摩訶不思議探偵局〜実相真実誘拐事件〜
主な登場人物( )内は読み、【 】内は役
実相真解(みあいまさと)…【探偵】
実相真実(みあいまさみ)…【被害者】
???(???)…【犯人】
はしがき;今回、これだけです。まぁ、一応他のメンバーも出てきますが…主ではないので。

過去に起こった小さな事件が後の大きな事件を引き起こす……。マンガや小説でよくあるが、まさかボクが出会うとは思ってもみなかった……。

摩訶不思議探偵局〜実相真実誘拐事件〜事件編
Prrrrrrrrr
 摩訶不思議探偵局の電話がなった。
Prrrrrrrrr
 実相家には、電話が2台ある。
Prrrrrrrrr
 一台は実相家に、もう一台は摩訶不思議探偵局に置いてある。
Prrrrrrrrr
 二つの電話は独立していて、摩訶不思議探偵局の電話が鳴ったということは、事件の依頼と言うことだ。
Prrrrrrrrr
 ふだんなら真実が何を差し置いても取るのだが、今日は真実がいない。真解が受話器を取った。
真解「はい、摩訶不思議探偵局です」
???「ミアイ マサトクンカナ?」
真解「!?」
 真解はいつも電話には出ない。だが、電話の相手がいきなりこんなことを言うはずがないということはわかる。
 それだけでさえ妙なのに、相手の声は明らかに機械的な声だった。……いや、「音」と言った方が適当だろう。
真解「はぁ、そうですが…」
 異様な雰囲気を感じ取りながらも、真解は答えた。すると相手はとんでもないことを言ってきた。
???「キミノ妹ハ預カッタ。返シテホシケレバ、オレノ要求ニシタガエ」
真解「!?」
 真解はその瞬間、目の前が真っ白になった。
 いや、真解自身には、目の前が真っ白になったか真っ暗になったかすらわからない。
―真実が誘拐された…?
 真解は受話器を握り締めたまま、放心していた。
???「…シモシ…。キ…エテマ……?」
 電話の声にはっとして、真解が叫んだ。
真解「おい! 貴様は誰だ!? 真実はどこだ!? 真実は無事だろうな!?」
???「マァマァ、オチツイテ」
真解「落ち着いていられるか!!」
???「マァマァ、ソンナサケンダッテハジマリマセンヨ。トリアエズ、ワタシノハナシヲキイテクダサイ」
真解「いくらだ…? いくら欲しいんだ?」
 真解が怒りに満ちた口調で言った。
???「コレハコレハ。サスガ名探偵ダ。ノミコミガハヤイ」
真解「いいからはやく要求を言え!!」
???「オマエハコノアイダ、アイウエタカタケノボディーガードヲシタハズダ」
真解「ああ。そうだ」
???「キミノ妹ノ話ダト、ソノトキ3人デワケテ33万円モラッタラシイナ?」
真解〔33万円? おかしいな…確か貰った謝礼金は50万円だ…。と言うことは、これは真実からのメッセージか?〕
???「ドウシマシタ? 聞イテマスカ?」
真解「ああ、聞いてる。33万円よこせってのか?」
???「サスガ名探偵ダ。ノミコミガハヤイ。ソノトオリデス」
真解「わかった。いいだろう。どこに持っていけばいいんだ?」
???「………ソウデスネ…。ココデヒトツ、ゲームヲシマセンカ?」
真解「なに?」
???「キミガキミノ妹ヲ助ケルカ助ケラレナイカ…全テハキミニカカッテイルコトハ、ワカリマスネ?」
真解「ああ」
???「ヨロシイ。デハ、オレガコレカラ暗号ヲダス。ソノ暗号ノコタエノ場所ニ、33万円ヲモッテコイ。2時間以内ニダ」
真解「なんだと!?」
???「イイカ? 暗号ハ一度シカ言ワナイ。準備ハイイカ?」
真解「ああ」
???「『田中よ、北海道をつきっきろ』」
真解「は?」
???「暗号ハ一度シカイワナイト言ッタハズダ」
真解「わかってる。もう聞かない」
???「サスガハ名探偵。トナレバ、次ニワタシガ言ウ言葉モワカリマスネ?」
真解「どうせ、警察には連絡するなだろ?」
???「ソノトオリデス。デモ、セッカクダカラ、イワセテモライマショウ。『警察ニハ、連絡スルナ。スレバキミノ妹ノ命ハナイ。ソシテ、誰ノチカラモカリルナ。モシカリタラ、ソノ場デキミノ妹ヲコロス』」
真解「誰の力も…?」
???「アイウエ メイジ、コトガワ メイ…コノ2人ノチカラモカリルナ、トイッテイルノダ。ソウソウ、ソレト、出カケルトキハ、キミノ妹ノケータイヲモッテイケ。キミハモッテイナカッタダロ? ジャア、健闘ヲイノル」
ガチャッ……

 真解は慌てていた。
 2時間以内にあの暗号を解き、そしてその場所へ向かわなくては行けないのだ。しかも、真実の命がかかっている。
真解〔くそっ! なんだ!? 『田中よ、北海道をつきっきろ』って。ローマ字にしても、逆から読んでも、五十音表を睨みつけても出来ない!〕
 真解は暗号を書いた。その周りにいろいろ試しに解読してみた文章が陳列している。だが、どれもチンプンカンプンな言葉ばかりだ。
 こんなときに余談だが、「チンプンカンプン」と言うのは元は中国語で、本来は「チンプトンカンプトン(漢字が出ない)」と言って、「見ても聞いてもわからない」と言う意味だ。
真解〔くそっ! とりあえず外に出てみよう。なにかわかるかもしれない!〕
 真解は携帯電話を掴み外に飛び出した。
真解〔『田中』『北海道』『つきっきろ』……この3つになにかあるんじゃないだろうか? それとも、『よ』『を』が実は重要なのか…? くそっ! 何もわからねぇ!〕
 真解がムシャクシャしていると、何故か丁度偶然に、謎事と出会った。
謎事「おぉ、真解。どうしたんだ? こんなところで」
真解「いや…なんでもない…」
 だがそこは狂人的な観察眼の持ち主謎事。真解がなにかに悩んでいることに気がついた。
謎事「おまえ……なに悩んでるんだ?」
真解「いや、別に悩んでなんかないさ」
謎事「いや……その顔は、悩んでいる顔だな。…まぁ、言いたくないならいいよ」
真解「………」
謎事「真解…一つアドバイスをしよう」
真解「アドバイス?」
謎事「なんか考えるとき、複雑に考えすぎると、かえってわけわかんなくなるんだ。ものは何でも単純に考えろ。そうすりゃいつか解決するんだ」
真解「そんなの、謎事だけだって…。そんなんだから、謎になかなか気持ちが伝わらないんだ」
謎事「ひ…ひでぇ…」
真解「って言うか、いつ告るんだ?」
謎事「ま…まぁ、もう少ししてからかな?」
 謎事は照れくさそうに言って、話題を変えた。
謎事「それより、これからおまえんち行きたいんだけど」
真解「ああ、今日は急用ができたからダメだ」
謎事「あ、そうか…。じゃ」
 謎事はそう言って帰って行った。
真解〔単純に考えろか……。『田中よ、北海道をつきっきろ』……単純に考えると……田中さんに北海道横断を命令している…? いや、そんなバカな。身代金受け渡し場所が北海道? いや、2時間で北海道なんて行けないし……〕
 真解は逆にこんがらがって来たようだ。
真解〔なんだ? いったい……。急げ、時間がないぞ!〕
 あせるとなかなか考えがまとまらないものなのだ。だが、落ち着いてもいられない。
 そのとき、真解が持ってきた真実の携帯電話が鳴りだした。
真解「!?」
 真解はナンバーディスプレイを見て見た。相手はどうやら、電話番号を通知していないようだ。
真解〔ってことは……)
 真解は恐る恐る電話に出た。
真解「もしもし…」
???「ミアイ マサトクンカナ?」
 またあの無機質な声が聞こえてきた。
真解「てめぇ! なんだ、あの暗号は!?」
???「マァマァ、オチツケ。ソレヨリオマエ、今アイウエ メイジクント話シテイタダロウ?」
真解「なにっ!? なんでそれを…?」
 真解は慌てて辺りを見渡した。どこかで犯人が見ている。だが、ここは住宅街。家ならいっぱいあるし、少し離れたところにはマンションもある。見つけようがない。
???「ソンナニ見渡シタッテ、無駄ダ」
真解「オレはいま、別に真実のことなど話してないし、暗号のことだって話していない! 事件と直接関係あることは何も喋ってはいない!!」
???「ソノグライ、ワカッテイル。チャントキイテイタカラナ…」
真解「なんだと!?」
 と言うことは、すぐ側にいるのだろうか? だが、どこにも見えない。
真解〔オレのどこかに盗聴器でも仕掛けられているのか…? なわけないよな…〕
???「マァ、トモカクイマオレガ言イイタイノハ、『オレハイツデモオ前ヲ見テイル』ト言ウコトダケダ。残リ時間ハ1ジカンハン…。サァ、イソゲ。クックックッ…」
 そう言って、電話が切れた。
真解〔『田中よ、北海道をつきっきろ』……。タナカヨ、ホッカイドウヲツキッキロ……たなかよ、ほっかいどうをつきっきろ、Tanakayo………〕
 段を変えたり、行をずらしたり、ローマ字にして逆から読んだり、そのまま逆に読んだり、1つ飛ばしで読んだり、2つとばしで読んだり……。
 真解はありとあらゆる方法を試したが、なかなか解読にたどり着かない。
真解〔なんなんだ? 単純な解読じゃ出来ないって言うのか!? じゃぁ、一体なんだっていうんだ!? …くそっ! あと1時間半もない!〕
 これほどまでに時間が短く感じられたことが、真解にとってあっただろうか。おそらく、なかっただろう。時間よ、止まってくれ…そう願うときに限って、時間は無情に過ぎていく。
真解〔もう一度単純に考えてみよう…田中よ、北海道をつきっきろ…!〕
―田中ヨ、北海道ヲツキッキロ………?
真解「……! 見えた…」
 真解は腕時計を見た。残り1時間25分。
真解〔まずい、間に合うか!?〕
 真解は急いで家に帰り、自転車に乗り込んで走りだした。
美登理「真解! どこ行くの!? ちゃんと親に行き先を行ってから行きなさい!」
真解「ちょっとそこまで!!」
 真解はそう言って、猛スピードでこぎだした。
美登理「あまりスピード出さないようにね!」
 だが、出さないわけには行かない。
真解〔間に合うか!? あと1時間20分!!〕
 真解は、猛スピードで住宅街を走った。

Countinue

〜あとがき(舞台裏)〜
なんか殺人をあまり起こしてないなぁ…と考えているキグロです。
今回のゲストは、我が分身、那由他真直です。
真直「ボクには『さん』なり『くん』なりつけないの…?」
だって自分の名前だし…。
真直「苗字は違うじゃん」
まぁね。苗字があまり気に入っていなかったから、こうした。当初は○○那由他の予定だったんだよね。
真直「○○には、本当の苗字を?」
そう。語感的には悪くはなかったんだけどね……あまり好きな苗字じゃなかったもので。
真直「全国の○○さんが怒りそうだな…」
大丈夫。わかんないから。
謎「確か全国で50位代だったはずよ。あなたの苗字」
ベスト50位か……低いな。
真直「でも、日本人1億人だし…」
人口が1億人だって、苗字が1億個あるわけじゃない。
真直「あ、そうか」
日本人の苗字って、全部で何種類だっけ?
真直「さぁ?」
めえぇ〜〜い! もう一度出てきてくれぇ!!
謎「正確な数はわかっていないそうですが、全国で20数万種類もあると言う説があるようです」
へぇ。そうなんだ。
真直〔な、なんで2度出てこれたんだ…? キグロが呼んだからか?)

さて、今回は真実を誘拐しました。
真直「誘拐事件だから、殺人は起こらないと?」
わからないよぅ。真実が殺されるかもしれない。
真直「そんなバカな」
いや、ボクのこのキーボードを打つ手をちょっと変えれば、簡単だ。いまここで……
真直「ヤメロ」
冗談に決まってるだろう。
真直「だよな…」
で、今回殺人が起こらないのにひょっとしたら結構長くなるかも。
真直「え?」
だから、もうちょっと書きたかったんだけど……やっぱ、ここで切らないとダメだよな?
真直「うん…」

さて、では暗号解読のヒントを。
真直「待ってました!」
ヒント;ワタクシは、伊達に謎事君を登場させたわけではありません。
真直「イタチ(伊達)に…?」
ダテだよ!!

と言うわけで、推理を募集します。
募集内容は
真直「暗号の解き方、暗号の答え。いまはこの二つ。推理はメールでお願いします」
メールアドレスは
真直「【kiguro2@yahoo.co.jp】です」
おお、息ピッタシ!
真直「だってボクの分身だし」
それもそうだね。
真直「ハハッ」
………いや、ボクの分身だよ。きみの分身じゃない。
真直「ん? あ、そうか?」
だんだんこんがらがって来たな…。
真直「ファイト!」
しかし……自分を相手に会話するって、なんか妙な気分だな…。自問自答のようだ。
真直「人生とは決断の連続だ…。すなわち、自問自答の連続だ…」
そうなのか?
真直「さぁ?」
………。
真直「………」
黄黒&真直「でも負けない」

おまけの珍句名言集(謎)「ほぅ…そんな間抜けな看板が立ってたのか?」
解説;幽霊屋敷殺人事件の容疑者の1人が『ここから迷路と言う看板が(以下略)』と言ったときに兜が返した言葉。このセリフを言う兜も間抜けっぽい気がするのはボクだけか?

作;黄黒真直

奮闘編

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