摩訶不思議探偵局〜巨大真珠紛失事件〜
主な登場人物 ( )内は読み、【 】内は役
実相 真解(みあい まさと)…【主人公・探偵】
実相 真実(みあい まさみ)…【探偵】
相上 謎事(あいうえ めいじ)…【探偵】
事河 謎(ことがわ めい)…【探偵】
金城 一郎(かねしろ いちろう)…【大富豪】
金城 達子(かねしろ たつこ)…【一郎の妻】
金城 高一(かねしろ こういち)…【一郎の長男】
金城 美紀子(かねしろ みきこ)…【一郎の長女】
白鳥 慶奈(しらとり けいな)…【金城家のメイド】
宝塚 和津子(たからづか わつこ)…【金城家のメイド】
理 味太郎(ことわり みたろう)…【金城家のコック】
ミーナ(みーな)…【達子の愛猫】
兜 剣(かぶと つるぎ)…【警部】
猫山 検事(ねこやま けんじ)…【警部補】
江戸川 乱歩(えどがわ らんぽ)…【ジャーナリスト】
小鳥遊 市医(たかなし いちい)…【鑑識】(非登場)
独り言;そういえば、MASKをまだ1回しか出してないな…。

全く、笑わせてくれるぜ

摩訶不思議探偵局〜巨大真珠紛失事件〜事件編
Prrrrrrrr
 また、探偵局の電話が鳴った。
真実「はい、摩訶不思議探偵局です」
 真実が言うと、相手はかなり焦った感じで叫んだ。
???「うちの…うちの真珠が盗まれたっ! すぐに…すぐに来てくださいっ!」
真実「え? あ、あの、落ち着いて話してください。まず、名前を教えてください」
???「あ、ああ…すみません…。わたしの名前は金城 一郎(かねしろ いちろう)と言います。実は…うちの真珠が、盗まれたんです」
真実「真珠を…?」
 簡単な事件の依頼だと、つまらないのよね…。
 真実は心の中で呟きながら聞いた。
金城「ええ。でも、ただの真珠じゃありません。巨大真珠なんです」
謎事「巨大!?」
 謎事が思わず叫んだ(この電話はスピーカーフォンなので全員で聞ける)。
金城「そう…時価何億円と言う真珠なんです」
 その後、真実と金城が二、三やりとりをして、真実が住所を聞き、電話を切った。
真実「じゃ、行きましょう」
真解〔また…緊急出動か…〕
 真解も渋々立ち上がった。…展開が、早過ぎないか?

金城家
 金城家も大金家同様、豪華な家だった。家の前にはパトカーが止まっている
 門の前には、誰かが立っていた。
???「ようこそいらっしゃいました。金城家へ。わたしはここのメイドでございます、白鳥 慶奈(しらとり けいな)と申します」
真実「あ、宜しくお願いします」
 真実がピョコンと頭を下げた。
 白鳥は名前の通り、中々の美人であった。名は体を表す…と言ったところか?
真解〔でも…『白鳥』って人がいる限り、『白鳥』って言う男性も存在するはずなんだよな…〕

 白鳥にうながされ、真解達は門をくぐった。
 庭はそんなに広くない。直に屋敷である。
 中に入り、大広間のようなところに通された。
 中には10人ほど人がいた。見知った顔もいた。
真実「あ! 兜警部! それに江戸川さん! お久しぶりです!」
兜「! 真解達じゃないか」
江戸川「あら、お久しぶり!」
猫山「お、久しぶり!」
 3人がほとんど同時に言った。偶然にしては、まぁよく出会うものだ。
 今日は小鳥遊の姿が見えない。人は死んでいないから、鑑識は必要がないのだろう。
真解「兜警部と猫山さんはわかりますが…何故江戸川さんがここに?」
江戸川「ここらへん散歩してたら、丁度パトカーから降りる兜さんを見つけてね。慌てて捕まえたのよ」
兜「ああ。さっきっから現場を見せろ、見せろとうるさくて…事情聴取もまともにできやしない…」
真解〔公務執行妨害で逮捕すりゃいいのに…〕
 兜の愚痴をさえぎるように、横にいた中年の男が話しだした。
???「? 警部さん、彼らと知り合いで?」
兜「ええ。何度か事件で出会ったことがありましてね」
???「まぁ、彼らにも自己紹介しなければ…。わたしは、金城 一郎(かねしろ いちろう)。ここの主だ。こっちは妻の達子(たつこ)」
達子「こんにちは」
 達子の腕には、可愛らしい三毛猫が抱かれている。
真実「あ、猫だぁ!」
???「ナー」
真実「きゃっ、可愛い! なんて猫ですか?」
達子「ミーナ(みーな)です」
ミーナ「ウミャ」
真実「かわい〜!」
 可愛い可愛い言っている真実を放っておいて、一郎が続けた。
一郎「それで…こいつが長男の高一(こういち)。そして美紀子(みきこ)だ」
 高一も美紀子も、美男美女だ。ルックスもよく、大金持ち…きっと、学校ではもてるに違いない。ただ、江戸川は高一が髪を染めているのが気にくわないようだ。
真解「謎事と大違いだな」
謎事「う、うるせぇっ!」
真解「まぁいいや。 それで、そっちの方々は?」
一郎「ああ、彼女は宝塚 和津湖(たからづか わつこ)、ここのもう1人のメイドだ。そして彼が、理 味太郎(ことわり みたろう)。コックだ」
宝塚「よろしくお願いします」
理「よろしく…」
 理は、『断り』に繋がっているためだろうか。無愛想だ。
真解「じゃあ、兜警部。その真珠とやらが置かれていた現場、見せてください」
 真解が兜に頼み込んだ。
兜「ああ、わかった。猫山、事情聴取をやっておけ。江戸川リポーター。お前も特別に連れていってやる」
猫山「ヘイ」
江戸川「ジャーナリストだって言ってるでしょ!?」
 2人が同時に言った。

現場
 現場に到着した真解達。
 現場には………何もない。
 3畳ぐらいの広さで、壁、天井が全て大理石。床には高価そうなカーペットが敷いてある。
 窓もなく、電気を切ったら真っ暗だ。ドアを閉めれば、完全に密室になる。
 そんな部屋の中央に、ドンと台が置いてある。どうやら、そこに巨大真珠が飾ってあったようだ。
兜「この館には、こんな感じの部屋がたくさんあるんだ。全ての部屋には一品だけ飾ってある。向こうにある部屋なんか、3畳の部屋にちょこんと小さな指輪が置いてあるだけだった。3畳が広く見えたのは、アレが初めてだ」
江戸川「♪窓の下には神田川 三畳一間の小さな下宿♪」
 江戸川がまた歌いだした。またしても真解達の知らない曲である(まぁ、結構有名な歌だが…)。
兜「江戸川リポーター…20才代に見えるが、何歳だ? まぁ、14の娘さんがいるから、30は越してるだろうが…」
江戸川「女性に年齢は聞くもんじゃありませんよ? 兜さん…」
真解〔兜警部はあの歌を知っているってわけか…〕
 本当に江戸川さんは何歳なんだろう? そう思いながら、現場を見る事にした。
 ただでさえ狭いのに、警官が何人もいるから余計狭く感じる。
真解「どうだ? 謎事…なにかあるか?」
謎事「さぁ…?」
 謎事は台に近寄った。
 既に台の周囲を黄色いテープが張ってあり、手を伸ばしても届かないぐらいの距離までしか近づけない。
謎事「こっから見える範囲だと、不審な点は……あ」
真解「お? どうした?」
謎事「この台……中央がくぼんでる…」
 と、3人の動きが止まった。
真解「当たり前だ。バカ」
謎事「え!? な、なんでだよ!?」
謎「真珠のような球体を、平らな台の上に乗せたら、どうなると思いますか?」
謎事「え?」
謎「転がって、落ちると思うんですけど……。そのくぼみは、真珠をそこにとどめさせるためのものです」
謎事「あ…あぁ、なるほど…」
「ハハハハハ…」と謎事が恥ずかしそうに苦笑いした。いや、事実本当に恥ずかしい。
 しかし、それ以外大した物も見つからない。
――しばらくたって、警官が少なくなってからまた見せてもらおう。
 真解は兜のいる入口へと戻った。
 江戸川となにか話していると思っていたら、一緒に歌っていた。
兜&江戸川「♪貴男(あなた)はもう忘れたかしら 赤い手拭い マフラーにして…♪」
真解〔な…なにを歌ってるんだ? さっきの歌の続きか?〕
 正確には、さっきの歌の歌いだしである。
 兜が真解に気がついて、歌を止めた。
兜「お、もういいのか?」
真解「ええ…あとで警官が退いたら、また見させてください」
兜「わかった」
真解「真実! 謎事! メイ! 一旦大広間に戻るぞ!」
 真解が号令をかけると、まるで仔犬のように真実と謎事がすっ飛んできた。メイはそんなことはなかったが。

大広間
兜「猫山! 事情聴取、終わったか?」
 兜が聞くと、猫山が振り向いた。
猫山「兜警部! とんでもないことがわかりました!」
兜「ん? どうした?」
猫山「この家の者が最後にあの真珠の存在を確かめたのは、本日の午前8時過ぎ、メイドの白鳥さんがあの真珠の存在を確認しています。 そして真珠の紛失が発覚したのが、本日の昼前、だいたい午前11時ごろ、主の金城一郎さんがこの部屋を覗いて真珠がないことに気がついています」
兜「ほぅ。犯行時刻は午前8時から午前11時…たった3時間か。で、なにがとんでもないんだ?」
猫山「ええ。それだけなら別になんでもないんです。問題は、この家です」
兜「どう言うことだ?」
猫山「忘れたんですか? 兜警部。この家は厳重な門と厳重な塀…そして、厳重な玄関によって守られています」
真解「つまり…犯人は…」
猫山「ここの館の住人の、誰かってことなんですよ!」
兜「なんだと…? だが、それなら全員のアリバイを調査すれば…」
猫山「問題はそこです! 自分もアリバイ調査が必要だと感じて、そのまますぐに全員のアリバイを聞きました。そしたら、なんと…」
真実「まさか…」
猫山「ええ、そうです。この時間帯、全員、アリバイがあるんです」
真解「なんだって!?」
 猫山が話したアリバイをまとめるとこうだ。

午前8時過ぎ。
白鳥…起床。そのまますぐに食事の準備のため食堂へ(このとき、真珠の存在を確認する)。
宝塚…同じく起床。そのまますぐに同じく食事の準備のため食堂へ。
理…既に起床。白鳥と宝塚が大広間に来たときは、既に厨房にいた。
他の全員…まだ睡眠中。

午前8時半ごろ
白鳥…食堂にて食事の準備。
宝塚…食堂にて食事の準備。
理…厨房にて調理中。
一郎…起床。そのあと順に達子、高一、美紀子と起床し、大広間に向かう。

午前9時ごろ
全員食堂にて朝食。

午前10時ごろ
白鳥…食事の後片付け、及び掃除。
宝塚…同じく食事の後片付け、及び掃除。
理…同じく食事の後片付け。直後、昼食の買い出し。
他の全員…食堂にて談話。

午前10時半ごろ
白鳥…掃除。
宝塚…掃除。
理…昼食の買出し中。
他の全員…まだ食堂にて談話。

午前11時ごろ
白鳥…庭の手入れ。
宝塚…庭の手入れ。
理…昼食の買出しより戻る(白鳥と宝塚が帰ってきたところを目撃)。
一郎…コレクションを傍観中、真珠が紛失していることに気付く。
他の全員…まだ談話中。


真実「ずっと談話…? 仲いい家族なんですね」
達子「ええ、そうなんですよ」
兜「真実嬢…そんなところに感心している場合じゃない。全員に鉄壁のアリバイがある!」
真解「鉄壁の…? そうでしょうか?」
兜「なに?」
真解「だってほら、掃除や庭の手入れなんて、2人バラバラにやるでしょう? それに、午前8時過ぎはまだ金城家のみなさんは寝ていた。アリバイは無しですよ」
一郎「だがな、探偵坊やクン。わたしがわたしの真珠を盗んでなんになる?」
高一「そう。つまり、僕らには犯行の動機がないってわけだ」
美紀子「自分が損するだけだものね」
白鳥「『となると…』と、わたし達の方を向きたいところでしょうけど、わたし達、ずっと一緒に行動してましたから」
真解「え?」
宝塚「実はわたし…先日ここに勤め始めたばかりでして…」
白鳥「わたしがまだ一生懸命ノウハウを教えていたのよ。だから、ずっと2人一緒」
真解「じゃぁ…理さんは…?」
理「残念だが、食事の後片付けも鉄壁のアリバイとなる。厨房から外へ出るためには、必ず食堂を通らなければならない。しかし、食堂ではずっと一郎様達が談話をなさっていた。つまり、わたしにもアリバイがあるってことだ」
真解「じゃあ、買出し中は?」
理「この家の門は、外から開けるには絶対にナンバーロックのキーを押さなければならない。それも、開ける度にコンピュータに記録が残るんだ。わたしが10時過ぎから11時過ぎまで家にいなかったことが、それで証明できるはずだ。 それに、レシートがある。ちゃんと、時刻も明記してあるはずだ」
 理はポケットをまさぐって、レシートを取り出した。
理「ほら。ここから車で20分ほどかかるスーパーのレシートだ」
 理はレシートを取り出した。確かに、レシートにはしっかり『午前10時45分』と書いてある。
理「どんなに急いでも、20分はかかる。11時過ぎには帰ってこれるが…それじゃあ、犯行は無理だろ?」
真解〔どういうことだ…?〕
 真解はうつむいて考え出した。いつも考えるときはうつむくのだ。
真解〔外部犯の可能性はゼロ。ここの住人には全員、アリバイがある…。ってことは、このアリバイがトリックか…。 ともかく、これから厳重な捜査が必要だな〕
 真解の頭脳が回転を始めた。

Countinue

〜舞台裏〜
こんにちは。キグロです。
今回のゲストは、澪菜を跳ばして江戸川乱歩さんです。
江戸川「え? いいの?」
澪菜「いいわけないでしょ! キグロ! わたしを跳ば(強制終了
ふぅ。なんか最近多いな。強制終了。
江戸川〔なに…? なんなの!? 強制終了って!〕

今回出てきた猫のミーナ。実はあれ、うちの飼い猫の名前なんですよね。
江戸川「あ、そうなんだ。ってかキグロクン、猫なんて飼ってたんだ」
ええ。大きいのとその子どもが一匹ずつ。親の方は拾ってきたもんなんですけどね。生まれたんスよ。何匹も。
江戸川「あら、じゃあその子だけ貰い手がなかったの?」
そう。しかも、親が茶色と黒のしましま模様なのに、子どもの方は黒白なんだよね。
江戸川「微妙…」
ビックリして理科の資料集あさって調べましたよ。遺伝の法則。まぁ、遺伝学的には別に不思議じゃない現象だったようで。
江戸川「へぇ…」

今回は怪盗事件。MASKとの関連を持たせてもよかったんですけど、話がややこしくなるんで止めました。
江戸川「あら…そう」
まぁ、とりあえず今回はアリバイトリックに的を絞ってみました。「事件編」だけじゃぁ、大した情報はありませんけど、次回辺り、大量に出す予定です。ってか、出さなきゃ話にならない。
江戸川「じゃあ、そのときに、アリバイがますます鉄壁に?」
うん。もちろん。今回の小説、アリバイトリックを披露したいがために作ったようなもんですから。
江戸川「ああ、だからMASKと関連持たせると話がややこしくなるって言ったのね」
そういうこと。ま、と言うわけでアリバイトリックを崩してもらいます。トリックがわかればおのずと犯人もわかりますから。推理の募集は次回します。掲示板には決して書かないでください。
江戸川「では次回」

おまけの当初の設定秘話;当初、今回の話は「カービィ探偵団!」に出す予定だったらしい。

作;黄黒真直

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