摩訶不思議探偵局〜謎の名画怪盗事件〜
プロローグで出てこなかった主な登場人物
阿久刀川龍治(あくたがわりゅうじ)…【警部】
砂糖貢(さとうみつぐ)…【警部補】
三ツ峰浩治(みつみねこうじ)…【鑑識】
江戸川乱歩(えどがわらんぽ)…【ジャーナリスト】
楠魔=M=Trans(くすま・M・トランス)…【マジシャン?】
工藤勇(くどういさむ)…【美術館館長】
伊集院五朗(いじゅういんごろう)…【評論家】
遠藤隆子(えんどうたかこ)…【評論家】
熊沢太市(くまざわおおいち)…【美術館警備責任者】
はしがき;今回は殺人は起こりません。怪盗です。

摩訶不思議探偵局〜謎の名画怪盗事件〜事件編
真実「いやぁ、すごかったねぇ!」
 真実は久しぶりにマジックが見れて、上機嫌のようだ。
謎事「オレらはほとんどのトリックを見破ったけどな」
澪菜「ほんと、すごいよねぇ。人は見かけによらないって本当ね」
謎事「へっへぇ。そうだろう。……………ん?」
 何故か澪菜の悪口には気が付かない謎事。それを放っておいて、次にどこに行くかわいわい話し出した。
真実「次どこにする?」
澪菜「ここって何があるんだっけ?」
謎「確か…気球なんてのもあった気がしますけど」
謎事「お、いいな。気球!」
真解〔なんでもいいけどな………ん?〕
真解「おい…あれ見てみろ…」
 真解が前方にある美術館を指差した。
那由他「え? どれどれ? なになに? ……ん? なんか、騒がしいね。あそこ」
真解「いや…騒がしいだけなら気にも止めないんだが…あれ…」
真澄「あ…お…お母さん!?」
 真澄が唐突に叫んだ。
那由他「え? お母さん?」
澪菜「じゃああれが江戸川乱歩とか言うジャーナリストさんなの?」
真実「な……なんでこんなところに…?」
 真解達は江戸川の方に駆けていった。するとすぐに江戸川も気がついた。
江戸川「あら! 真解君たちじゃない!! あ、それに真澄!」
真澄「お母さん……」
???「誰だ、お前らは…」
 突如、警官の服を来た人が言った。
真解〔警察…? 江戸川さん、なにかかぎつけたな〕
江戸川「そうだ! 刑事さんなら、この子達知ってますよね!? この子は、あの有名な名探偵、実相真解君よ!」
???「えっ!? あの…?」
真解〔あのって…ボクら、そんなに有名なのか?〕
 どうやら、いつの間にかに警察の間ではかなり有名になっているらしい。
???「ふむぅ…そう言われてみれば、顔が似ている。そっちが実相真実で、そっちが相上謎事…そしてそっちが事河謎?」
真実「ご名答!!」
真解「ちなみにあなたは…?」
阿久刀川「オレは、長崎県警警部の阿久刀川龍治(あくたがわりゅうじ)だ」
真実「芥川!?」
阿久刀川「阿久刀川だ。同音異字だ」
真解〔同音異字って、妙に虚しいんだよな…〕
阿久刀川「ところで…そっちの四人は?」
 阿久刀川は、真澄達を指差して言った。4人は次々に自己紹介をした。そして澪菜が聞いた。
澪菜「なんで警察がこんなところにいるんです?」
阿久刀川「ちっ…しゃあない…」
 阿久刀川と江戸川が、かわるがわる説明を始めた。それをまとめると、こういうことだった。
 真澄から、今度真解達とハウステンボスに修学旅行に行くと知った江戸川は、「摩訶不思議探偵団のいるところ事件あり」と言って長崎に来たという。するとそこでなんと偶然にも、江戸川はある情報を入手した。
江戸川「ここに怪盗からの予告状が来たって言うのよ!」
探偵団「予告状!?」
江戸川「そう! まるでルパンみたいでしょ!」
真澄「すごいすごい!! 中に入れさせて!!」
真解〔さすがジャーナリストの娘……。血は確かにつながっている〕
 真解がすっかり感心していると、澪菜が唐突に
澪菜「ほら、真解君! ボサッとしてないでこの頑固刑事さんを説得する!! ほら、摩訶不思議名探偵さん!!」
真解「そんなぁ……」
 真解が兜に言った。
真解「…と言うわけで……入れてもらえないですかね?」
 まぁ、真解も怪盗と言うのを一度は見て見たい。真解が言うと、阿久刀川は渋々許可した。

 さて、なんとか美術館に入った真解達。
???「君達は…?」
 入ると同時に、いかにも美術館、と言った感じのおじいさんが出てきた。
阿久刀川「こいつらは、探偵ですよ。真解達、この人はこの美術館館長の、工藤勇(くどういさむ)さんだ。」
工藤「どうも。工藤と申します。よろしくな、小さな探偵さん…」
 工藤は「フォッフォッ…」と笑って見せた。
 するとそれが合図かのように、奥から次々と人が現れた。
???「探偵…それはそれは…」
???「探偵VS怪盗。ワクワクしますね」
???「ただ…子供と言うのが気になりますね」
 3人は一斉に話した。
真解「えっと〜…そちらの方は?」
工藤「わしが代わりに紹介しよう。右からこの美術館の警備責任者、熊沢太市(くまざわおおいち)君。その隣が評論家の伊集院五朗(いじゅういんごろう)さん。そしてさらに隣が同じく評論家、遠藤隆子(えんどうたかこ)さんじゃ」
遠藤「よろしくね。名探偵君」
 どうやらこの3人は、澪や真澄も含めた8人が探偵だと思い込んでしまったようだ。
伊集院「でもいいのかい? 修学旅行中なのに……」
真実「いいんですよ☆ 全責任は謎事君が被ってくれますから☆」
謎事「な、なんでだよ!?」
澪菜「だいたいこうなったのは、あなたの責任ですし」
謎事「だからなんでだよ!?」
 全くラチのあかない言い合いをしている3人を横目に、真解が言った。
真解「あの〜、工藤さん…予告状を見せてもらいたいのですが…?」
工藤「フォッフォッ…これじゃ」
 真解達は早速予告状と言うのを見せてもらった。
真解「日が水平線の裏に隠れた後、名画“夕焼け”を頂く…? なんか、ありきたりな文章だな」
 余談だが、日没とは太陽が全く見えなくなった瞬間を言う。
阿久刀川「ああ。そうだ。だが、驚くのはまだ早い」
真解〔いや、驚いてないんだけど…〕
阿久刀川「差出人名を見てみろ。その下のサインみたいな奴だ」
真解〔サイン…?〕
 真解が見て見ると、そこには「怪盗MASK」と書いてあった。
謎事「怪盗………なんて読むんだ?」
謎「『マスク』ですよ! このぐらい読めてください…」
澪菜「でも…マスクって…たしかさっきの…」
澪「マジシャンマスク……」
阿久刀川「ああ。そうだ。あの天才マジシャンMASKと同じ名前なんだ」
 阿久刀川はそういうと、不快そうにタバコを吸い始めた。
工藤「マジシャンMASKは世界的にも超有名なマジシャンじゃ…」
熊沢「だから、そのマジックのトリックを使って、盗みを犯すのではないかと心配になっているのです…」
伊集院「本当にあのMASKだとしたら、こんなにいくら警官を配備しても無駄かもしれないのではと思うのだが…?」
???「ま、大丈夫っすよ」
 唐突に、もう1人警官が現れて言った。
???「お、この子らが摩訶不思議探偵団…」
真解〔なんで知ってるんだ? だから…〕
 相手の警官は砂糖貢(さとうみつぐ)と名乗った。
砂糖「佐藤じゃなくって、砂糖っすよ?」
澪「さ…砂糖…??」
 ちなみに、「砂糖さん」は実在する。
澪「そういえば…まだこの『夕焼け』を見てないんですけど…」
工藤「おお、そうじゃったそうじゃった。忘れとったわい。こっちじゃて」
 工藤は奥の部屋へと歩いて行った。

工藤「あれじゃ」
 そういうと、工藤は部屋にある絵を指差した。
澪「これですかぁ…」
 澪が「夕焼け」をまじまじと見た。
那由他「実は澪君……どこが良いんだかわかって見てたり?」
澪「いや。全くわからない」
澪菜「ダメじゃん」
 澪菜が思わず突っ込むと、謎が解説を始めた。
謎「この絵は、俗に『謎の名画』と呼ばれています」
真澄「ナゾ…?」
謎「ええ。作者不明なんです。ただでさえいい絵なのに、作者不明とあってミステリアスな雰囲気をかもし出していて、名画となったんです。だから、とても高いんです…」
 余談だが、「ミステリアス」と言う単語は「謎めいた」と言う意味に使われることがあるが、実際には「神秘的」と言う意味である。
真実「え…? でも、以前作者不明だったがために1万円の価値しかなかったのに、ゴッホの絵だとわかったら急に何千万円もの価値になったってことなかったっけ?」
江戸川「あったわ」
真実「あったよね。じゃあ、なんで作者不明なのにそんな…」
江戸川「真実ちゃんは物の値段の付け方を知らないみたいね。物と言うのは、人気が高ければ高いほど値段が上がり、人気が低ければ低いほど、値段も下がるのよ。いい例が株ね。買う人が多ければ株価はあがり、売る人が多ければ株価は下がる…それと同じよ」
真実「へぇ…。つまり、人気が高いってわけね」
真解「で、これを怪盗MASKが盗むと?」
阿久刀川「ああ。そうだ。一応、マジシャンMASKにも話は聞いてみた」
真解「え? そうなんですか?」
那由他「それで…結果は?」
阿久刀川「自供すると思うか?」
那由他「いえ……」
阿久刀川「MASKはこう言っていた。『おそらくその怪盗は、わたしのファンか、わたしのように華麗に盗む…と言いたいのでしょう』とな」
澪菜「なんか……聞きようによっては、ナルシスト的な言い方ね」
真解〔お前が言うなよ…〕
阿久刀川「念のためMASKの予定を聞いてみたところ、どうやら今日はすぐさま北海道へ行くらしい」
真実「北海道…」
阿久刀川「念のため、いまその裏づけを鑑識に頼んでいるところなんだ」
 阿久刀川がそう言うと同時に、鑑識の三ツ峰浩治(みつみねこうじ)が美術館に駆け込んで来た。
三ツ峰「警部!!」
阿久刀川「どうした!? 騒々しいぞ!」
三ツ峰「大変なことがわかりました」
阿久刀川「なに?」
 阿久刀川の表情が、一瞬にしてこわばった。
三ツ峰「いま北海道道庁に聞いてみたところ、MASKなんて来ないと言っています」
阿久刀川「なんだと!?」
 三ツ峰の一言で、犯人は決まった。だが、同時に工藤は震え出した。
工藤「あ…あのMASKが、この絵を盗むと言うのか!?」
阿久刀川「……断定は出来ませんが…」
 阿久刀川の顔には、100%そうだと出ている。
工藤「そんな…」
熊沢「大丈夫です。館長。我々が必ず、あの絵を守りぬいて見せます」
工藤「おお…頼むぞ…」
遠藤「やれやれ……せっかく評論に来たのに、これじゃぁ評論どころじゃないわね」
江戸川「ここからわ、評論家よりもジャーナリストの方が仕事になるわね。『マジシャンMASK、まさかの怪盗』これは記事になるわ…」
 江戸川の目は燃えていた。
真解〔どうでもいいけど江戸川さん…いまのは明らかにあの絵が盗まれることを想定していなかったか?〕
 真解は問い詰めたかったが、状況がそれどころではなく、断念した。
 そして、真解は真実達に言った。
真解「謎事、真実……。今回は、お前らが主役だ」
謎事&真実「え?」
真解「真実はこれからの全員の会話をきちんと記憶しろ。そして謎事。お前はこれからの全員の言動に注意を配り、不審な点や矛盾点のようなおかしな点があったら、すぐにボクに知らせろ」
謎事「え…? これからの全員って…ここにいる人達のか?」
真解「ああ。そうだ」
謎事「じゃあ、真解は…」
真解「ああ。察しの通りだ。怪盗MASKは、この中にいる」
澪菜「ええっ!?」
那由他「なんでだ!?」
 真解が半分呆れ顔で言った。
真解「考えてみろ。この美術館の周りは完全に警官が配備されている。入ろうとしてもすぐに捕まる。怪しまれずに入るには、どうすればいい?」
真澄「あ…」
澪「評論家や館長になれば怪しまれない…」
真解「ああ。そうだ。それに、MASKの素顔は誰も知らない…」
澪菜「!」
真解「こいつは面白くなって来たぞ…。MASKの野郎は、既にオレらの中に混ざり、胸を張って日が沈むのを今か今かと待ち構えているんだ。そして、あの絵を盗もうとしているんだ…。だがそうはさせない…。オレら8人でそれを阻止してみせる…絶対に」

Countinue

〜あとがき(舞台裏)〜
真解に「8人」とついうっかり言わせてしまったキグロです。
さて、今回のゲストは我が友人の名をかってに借りた、江戸川真澄さんです!
真澄「ちょっと…その言い方だと、わたしがかってに借りたみたいじゃない! 借りたのはあんたの方でしょ!?」
まぁ、そうなんだけどね。
真澄「まったく…。わたしはゲストなんだからね!?」
ははは……。

さて、我が友人の名を借りる際、ちょっとしたハプニングがありました。
真澄「ハプニング?」
そう。もう「江戸川真澄」の名前が確定し、うちのパソコンにあるデータファイルにも既に「江戸川真澄」の名を登録しおえた後で「君の名前を使わせてもらう」と言ったところ、相手は「止めて! 絶対止めて!!」の一言。
真澄「え…?」
それでも、もう強制的に使わせてもらいました。
真澄「……………」
そ…そんな睨まれても……。
真澄「サイテー」
ううう……。で、でもまぁ、いいじゃん。
真澄「でも許可もらってないんでしょ?」
う……。な、なんとかなるよ。うん。

さて、今回は事件編。なのに何故か事件らしいことも起こっていない……。MASKがマジシャンだとわかったぐらいやん。
真澄「自分でいっちゃダメなんじゃ…」
まぁ、そうなんだけどね。ま、自分の欠点を見つけて、そこを削っていくのが成功への道。
真澄「成功……」
うん。ま、いいや。で、えっと……そうそう、事件編。なんかいっつも話が横道にそれてるような気がする。
真実「でも…わたしの記憶が正しければ、いつも話をそらしているのはキグロでは? ゲストのみんなは話をあわせてるし…」
え? うそ……。って、なんでまさ………って、こうして話が横道にそれるんだよ!!
真澄「真実ちゃんのせいにしないでよ!」
ううう……。

(気を取り直して)さて、今回は事件編。と言うわけで(?)新しい警察が。
真澄「阿久刀川龍治って、やっぱり小説家からとったの?」
いや。とあるHPで見つけた。
真澄「あ、そう」
ちなみに、他の2人も。初め、間違えて「兜」って書いちゃってねぇ。まさか長崎に出るわきゃないのにね。
真澄「出張してたとか」
それも考えたんだけどね。やっぱ、日本全国津々浦々に警官仲間がいた方が現実っぽいかなと思って。

さて、今回は容疑者も出てきました。
真澄「でも、犯人わかってるじゃん」
いや、だから…あの中の誰がMASKの変装かを当ててくれと……。
真澄「冗談よ」
まぁ、犯人はMASKとわかっちゃいるけどね。まぁいいや。あの中の誰かがMASKの変装です。
真澄「マスクを被ったマジシャンMASK…そのまんまなんだね…」
いや、それしか思いつかなくってさ。
真澄「あっそう……。あ、そういえばさ…」
なに?
真澄「MASKの本名、楠魔・M・Transって出てたけど、Mってなんの略?」
えっ!?
真澄「ほら、ミドルネームって略すじゃん。このMはなんの略?」
え…えっとぉ………。
真澄「まさか……考えてないとか?」
き……近日公開!!
真澄「あ、逃げたぁ!」

おまけの名句珍言集(謎)「大丈夫だ。オレが守ってやる」
解説;謎が「お化け屋敷が苦手だ」と言ったときに謎事が発した言葉。無論、この後謎にはそっぽを向かれた。

作;黄黒真直

推理編

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