摩訶不思議探偵局〜謎の名画怪盗事件〜
主な登場人物( )内は読み、【 】内は役
実相真解(みあいまさと)…【生徒&探偵】
実相真実(みあいまさみ)…【〃】
相上謎事(あいうえめいじ)…【〃】
事河謎(ことがわめい)…【〃】
霧島澪(きりしまれい)…【生徒(真解達のクラスメート)】
江戸川真澄(えどがわますみ)…【〃】
高麗辺澪菜(こまのべみおな)…【〃】
光安那由他(みつやすなゆた)…【〃】
阿久刀川龍治(あくたがわりゅうじ)…【警部】
砂糖貢(さとうみつぐ)…【警部補】
三ツ峰浩治(みつみねこうじ)…【鑑識】
江戸川乱歩(えどがわらんぽ)…【ジャーナリスト】
楠魔=M=Trans(くすま・M・トランス)…【マジシャン?】
工藤勇(くどういさむ)…【美術館館長】
伊集院五朗(いじゅういんごろう)…【評論家】
遠藤隆子(えんどうたかこ)…【評論家】
熊沢太市(くまざわおおいち)…【美術館警備責任者】
はしがき;今回…登場人物多い……。しかも、容疑者少ない……。

お前は、オレがこの手で捕まえてやる。絶対に。

摩訶不思議探偵局〜謎の名画怪盗事件〜プロローグ
真実「ど・こ・に・行・こ・う・か・な・?」
 ここは、真解達が通う中学校、遊学学園(ゆうがくがくえん)。幼稚園からのエスカレーター式の学校だが、何故かとても小さく、2クラスある学年が珍しい(ちなみに、真解達は中学からこの学校に入った)。
 今日は、修学旅行でどこに行くかを決める日のようだ。この学校、小さい割にカネを持っていて、いくつかの場所から行きたいところを選べるようだ。
先生「行きたいところが決まったら、同じ希望者同士で集まってね」
 先生がざわめく教室中に聞こえるように、大きな声で言った。
真実「どこに行く? お兄ちゃん」
真解「ボクはどこでもいいよ…」
「ってか、なんでもうすでに一緒に行くことに決まってるんだ?」と真解が突っ込みをいれようとしたとき、謎事と謎がひょいと現れた。
謎事「オレらどこ行こっか?」
謎「わたし、旅行ってあんまり行ったことないのよね」
真解〔………4人でくっ付いて行くきかよ?〕
 この学校に真解が入ろうとしたときも、4人で一緒に入った。まぁ、いわば仲良しグループだ。
謎事「特に決まってないんだったら、アミダクジで決めようぜ」
 謎事がそう言ってアミダクジをつくり、下に行き先を書いた。そして下を隠して、
謎事「どれにする?」
 と真解に突きつけた。
真解「じゃぁ……これだ」
 真解が指差したところから謎事が辿って行った。その先は………
謎事「長崎のハウステンボスだとよ」
真実「じゃ、そこに決定!!」
 一行は、ハウステンボスに決まったようだ。
 この会話を、こっそりと聞いている者がいることなど知らずに、そう決めた。
真実「他に誰がいるんだろうね?」
 真実がそう言ったとき、こっそりと聞いていた人物がニュッと顔を出した。
???「ボクもそこだ」
真解「え〜っと……名前なんだっけ? よく覚えてねぇんだ」
???「君らしいね。ボクは光安那由他(みつやすなゆた)。よろしく」
真解〔変わった名前だな……〕
 真解がそう思ったとき、2人ほどまた人が現れた。
真解〔うわ…一気に来たな、おい…。しかも名前覚えてない人ばっかり〕
真解「名前……なんだっけ?」
???「覚えてないの? 僕は霧島澪(きりしまれい)。よろしく」
???「わたしは高麗辺澪菜(こまのべみおな)。よろしく」
謎事「うまのあたり…?」
澪菜「『駒辺』じゃなくって『高麗辺』! 高く麗しい辺りに咲く細い華。まさに、わたしをそのまま表した名前ね」
真解〔じ…自信過剰女……〕
 真解が呆れたとき、また謎が
謎「あら? 自分に自信を持つことは良いことよ?」
 と言った。
真解〔だから、なんでボクの心の中がわかるんだ?〕
真実「え〜っと、わたしとお兄ちゃんと謎事君と謎ちゃんと澪くんと那由他くんと澪菜ちゃん。7人ね」
 真実がそう言って先生を呼ぼうとしたとき、後ろからまた誰か現れた。
???「ねぇ、わたしも混ぜて」
真解「え?」
???「『え?』って……ダメなの?」
真解「いや、いいけど…。あんまり話さないから」
???「あんまり話さないけど、わたしとあなた達はもう切っても切れない縁よ?」
真解「どういうことだ…?」
???「わたしの名前……江戸川真澄(えどがわますみ)って言うんだけど。聞き覚えあるでしょ?」
真解「え…? 江戸川……ってまさか…」
真実「江戸川乱歩さんの娘!?」
 真実が驚いて言うと、那由他が
那由他「え!? あの小説家の!?」
 と叫んだ。
真澄「小説家じゃなくて、小説家の同姓同名の人なんだけどね……。おじいちゃんが江戸川乱歩のファンだったらしくて」
澪〔どっかで聞いたことのあるセリフだな…〕
澪菜「でも、なんで真解君達はその江戸川って人のこと知ってるの?」
真解「以前にちょっとね。事件にまき込まれたときに出会ったんだ」
澪菜「ふ〜ん」
謎事「しっかし……江戸川さんが結婚していただとは…」
真澄「結婚はしてないんだけどね…」
謎事「え?」
真澄「ほら、よくドキュメンタリーなんかである、『子供が出来たと言ったら逃げられた』ってやつ?」
謎事「ああ。じゃあ、遊園地で見せたあの眼は…それだったのか…」
 謎事がそっと呟いたが、誰にも聞こえなかったようだ。
真解〔ドキュメンタリー……さすが、ジャーナリストの娘だな…〕
真実「で…結局、8人か」
真解〔もうさすがに増えないよな…?〕
 真解が不安になったが、増えることは無かった。
 そして、一行……実相真解、実相真実、相上謎事、事河謎、霧島澪、江戸川真澄、高麗辺澪菜、光安那由他の8人は、九州長崎にあるハウステンボスへ行くことになった。

 家に帰ると、真実は早速このことを美登理に報告した。
真実「で、ハウステンボスに行くことになったの☆」
美登理「いいわねぇ。わたしが子供の頃なんて、遠足すら無かったような物なのに…いまは修学旅行だもんね。一泊二日。いいわねぇ。本当に。しかも本州を飛び出すなんて……」
真解「そういえば、本州飛び出すの初めてだな」
真実「そういえばそうね」
美登理「わたしなんてまだ本州どころか県すら出たこと無いのに……」
真解〔うそつけぇ!!!〕
 ちなみに、この物語の舞台は、詳しく決まっていない。

 そして、ついに修学旅行の日が来た。
 長崎までは飛行機で2〜3時間ほどでつく。そしてそこから船でハウステンボスまで行くのだ。
 謎事はあの宇宙旅行でトラウマになってしまったのだろうか。座席の背もたれに背をもたれさせていない。
真解「謎事…お前って奴は……」
謎事「だってよぅ…」

 なにはともあれ、どんどんショートカット。一行はハウステンボスに着いたようだ。時刻は昼少し前だった。
真実「イッチバーン!!」
 真実は船から降りると同時に言った。
真解〔よくいるよな…こういう奴〕
謎「実相君も、たまにはハメを外したら?」
真解〔だから…どうしてボクの心の中が読めるんだ? ってか、真実は普段からああだぞ!?〕
 なにか割り切れないものを抱きながらも、真解は船から降りた。
澪菜「まずはどこに行く?」
真実「もうすぐお昼だし、レストランから行こ♪」
真澄「じゃぁ、レッツゴー☆」
謎事「ここって確か、オランダをモチーフにしたんだろ? オランダ料理ってなにがあるんだ?」
那由他「ワインってイメージあるけどね」
真実「チーズフォンデュとか?」
澪菜「ま、行けばわかるよ」
那由他「そだね。じゃ行こう♪」
 かなりハイテンションな5人。それに対してクールな真解、謎、澪。
真解〔なんか…妙な組み合わせだな…おい…〕
澪「いや…僕も騒ぎたいんだけど、入り込む隙が無い」
真解〔だから…なんでボクの心の中…〕
 そんな他愛もない中、一行はレストランに着き、たくさん食べた。
真解〔そういえば……誰が払うんだ? ワリカンか?〕
 っていうかそれ以前に、みんなどれぐらい持ってきてるんだ?
 そんな不安を抱きながらも、真解も食べた。
 ハイテンションだった5人は、食べながらも話している。
 余談だが、女性は脳の構造上、同時に二つ以上のことができ、男性は同時に一つの事しか出来ないと言う。
 そのため、女はしゃべりながら食べれるが、男は食うか話すかのどちらかしか出来ないという。……無論、例外も存在する。
 ちなみに、女性の脳を女脳、男性の脳を男脳と言う。

 さて、食事も終わり、一行はマジックを見に行くことにした。
真実「マジックなんて見るの久しぶりぃ」
謎事「オレも」
真澄「パンフレットによると……世界的にも有名なマジシャンがやるらしいよ」
真実「へぇ」
謎「マジシャンの名前は通称MASK(マスク)。いつもマスク(仮面)を被っているところから、この名をつけたそうね。今は彼自身も『マジシャンMASK』で通してるけど、最初は『マジシャンM』だったらしいわ。本名は楠魔=M=Trans(くすま・M・とらんす)。イギリス人と日本人のハーフらしいわ」
真実「ハーフかぁ…。いいなぁ。かっこいい!」
 余談だが、ハーフ【half】とは半分と言う意味である(中2で習う)。
 ちなみに、国によってはハーフと言うのは失礼な言い方で、別な言い方があるらしい(半分、と言う意味もあるので失礼に相当するらしいのだ)。
真実「で、どこでいつからやるって?」
真澄「そこでこれからやるって」
真実「じゃ、急いで行こう!」
 一行は、マジック会場へと急いだ。

 マジックが始まった。
 真解はマジックは嫌いではないが、すぐに種が解ってしまい、あまり面白くないらしい。
 さらに、謎事も観察力が桁外れに高いがため、結構簡単に種を見破ってしまうようだ。
真実「すご〜い!」
 と真実が騒ぐと
真解「あれは簡単だ。ああしてこうして…」
謎事「そしてあれをああするんだ」
 と真解と謎事がチャッチャと説明してしまう。
 余談だが、マジシャンが行うようなマジックは、そのほとんどからマジックの「仕掛け」を作る組織から仕掛けを「買っている」らしい。どれがそうだかまではわからないが…。
真実「もぅ…。2人とも黙っててよ…」
那由他「でもすごいなぁ。すぐに解けちゃうなんて。さすが摩訶不思議名探偵」
澪「ああ。感心するね」
真実「まったく…」
謎「大丈夫よ、真実ちゃん。わたしの知識がなきゃ解けないトリックもきっとあるから」
真実「そうよね」
真澄「4人に分散してるからねぇ。それで推理しづらくないの?」
真解「…たまにイラだつけど…」
謎事「ま、コンビネーション抜群だしな!」
澪「そういえば、幼馴染だって言ってたね」
真解〔言った記憶ねぇぞ…〕
 なにはともあれ、マジックショーは続いた。そして、客の中から一人ゲストを選び、その人に手品を体験してもらう、と言うマンガやテレビではよくあるが、実際にはあまりないショーになった。
那由他「こういうのって、やっぱりマジックに引っかかりそうな人を選ぶのかなぁ?」
澪「って言うか、なにを基準に選んでるんだ? 適当?」
真実「適当じゃないの? えっと、いまここにいるお客さんが全部で……」
真解〔計算するなよ…〕
 真実は計算高いのだ。
 そんなとき、ライトが真解達にあたった。
真実「え…? わたし達?」
澪「いや…一人だから、達って事はないだろう」
澪菜「わたしの美しさにひかれたのね」
真解〔いや…少なくともそれはない〕
 そうこうしているうちに、マジシャンが客席に上がってきた。
MASK「初めまして。マジシャンのMASKです」
真解「あ…初めまして」
MASK「君達…実は、摩訶不思議探偵団かい?」
真実「え…知ってるんですか!?」
真解「そんな…。だって、一般には公にしてないはずじゃ…?」
MASK「公にしてなくても、わたしは知っているのだ。わたしはマジシャンとして、君達に興味があってね。…そういえば、何故こんなところに?」
真実「今日は修学旅行なんです☆」
MASK「そうか…。では、わたしの素敵なマジックの舞台にご招待しよう。そっちのお友達さんもどうぞ」
 MASKは、その仮面の奥で細く微笑んだようだった。

Countinue

〜あとがき(舞台裏)〜
え〜…今回、我が友人の名を半強制的に使用した事を、お詫びいたします(とか言っておきながら、これからもどんどん使う予定)。
今回のゲストは、皮の上着を着た、ちょっと女やくざっぽく見える江戸川乱歩さんです!
江戸川「こんにちは」
江戸川さんは、ジャーナリスト(正確にはフリージャーナリスト)と言うことで、母一人子一人、なかなか生活が苦しいようで。
江戸川「まぁ、いまはリポーターの時に稼いだお金でなんとかギリギリ大丈夫だけど…」
過去に辛い思いをしていながらも、ジャーナリストとして必死に生きる。
江戸川「そんなんじゃないけど…」
大変だねぇ。……真解の追っかけ。
江戸川「追っかけって……」

さて、今回はプロローグ。新レギュラー陣の紹介だけで終わっちゃったような感じ。
江戸川「しかも、全員友人の名前…?」
いや。高麗辺だけ違う。
澪菜「ふっ。わたしみたいに美しい子はいなかったってことね」
いや……そういうわけじゃないんだけど……。って、だからなんで…。
江戸川「じゃあ、他の三人…?」
あ、あと那由他も違うわ。あれボクだ。
江戸川「え?」
ほら、ボクのハンドルネーム「黄黒真直」でしょ? この「真直」って、実は本名なんだよ。で、それに「那由他」をつけたわけ。
江戸川「へぇ」
あとの2人が友人さん。
江戸川「霧島澪と、真澄…?」
お2人について詳しいことは、次回と次々回のあとがき(舞台裏)で言う予定。
江戸川「でも…いいの? 強制的に出しちゃって…」
さあ? 一応、出すよとは言ったけどね。

では、次回会いましょう。
江戸川「次回はわたしも出るの?」
ええ。登場させますよ。次回は事件・推理編。どうぞお楽しみに。

おまけの珍句名言集(謎)「………………♪雨、雨、ふれ、ふれ、もっとふれ。わたしのいい人、連れてこい♪」
解説;結婚していないがために真実に「江戸川さんだけ行き遅れてるんですか?」と言われ、口ずさんだ歌。知らない人は親に聞こう!

作;黄黒真直

事件編

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