胎罪」になり、1年以下の懲役となる程。
ただし、子どもを産んでも経済的に養育が不可能、と言ったような理由があれば、堕胎(中絶)してもいい、とされているだけなのです。
ちなみに、この「胎児」と「人間」の区別ですが、過去の判決によると、胎児が母親のお腹から少しでも出てきた時点で、「人間」となります。
「人間」となる、と言うか、「殺人罪の客体としての人といえる」
つまり、「母親のお腹から少しでも出た胎児を殺害した場合は、『殺人罪になる』」と言う事です。
ただ、それでいて、胎児には遺産相続権があるのですが…。
最後にもう一度いいますが、これはあくまで法律上の事です。

特許出願中に他の人が同じ物を作ったらどうなるのか?
「特許権(通称;特許)」と言うものがあります。
これは、「特許法により特許を受けた発明を業として排他的独占的に実施できる権利」
簡単に言えば
「自分の発明品を他の人が勝手に作ることを止めさせられる権利」
となります。
このとき、Aさんの発明品をBさんが勝手に真似たら、Aさんは賠償金が貰えますし、Aさんに前もってお金さえ払えばその発明品をいくら作ったって構いません(このAさんに払うお金を「特許料」と言います)。
さて、この特許ですが、特許庁に出願して、登録されて始めて発生します。
つまり、どんなに偉大な発明であろうが、出願・登録されなければ特許は生まれないのです。
では、もし仮にA社がC製品を発明し特許を出願。しかし、その出願中にB社がそれを見てC'製品を作った。
その後A社がC製品の特許を取得した場合、B社が作ったC'製品は、どうなるのでしょうか?
法律はこのぐらいのことはちゃんと考えてあって、A社はちゃんとB社から特許料が貰えるのです。
この特許料は特許登録後何年経ったかによって額が変わり、登録後日が経ってるほどその額が増えます。
特許料は、発明品の使用の許可をもらう時と、その発明品を使用し始めてから、使っている間は毎年払う必要があります。
特許取得から1〜3年間は、許可を得るときに200円払い、毎年2600円ずつ。
4〜6年間は、許可を得るときに600円で、毎年8100円ずつ。
7〜9年間は、許可を得るときに1900円で、毎年2万4300円ずつ。
10〜25年間は、許可をえる時に6400円で、毎年8万1200円ずつ支払います。
ちなみに、特許は25年で消え(ただし、7万4000円で延長請求する事が出来る)、それ以降はどんなに同じ製品が作られようが、特許料が貰えることはありません。
これは、「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする」ためです(特許法第1条)。
なお、特許を得るのにもお金が必要で、1つの発明品につき1万6000円支払わなければなりません。
ちなみに、あまり関係ありませんが、カイロやカラオケボックスなどは特許が取られておらず、発明者の方々はなかなか苦労したそうです。
それと、「東京特許許可局」は実在しません。念のため。

0歳の赤ん坊でもパスポートは必要か?
外国へ行く場合、必ずパスポートと言う「旅券」が必要になります。
パスポートが「旅券」と言うのは変な感じがするかもしれませんが、法律上は「旅券」なのです。
では、0歳の赤ん坊では?
親が同伴すればいいような気もしますが、実は0歳の赤ん坊でもパスポートは必要なのです。
「旅券法」と言う、パスポートに関する法律があるのですが、それにはどこにも「何歳以下は旅券要らず」とは書いてなく、よって0歳でもパスポートは必要となるのです。
ちなみに、パスポートには有効期間がありますが、あの期間は年齢によって違います。
申請時に20歳未満の場合、パスポートの有効期間は5年、20歳以上は5年か10年のどちらかを選択します。
何故20歳未満が5年かと言うと、容貌の変化が激しい、と言う理由からです。
パスポートには、結構細かい規定がいろいろあるので、申請するときは十分に注意しましょう。

新幹線の中で生まれた子ども。さて、出身地は?
まさかこんなこと滅多にありえませんが、もし仮に起こった場合、果たしてどうなるのでしょうか?
その答えは、戸籍法第51条第2項に載っています。
戸籍法第51条第2項には、
「汽車その他の交通機関(船舶を除く。以下同じ。)の中で出生があつたときは母がその交通機関から降りた地で、航海日誌を備えない船舶の中で出生があつたときはその船舶が最初に入港した地で、出生の届出をすることができる。」
つまり、「電車や新幹線、車や航海日誌の無い船の中で産まれた子どもは、母親が最初に降りた地で出生届を出せる」と言う事。
そして同時に、そこが出生地となってしまいます。
また、航海日誌を備えている船舶の中で出生があった場合はどうなるかと言いますと、
戸籍法第55条第1項 「航海中に出生があつたときは、船長は、二十四時間以内に、第四十九条第二項に掲げる事項を航海日誌に記載して、署名し、印をおさなければならない。」
とあります。
第49条第2項に揚げる事項とは、「子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別・出生の年月日時分及び場所・父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍・その他法務省令で定める事項」の4つ。
また、戸籍法55条には続きがあり、
第2項「前項の手続をした後に、船舶が日本の港に著いたときは、船長は、遅滞なく出生に関する航海日誌の謄本をその地の市町村長に送付しなければならない。」
第3項「船舶が外国の港に著いたときは、船長は、遅滞なく出生に関する航海日誌の謄本をその国に駐在する日本の大使、公使又は領事に送付し、大使、公使又は領事は、遅滞なく外務大臣を経由してこれを本籍地の市町村長に送付しなければならない。」
となっています。
つまり、
「いかなる場合においても出生場所が『交通機関内』と言うことはありえず、全ての交通機関において母親が降りた地点で出生の届出が出来、(つまりそこが出生地となり、)航海日誌のある船舶の場合は、航海日誌の謄本(とうほん/早い話が手書きのコピー)を日本ならばその地の市町村長、外国なら本籍地の市町村長に送付しなければならない」
と言うことになります。
早い話、日本国内なら最初に降り立ったところが出身地、と言うわけです。

噴水に投げ込まれたお金を勝手に持っていくと?
たまに、噴水内に投げ込まれた小銭を見かけます。
なんらかのおまじない効果がある、と言うことでたくさんの人が投げ込んでいくあの小銭。
たまに、わざと投げ込ませるために、設置した人があらかじめ噴水の中に小銭を入れておく、などという手口もあるそうで。
さてこの小銭。結構たまってるし、みんなが自分からポイポイ投げ入れているのだから、少しぐらい…と、失敬すると、どうなるのでしょうか?
実は、窃盗罪になります。
確かに、そのお金の元の所有者は、そのお金の所有権を放棄したことになりますが、池に投げ込まれた瞬間、そのお金はその池の持ち主の物になってしまうのです。
つまり、賽銭箱の中のお賽銭を持って行くのと同じことなわけです。
ちなみに、似たようなものにゴルフで池に落ちたロストボール。
あれも勝手に持って行くと、立派な窃盗罪になってしまいます。
もしもあのお金が欲しければ、池に落ちる直前にキャッチすればいい…?

発掘した埋蔵金は、果たして誰の物か!?
日本には、全国各地に埋蔵金伝説があります。
では、その埋蔵金。実際に掘り出したら果たして誰の物になるのでしょう?
掘り出した本人の物になると思いきや、実はそうではありません。
まず、その埋蔵金のそもそもの所有者(つまり埋蔵した人)を調べ上げ、明らかにします。
次に、その子孫が名乗り出たとします。
すると、埋蔵金も法律上はただの「財産」つまり「遺産」なので、その子孫に「相続」されます(もちろん、ちゃんと調べた上で「相続」させます)。
そうなると、発掘した人は、謝礼金ぐらいは貰えるかもしれませんが、埋蔵金自体は手に入れることができません。
では、子孫が特定の期間(6ヶ月間)名乗り出なかった場合。
この場合は、埋蔵金をどこで発掘したかが問題になります。
もし、その埋蔵金を他人の土地で発掘した場合。
この場合は、その土地の持ち主が埋蔵金の半分を、そして残り半分を埋蔵金の発掘者が貰えるのです。
つまり、発見した埋蔵金半分無くなるわけですが、逆に言えば、その土地が発掘者の物であれば、そこから発掘された埋蔵金は全て発見者の物になるわけです。
ただし、もし仮に他人の土地で発掘した埋蔵金を黙って持って行った場合は、窃盗罪か遺失物横領罪などの罪に問われる可能性があるので、十分に注意してください。

窃盗と横領。どう違う?
法律と言うのは結構細かいもので、似ているように見えるものでも、法的扱いは大きく違うものがいくつもあります。
窃盗と横領もその1つ。
どちらも他人の物を奪うことには変わりないのですが…なにがどう違うのでしょうか?
窃盗も横領も、どちらも刑法に記されています。
そのうち窃盗罪は刑法第235条に書かれており、
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役に処する。」
となっています。
また、横領は刑法第38章の252条から255条までで書かれています。
第252条には「自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。」とあります。
さて、では要約しましょう。
窃盗罪は、「他人の物を盗む」事です。これがどう言う事か、法律の世界では議論されます。
過去の判例では、「他人の支配内にある物件を自己の支配内に移せば既遂」とされました。
「他人の支配内」とは、相手の手中から、庭の上や、相手の所有する噴水の中、私道の上、旅館のトイレ、などの事。
そこにあるものを、「自己の支配内」つまり、自分の手中から、庭の上や、噴水の中…などに移せば、窃盗になるのです。
横領罪とは、他人の物であり、そして自分自身の物でもある物…つまり「共有物」を盗んだ場合、適応されるものなのです。
これだと意味がわからないと思うので、具体的に述べましょう。
例えば、友達とお金を出し合って買った物を、自分ひとりで勝手に使ってしまうと、それは横領罪となるのです。
他には学校給食。
あれも、クラス全員に与えられた物なので、自分ひとりだけ大盛りにしたりすると、横領罪となる可能性があります。
つまり、窃盗とは人の物を盗むことで、横領とは2人以上で使っている物を、自分で独占してしまうことを言うのです。
しかし、それでいて落とし物を勝手に自分の物にしてしまうと「遺失物等横領罪」となってしまうのですから、やはり法律は少し難しい物ではあります。
銀行内で盗られたお金。銀行は返してくれるか?
お金を預けたり下ろしたりできる銀行。
では、もし銀行でお金を盗られた場合、銀行はそのお金を再度払ってくれるのでしょうか?
これは、場合によって異なります。
まず、ATMなどのキャッシュコーナーでお金を下ろした場合。
銀行内で強盗に拳銃を突きつけられ思わず下ろしたお金を払ってしまうと…。
そのお金は、銀行の物ではなく、お客であるあなた自身の物。何故なら、1度お金に触ってしまっているからです。
強盗にお金を渡したのも、あなたの「判断」とみなされますので、法律上、銀行側はお金を再度払わなくてもいいのです。
では、窓口でお金を下ろした場合。
この場合は、盗まれるタイミングで決まります。
もしも、それがまだカウンターの上にあり、それを強盗がバッと奪って盗っていった場合。
その場合は、まだお客の手に渡っていないことになり、被害者は銀行。
そのため、法律上、銀行はお客にまだお金を渡していないことになり、銀行は改めてお客にお金を支払う必要があります。
ただし、一瞬でもお客が触った場合。
その場合は、触れた瞬間にお金の所有権が銀行からお客に移っていますので、被害者はお客。
そのため、法律上は家に泥棒が入ってきてお金を盗まれたのと同じ状況ですので、銀行側は再度お金を払う必要はありません。
つまり、下ろしたお金をどう使おうが、どう盗まれようが、銀行側は知ったこっちゃ無い、と言うわけです。
ただ、これは必要が無いと言うだけであって、銀行側は払ってはいけない、と言うわけではありません。
ですので、たいていの銀行は世間体などを気にして、お客にお金を再度払うかもしれません。
inserted by FC2 system