「いらっしゃいませ。こちらは森羅万象を解き明かす科学の雑学の部屋です。 ここには、物の仕組みや自然現象に関する雑学をまとめてあります。 キグロさんが科学好きなため、やたらと更新頻度の高い部屋となっています」 | |
「なお、『雲の出来方』より上の50個の雑学は、全て2階に移しました。 ご覧になりたい方は、奥の階段を上ってください」 |
海水浴場で波が来ると、砂が黒くなる理由 海水浴場で、白い砂浜に波が来ると、引いたとき、一瞬砂が黒く見えます。 何故、白い砂が水に濡れると黒く見えるのでしょうか? それは、白い砂の成分の大半が、「酸化ケイ素」だからです。 そもそも、色は何故見えるのでしょうか? 色は、物が光を反射させる事によって見えます。 太陽の光には、実は様々な色の光が含まれていて、これらのうち何を反射させるかによって、色が決まります。 例えば、赤色の光だけを反射すれば赤く見え、緑色の光だけを反射すれば、緑色に見えます。 では、白はと言うと、白色は、全ての光を反射させた場合、白色に見えるのです。 そして、黒色は、ほとんど光を反射させない場合、黒く見えるのです。 この酸化ケイ素は、光を反射させる性質を持っています。 また、砂浜にはたいてい、大小様々な砂があり、それらに太陽光線が当たると、乱反射が起こります。 この乱反射が無いと、光が鏡に当たったように反射されてしまい、太陽の光が丁度反射される位置に立たなければ、砂浜は真っ黒に見えてしまいます。 この光を乱反射させる砂浜の性質が、砂浜を白く見せているのです。 では、水に濡れると何故黒くなるのでしょうか? 水が掛かると、水が太陽光線の反射の妨害をするため、反射が少なくなります。 また、全体に膜が掛かったような状態になるため、乱反射も少なくなり、結果として黒く見えるのです。 (妨害する原理が良くわからないので、どなたか知っていたら教えてください) |
花火の仕組み 夏の夜空を彩る花火。あれは、どのような仕組みであのようになっているのでしょうか? 実は花火は、単純に火薬を爆発させているだけなのです。 ただし、その火薬には「過塩素酸カリウム」と言う物質を、爆発しやすくするために混ぜ込んであります(この過塩素酸カリウムの事を、「酸化剤」と言います)。 では、あの色は? あの色は、「炎色反応」と言う反応を利用する事によって、付けています。 炎色反応とは、「金属塩」と言うものを、燃やす事により、炎の色が変わる反応です。 金属塩とは、平たく言うと塩化した金属(塩とくっ付いた金属)の事。 と言っても、金属を塩化させれば全て金属塩になるかと言えばそうでもなく、 「アルカリ金属」と「アルカリ土類金属」と言う物に分類される金属だけが、金属塩となり得ます。 (この2つの物については、説明しようと思えば出来ますが、一から教えるとなると非常に面倒なので、どうしても知りたい人は自分で調べてください)。 炎色反応は、温度が高ければ高いほど、鮮やかな色が出ます。 この、火薬、過塩素酸カリウム、金属塩の3つの物質で、花火はほぼ構成されています。 では、実際花火の中はどうなっているのでしょうか? 打ち上げ花火に限って、説明しましょう。 夜空に打ち上げられ、バーンと割れる花火は、基本的に玉皮、星、はさみ紙、割薬、点火薬、導火(みちび/導火線)からなっています。 打ち上げには、まず打ち上げ筒の底に「打ち上げ薬」と言う物を入れ、その上に球形の花火の玉(花火玉)を置きます。 そして、打ち上げ薬に点火すると、花火玉が空高く打ちあがり、同時に導火に火がつきます。 花火玉が最高点に達すると、導火の先端(花火玉の中心)にある点火薬から、その周りを占める割薬に火がつきます。 そうすると、割薬が爆発。 その力によって、「星」が四方八方に燃えながら広がります。 この星は、先ほど書いた金属塩などから出来ており、これが燃えて炎色反応を起こす事で、あのような美しい色と形をするのです(図)。 基本的には、この様にやって打ち上げ花火とは打ち上げられ、それを応用して様々な形をしているのです。 何かの形をしている花火(例えば、土星など。型物花火と言う)は、花火玉の中に、星を並べます。 この時、形作りたい物の形に星を並べると、その形を保ったまま、星が広がって行きます。 こうして、好きな形を作り上げているのです(図)。 花火が打ち上がると、小さな花火がいくつも開く花火。 これは、花火玉の中に「小花」と呼ばれる小さな花火玉がたくさん入っていています。 そして、大きな花火玉(親花火玉)の割薬が爆発すると同時に、小花の導火に引火。 するとしばらくして、小花が爆発し、花火になるのです(図)。 爆発と同時に、クルクルと回りながら落下してくる、「落下物」。 これは、火薬をパイプに詰め、そこに斜めに穴を開け、その穴に導火を差し込んだもの。 これにより、パイプは燃えながらクルクルと回り、落下するのです(図)。 また、花火が落ちながら色が変わっていくのは、星が2重構造になっているだけです。 その2重構造の外側と内側で、練りこむ金属塩を変えれば、色が変わります。 最後に、金属塩について。 金属塩は、何の金属を燃やすかによって、炎の色が決まっています。 例えば、リチウムなら赤、ナトリウムなら黄色、ストロンチウムなら赤…と言うように。 ちなみに、炎色反応の語呂合わせがあります。 「リアカー無きK村、動力借るとするもくれない馬力で行う」 と言うのがその語呂合わせで、 「Li(リチウム)赤(リアカー) Na(ナトリウム)黄(無き) K(カリウム)紫(K村) 銅 緑(動力) カル(カルシウム)橙(借ると) Sr(ストロンチウム)紅(するもくれない) Ba(バリウム)緑(力) で行う」 となっています。 一覧の雑学の部屋に、炎色反応の一覧を載せておきます。 |
潮が満ちたとき、地球の反対側でも潮が満ちる理由 海水面の高さが高くなる事を「潮が満ちる」と言い、その高さが最高になる事を、「満潮(まんちょう)」と言います。 逆に、海水面の高さが低くなる事を「潮が引く」と言い、その高さが最低になる事を「干潮(かんちょう)」と言います。 さて、この現象は一般によく知られていますが、潮が満ちたとき、実は地球のほぼ反対側でも、同じように潮が満ちているのです。 これは、一体何故でしょう? そもそも、この「潮が満ちる」現象は、どのような原理で起こるのでしょうか? 周知の通り、地球には月と言う衛星があります。 この月は地球の周りをグルグルと回っている(公転している)わけですが…。 実は、その回る軌道(公転軌道)は、よく本の図などで見るような、完全な円形ではありません。 少しつぶれ、卵のような楕円形をしています。 そして、地球はこの楕円形のど真ん中から、少しずれた位置にあります。 その為、地球と月との距離は、時々刻々と変わっています。 また、月にも、地球と同じように引力があります。 その引力は当然地球にも作用し、地球上の海水にも作用します。 そして、月と地球の距離が近付くにつれ、月が地球の海水を引っ張る力が強くなり、徐々に潮が満ちていく、と言うわけです。 しかし、これでは地球の反対側で同時に潮が満ちる理由が説明できません。 この理由を説明するためには、ある常識をぶち壊さなければなりません。 実を言うと、厳密には、「月は地球の周りを回っていない」のです。 では何の周りを回っているかと言いますと、「地球と月との重心」を中心に回っているのです。 重心とは、重さの中心…早い話が、バランスの取れる点です。 例えば、ヤジロベエ。 今更説明するまでも無く、ヤジロベエは、中心の人形に細長い棒をつけ、その棒の両端に重りが付いたおもちゃです。 そして、その真ん中の人形を指の先に乗せると、左右のバランスが釣り合い、少しぐらい揺れても倒れません。 それは、この人形の部分が、両端の重りの重心だからです(実際には人形や棒の重さももちろん含まれます)。 この時、例えば右の重りを重くすると、この重心は少し右にずれます。 さらに右の重りを重くすると、さらに重心が右にずれます。 そしてどんどん重くしてくと、ついにはほとんど右の重りの位置に、重心が来てしまいます。 これが、地球と月の関係です。 つまり、地球から月まで届く長い棒を、地球と月の地面に突き刺し、ヤジロベエの要領でバランスを取ろうとすると、指の位置は、ほぼ地球の中心部分にやってくるのです。 実際にはわずかに重心は地球の中心からずれているのですが、一見しただけでは月が地球の周りを回っているように見えます。 さて、では話を元に戻しましょう。 何故、地球の反対側で同時に潮が満ちるのでしょうか? 「月は、地球の中心からわずかにずれた重心を中心に地球の周りを公転している」、と言う事は、言い換えればこうなります。 「地球は、地球の中心からわずかにずれた重心を中心に月の周りを公転している」、のです。 すると、月から見た地球の反対側は、地球の引力よりも地球から宇宙へ飛び出そうとする遠心力の方が、強くなります。 その為、海水は遠心力により宇宙へ飛び出そうとして上昇。 結果、海水面が高くなり、「潮が満ちる」わけです。 今回は言葉だけではわかり難いので、図を描きました。こちらです(携帯電話非対応)。 |
湯あかの正体! お風呂の壁面を汚す、「湯あか(湯垢)」。 この湯垢ですが、名前からしていかにも体から出る汚れ(垢)のような気がしてしまいますが、実は違うのです。 あの湯垢の正体は、何かと言うと石鹸。 化学的に言うならば、「脂肪酸カルシウム」です。 そもそも石鹸と言うのは、早い話が脂肪酸とカリウムの化合物です。 脂肪酸と言うのは、脂肪の仲間で、「『常温で固体の脂肪酸』の事を脂肪と言う」のです。 そして石鹸は、高級脂肪酸と言う、炭素を多く含んだ脂肪酸と、カリウムやナトリウムとの化合物です。 ここで言う高級脂肪酸は、ステアリン酸(C17H35COOH)やパルミチン酸(CH3(CH2)14COOH)などのことですが、詳しい事は放っておきます。 さて、普通、日本の習慣としては、お風呂に入ると最初なり途中なり最後なりで、体を洗います。 その時、普通は石鹸を使います。 そして、普通は一緒に水も使います。 この時使う水。水道水を使わない人は、普通あまりいないでしょう。 実は、水道水はただの水ではなく、数多くの不純物が含まれています。 そのおかげで家に居ながらおいしい水が飲めるのですが…水道水内には、カルシウムもわずかに不純物として含まれています。 そのカルシウムが、石鹸の主成分である脂肪酸と化合します。 そして出来るのが、最初に書いた「脂肪酸カルシウム」。 湯垢は、約70%がこの脂肪酸カルシウムで出来ているのです。 残りの30%は何かと言いますと、まず、約10%のたんぱく質(人体の主成分。おそらく、わずかに剥がれた皮膚などでしょう)。 そして、約6.2%が遊離脂肪酸(人間のエネルギー源。脂肪が分解するときに生じる、脂肪酸の仲間)。 で、我々の体の汚れである、「脂肪」は、わずか5.9%。 最後に残った数%(6〜10%弱)は、現在のところ不明。 尿素と塩素では? と言うのが有力な線だそうです。 つまり、あの湯垢を、日常的な言葉に全て直すと、 「大半が石鹸、10分の1ぐらいが皮膚、同じく10分の1ぐらいが垢(脂肪)とその仲間たち、残りは尿と汗」 と言うところでしょうか。 |
ハワイは日本に近付きつつ、消滅する! 「ハワイは年々日本に近付いている!」「ハワイは日本付近に来ると消滅する!」 さて、今回はこの2つの雑学をご紹介。 まず、前者から説明しましょう。 地球の表面と言うのは、ゴムボールのように、一枚の皮で出来ているわけではありません。 サッカーボールのように、何枚もの「プレート」と呼ばれる岩盤が敷き詰められて、出来ているのです。 そしてそのプレートは、日々、少しずつ動いています。 プレートは、地球の内部にあるマグマが海底に出てきて、冷えた物。 そのプレートが出来る場所は決まっていて、そこから新しいプレートがどんどん作られていきます(ここを、「海嶺(かいれい)」と言います)。 ハワイは、このうちの「太平洋プレート」と言うプレートに乗っかっています。 そして、この太平洋プレートは、南極の方から徐々に日本へと向かって進んで来ているのです。 その速度は、年間数cm。 ハワイ諸島と日本との距離は、5000km〜7000km。 一番近い島でも、日本にやって来るのは5億年も先です。 しかし、ここで2番目の雑学。 ハワイは、日本付近へ来ると、消滅して無くなってしまうのです。 一体、何が起こるのかと言いますと…。 ハワイと言うのは、火山なのです。 普通、火山と言うのは海嶺にあるものなのですが、たまに、プレート内部に火山があることもあるのです。 このような場所を「ホットスポット」と言い、下からどんどん新しいマグマが昇ってきます。 すると、海底が持ち上げられ、そこに新たな火山島が生まれるのです。 ハワイの正体は、この火山島なのです。 しかし、元々海底から持ち上げられただけのただの岩。 海の波を被り、海流に底部をさらしているうちに、徐々に欠けていきます。 小さい頃、砂場の砂で山を作った事がある人は、多いでしょう。 その砂山に水をぶっ掛ければ、当然水に流され崩れ落ちてしまいます。 ハワイは、まさにこの砂山。 砂の代わりに岩ではあれど、大自然の前には砂も岩も関係ありません。 海水によって、ハワイ諸島はどんどん削られ、崩され、ついには消滅してしまうのです。 これを、「浸食(しんしょく)」と言い、ハワイが日本に来るときには、岩はおろか、砂粒1つ残っていない、と言うわけです。 もっとも、原型をとどめたまま日本に来ても、気候が変わっているので、現在のようなトロピカル・ビーチを楽しむ事は出来ませんが。 |
「夕焼けの色」は、奥が深い 夕焼け、と言うと「赤」を連想しますが、単純に「赤」だけではなく、実は色々と奥が深くなっているのです。 でもその前に、「何故夕焼けは赤いのか?」子ども向けの科学誌で真っ先に出てくるこの疑問に、遅ればせながら回答します。 この疑問に答えるには、まず、太陽の光は1色ではない、と言う事を念頭に置いてもらう必要があります(詳しくは、「虹は何故見える?」参照)。 虹の色は、一般的に紫、藍、青、緑、黄、橙、赤の7色。 太陽の光には、この7色(実際にはもっと細かいのですが、ややこしくなるので7色とします)が混ざっているのです。 ところで、地球上には空気があります。 実はこの空気、我々の目には透明にしか見えませんが、ありとあらゆるものが浮遊しています。 ホコリやチリ、水蒸気などがその主なものたちです。 そして、これらの空中浮遊物は、光を反射します。 「反射」と言うと鏡を連想しますが、反射はそんな特別な物だけでなく、身の回りの全てのものが、光を反射しています。 太陽の光には7色の光が混じっていますが、例えば、葉っぱはそのうちの緑色だけを反射します。 そのため、葉っぱは緑色に見えるのです。 白い物はほとんど全ての光を反射し、黒い物はほとんど全ての光を吸収するのです。 では、ホコリやチリなどは、何を反射するのでしょうか? 実は、何でもかんでも反射してしまいます(つまり、「白」です)。 しかし、空気中にまばらに存在しているため、全ての光が反射されてしまうわけではありません。 ホコリやチリに当たれば、光は反射されてしまいますが、当たらなければ反射しません。 この時、「当たりやすい光」と「当たりにくい光」の2つの光(=色)があるのです。 実際には「当たりやすい」「当たりにくい」としっかり区別されているのではなく、 「すごく当たりやすい」「結構当たりやすい」「やや当たりにくい」「少し当たりにくい」…などと、曖昧なのですが…。 とにかく、「当たりやすい光」は、空気中を通る間に、どんどんホコリに当たって反射されます。 反射されると、当たり前ですが、地上に届きにくく、同時に我々の目にも入ってこない、ということになります。 さて、この「当たりやすい」順番に光を並べると、紫、藍、青、緑、黄、橙、赤の順番になっています。 昼間は太陽は上空にあるため、通る大気の距離が、短くなります。 しかし、夕方は斜め方向から入ってくるため、通る大気の距離が、昼間に比べてグッと長くなるのです。 そのため、反射されやすい紫や藍、青などは我々の目に届かず、 反射されにくい橙や赤などは、我々の目によく届き、赤い夕焼けが見える、というわけです。 そして、ここからが夕焼けの奥の深いところ。 まず、夕焼けは、実は季節によって色が変わるのです。 夏の夕焼けはオレンジっぽく(つまり橙)、冬の夕焼けは真っ赤なのです。 これは、太陽の角度が、夏は高く、冬は低いからです(詳しくは、「何故夏は暑く冬は寒いのか?」参照)。 また、光を反射するホコリなどが多ければ多いほど、夕焼けは赤くなります。 近くに大きな工場があったり、交通量の多い道路があったりすると、そこから出る化学物質などにより、夕焼けがさらに赤みを増します。 大気が汚れている地域ほど、夕焼けは赤くなる、と言うわけです。 なお、「朝焼け」や、たまに条件が揃うと見ることのできる「赤い月」もほぼ同じ理由です。 「朝焼けだと雨」と言うことわざがありますが、それは、朝焼けの原因が、水蒸気によるものだから。 太陽は東から昇ります。 そして、天気は東から西へ変わるので、綺麗な朝焼けが見えた日は、その朝焼けを作った水蒸気(雲の基)がこちらへ来て、雨を降らす、と言うわけです。 ちなみに、「夕焼けは晴れ」と言うのも、同じ理由。 雨が過ぎ去ると、水蒸気により綺麗な夕焼けが見れ、また、雨が過ぎ去れば天気は晴れます。 そこから、こうに言われるようになった、と言うわけです。 |
「津波」と「波」は、1字違いで大違い 海には、「波」があります。同時に、「津波」もあります。 この2つ。普通に見ると、規模の違いだけのような気もしますが、実は、根本的に全く違う物なのです。 まず、海の波から見てみましょう。 いわゆる「波」とは、ほとんどが風の力によって作られます。 風が海面に当たると、それによって海面が揺れます。 これが大きくなった物が、「波」です(このような波を、「風浪(ふうろう)」と言います)。 この風浪は、とても複雑な形をしています。 まず、山の先端がとんがっており、山と山の距離(波長)が、とても短くなっています。 そして風浪は、風が強いか、吹く時間が長いか、あるいは吹く距離が長いと、大きな波に変化します。 この風浪が、風浪を起こした風の無いところまで届いた物を、「うねり」と言います。 このうねりが伝わるのは時速50km以上ととても速く、台風によって生じた風浪が、うねりとなって、台風より先に岸に到着するのは、このためです。 そしてうねりは、遠くまで伝わるうちに、徐々に力を失い、山は低くなり、最終的に消えてなくなります。 このように、波は常にどこかで発生し、消滅しています。 ところで、海の波を見ていると、海の水そのものが移動しているように見えます。 しかし、実は波が起こっても、海水はほとんど移動していないのです。 例えば、サッカーや野球などの会場席。 そこにいる観客たちが、たまに「ウェーブ」と言うものをやります。 端から順番に、列ごとに両手を挙げ、まるで「海の波」のように見せかけるのです。 実は、本物の海の波も、これと全く同じ原理で動いているのです。 つまり、水はその場で上下しているだけ。 移動していると言えば、押しのけられた水が微妙に横移動するだけで、基本的に上下移動しかしていないのです。 また、どんなに激しい波でも、水深1m程度までもぐると、もう水はほとんど揺れていない、と言われています。 しかし、「津波」は違います。 津波は、主に地震や海底噴火などによって生じる、非常に波長の長い波です。 地震を例に取りますと、地震は、まず地面が上下します。 すると当然、海の水も、一緒に上下します。 これだけならなんともないのですが、世の中は一筋縄では行きません。 板の上に物を置き、その板を落とすと、上に載っていた物は、一瞬だけその場に留まります(肉眼ではわからないかも知れませんが)。 海水でも、これと同じ事が起こります。 つまり、地面が下に下がっても、一瞬だけ、海水は宙に留まるのです。 そして、海水は地面につられて落ちようとするのですが…そこへ、今度は地面が上がってきます。 これにより、海水は一気に押しのけられ…津波が発生します。 その後津波は、四方八方へと広がり、陸地へと進みます。 陸地へ進むと、海底が浅い事を良いことに、一気に高さ(波高)を増します。 そしてそのまま陸地へと流れ込み、全てを飲み込むのです。 その直後、津波は海へと戻っていきます。この時、陸地のあらゆるものを巻き込んで、海へと連れ去っていくのです。 ところで、「波」は、水が上下しているだけでした。 しかし、津波は違います。津波は、水そのものが、移動しているのです。 津波が甚大な被害をもたらす理由も、ここにあります。 水と言うのは、見た目によらず、ものすごい重さを持っています。 例えば、縦横高さ全て1メートルの箱に水を満杯まで注げば、その重さはなんと1トンにも上ります。 津波は、ものすごい量の水が押し寄せてきます。 つまり、1トンや2トンなんてものではなく、何十トンと言う重さを持って、押し寄せてくるのです。 そのため、ひとたび津波が来れば、我々人間にはどうしようもない被害が起こってしまうのです。 最後にまとめますと、つまり、「波」と「津波」の最大の違いは、水の動き方。 「波」は上下で、「津波」は横。早い話が、こう言うことです。 |
お札の「すかし」の作り方 「偽札(正確には『偽造券』)」と言う言葉は、ご存知でしょう。お札(紙幣)の偽物です。 この「偽札」であるか否かの一番簡単な方法は、そのお札に「すかし」が入っているかどうか、です。 今更説明する必要は無いと思いますが、お札を光にかざすと、何も無かったところに肖像画が浮かんできます。 アレは、コピー機やプリンターなどでは絶対に出す事が出来ないため、ほとんど全ての偽札は、すかしがありません。 では、そもそもお札を発行している日本銀行では、どのようにしてすかしを入れているのでしょうか? これは、お札のすかしの部分を、指でなぞってもらうと、簡単にわかります(ただ、新札じゃないとわかりにくいかもしれません)。 すかしの部分には、ほんのわずかですが、凹凸があります。 実は、すかしの部分は、紙の厚みに差があるのです。 そこを光にかざすと、薄い部分は光を良く通すので明るく、厚い部分は光を通しにくいので、暗くなり、 その明暗の差が、白黒の違いとして見えるのです。 その厚みの差のつけ方は、詳しくは国家機密ですが、あれらは紙の製造段階で既につけられている物。 つまり、普通の紙にインクをつけるだけのコピー機やプリンターでは、絶対にすかしは入れられないのです。 また、すかしは反対側から光を当てない限り見えない(見えにくい)ですが、 コピー機は一方から光を当て、その反射光を元にインクを吹き付けています。 つまり、コピー機には、すかしを見ることが出来ません。 そうした理由からも、コピー機ですかしを作る事は、絶対に出来ない、と断言できるのです。 |
0℃のH2O。果たして水か、それとも氷か!? 水は0℃で氷になります。そして氷は、0℃で溶けて、水になります。 では、0℃の状態では、果たして水なのでしょうか、それとも氷なのでしょうか? 正解から先に言いますと、0℃では、水と氷、両方が存在しえます。 ただ、水と氷の間には、高い高い「熱の壁」があるのです。 氷から水に溶ける場合を考えてみましょう。 まず、温度のものすごく低い氷を徐々に熱していき、0℃にします。 しかし、普通に熱するだけでは、0℃になっても、氷のままです。 では、どうすれば水になるのでしょうか? その方法とは、 「0℃の氷に、1ccあたり80cal(カロリー)加える」 です。 1ccとは、縦横高さ、全てが1cmの物体の体積(大きさ)。 小指の爪の大きさが、縦横ほぼ1cmなので、ここに同じ大きさで高さ1cmの物を置けば、それが1ccになります。 そして、80calとは、1ccの0℃の水を、80℃まで上げるほどの強い熱の事。 つまり、たかが氷を水にするだけで、ものすごい量の熱が必要になるのです。 と言っても、たった1ccですから、感覚的にはあまり大きな熱では無いように感じますが…。 しかし、「1ccあたり80cal」と言う事を忘れてはいけません。 つまり、例えば、10cc(=1kg)の氷を溶かしたい場合、1kgの水を80℃まで上げる熱が必要になる、と言うわけです。 そして同時に、これが氷の「冷たさ」の正体でもあります。 氷を水にするためには、80calもの熱(熱量)が必要になります。 言い換えれば、氷は水になる時、周りから1ccあたり80calもの熱を奪い取る事になります。 そのため、氷を手の上に載せると、手から80calもの熱を奪い取られ、冷たく感じるのです。 また、水から氷にする時は、水から80カロリーの熱を奪う必要があります。 ちなみに、これは100℃の場合も同じ事です。 水は100℃で水蒸気になりますが、その時は359calもの熱が必要になります。 なお、今回は熱(熱量)の単位として「cal」を使いましたしたが、現在学校で習うのは「J(ジュール)」。 80calをジュールに直すと、約335J。 359calをジュールに直すと、約1503Jとなります。 あと、習っていない方に補足。 題名の「H2O」とは、「水」を表す、記号のような物(「化学式」と言う)。 まぁ、H2O=水蒸気or水or氷と覚えておけば、差し支えないでしょう。…たぶん。 |
地球温暖化は、自然現象!? 現在(2005年2月)地球規模で問題になっている現象、「地球温暖化」。 ニュースなどで日々言われているように、これは、地球の平均気温がどんどん上がっていく現象です。 よく、これは、 「人間が多くの化石燃料(石油や石炭など)を使い、温室効果ガス(二酸化炭素など)を大量に放出している事が原因だ」 と言われます。 要約すれば、「地球温暖化は人間の責任」と言う事なのですが…。 実は、「地球温暖化と人間は無関係」と言う説もあるのです。 「説もある」と言うよりは、「関係しているのかしていないのか、実はよくわかっていない」と言うのが、正しい言い方です。 グリーンランドや南極には、たくさんの氷床があります。 これらの氷床を調べると、氷床が形成された時の気温や、大気中の二酸化炭素濃度がわかるのです(理由不明。もしも知っていたら、どなたか教えてください)。 その氷床の分析によれば、18世紀…つまり、化石燃料を使い始めた産業革命以後、確かに大気中の二酸化炭素濃度は増え続けています。 しかし、このような二酸化炭素濃度増加現象は、過去に何度も繰り返し起こっている事なのです。 例えば、紀元前6000年の縄文時代。人類はやっとこさ火の起こし方を知った頃でしょう。 しかし、当時、「縄文海進」と呼ばれる海水面の上昇現象が起こりました。 この時は、現在よりも4メートルも海水面が高かったと見積もられています。 この値は、現在の最新シミュレーションがはじき出した、今世紀末までに上昇する海水面よりも、はるかに大きい値です。 さらにもっと過去の時代。 恐竜の生息していた中生代白亜紀(1億4300万年前〜6500年前)には、現在よりも300メートルも海水面が高くなっていました。 「氷期・間氷期」と言う物があります。 「氷期」とは、いわゆる氷河時代の事で、地球全体が、猛烈に寒い時期を言います。 そして、「間氷期(かんぴょうき)」とは、上の氷期と氷期の間の時期の事で、地球全体が暖かい時期の事を言います。 最近の研究で、この氷期・間氷期の周期が、10万年周期のものから、数年、数十年周期の物まで、様々なものがあると言う事がわかってきました。 この氷期・間氷期は、人間活動とは全く無縁で、太陽活動など、自然現象の影響によって繰り返し起こる現象なのです。 現在は、地球がこの氷期から間氷期へ向かっている途中なのではないか。 もしかしたら、産業革命が起こって化石燃料が使用され始めた時期と、地球がこの間氷期に入る時期が、偶然一致しただけなのではないか。 そう言う風にも、考えられているのです。 しかし、化石燃料を使い過ぎれば、地球全体の二酸化炭素濃度が少しずつでも増えていくのはゆるぎない事実。 もしかしたら、「このまま使い続けると温暖化になり絶滅するから、今のうちに直しておけ」と言う、神の啓示なのかもしれません(?)。 |
鏡は何故左右逆さまに映るのか? 右手に鉛筆を持ったまま鏡の前に立つと、鏡の中の自分は、左手に鉛筆を持っている…。 ここから、「鏡は物を左右逆さまに映す」と言われています。 では、何故鏡は物を左右逆さまに映すのでしょうか? 実はこれ、簡単な疑問のようで、長年、多くの物理学者、心理学者、哲学者を悩ませて来ました。 哲学はともかく、あとの2つ…特に、心理学の世界では、結構なナゾなのです。 実を言うと、この疑問は、疑問自体が間違っているのです。 ズバリ言うと、鏡は、物を左右逆さまに映しているわけではないのです。 ただ、左右ではなく、別の物を逆さまに移しているのです。 何を逆さまにしているかと言うと、左右ではなく「前後」。 言われてみれば、「確かに」と頷ける事でしょう。 もし鏡が「左右」を逆さまにするならば、鏡を覗いたときに見えるのは、自分の顔ではなく、自分の後頭部のはずです。 しかし、実際に映っているのは、自分の顔。 自分が北を向いていたとしても、鏡の中の自分は、南を向いています。 つまり、鏡の中と外とでは、左右が逆なのではなく、前後が逆になっているのです。 では、何故前後が逆なのを、左右が逆だと勘違いしてしまっているのでしょうか。 人間は、上に頭が、下に足があります。そして、前に顔が、後ろに背中があります。 では、左右では? 人間を含め、ほとんどの動物は、「左右ほぼ対称」の形をしています。 もちろん、完全な対象ではありませんが、上下、前後に比べると、その差の少なさは顕著です。 そのため、「人間は、左右を判断する能力に劣っているのではないか」と考えられているのです。 そしてここに、「前後逆」の映像を、「左右逆」だと思ってしまうナゾの答えが隠されています。 人間は鏡を見た時、鏡の中の映像と、自分とを重ねようとします。 その時、まず頭の中で上下をあわせます。そして次に、前後をあわせます。 そして最後に、やっと左右をあわせるのです。 「鏡の映像は左右逆だ」と言う時、たいていの人は、頭の中で、鏡の中の像を、グルッと半回転させている事でしょう。 これが、勘違いの原因なのです。 グルッと半回転させるのではなく、鏡の映像をそのままベリッと剥がし、自分の横に立たせます。 すると、上下は当然あっています。では、左右と前後は、どうなっているでしょう。 あなたが、右手に鉛筆を持っているとします。 すると、鏡の向こう側からあなたを見た人には、あなたが向かって左側の手に鉛筆を持っているように見えます。 この時、鏡の像は、どちら側の手に鉛筆を持っているでしょうか? ベリッと剥がし、あなたの横に立たせた場合、鏡の像も、やはり向かって左側の手に、鉛筆を持っているように見えるのです。 では、前後はどうなっているでしょうか。 鏡の向こう側の人があなたを見た場合、まず、あなた自身は、前を向いています。 しかし、鏡の像は、前ではなく、反対側を見ている事になるのです。 本当は、鏡の像について考える場合、こうやって考えるのが正しいのですが、人間の認知能力が、左右より前後の方が上なので、 鏡の像をグルッと半回転させてしまい、「左右逆だ」と勘違いしてしまうのです。 ちなみに、鏡についてのナゾは、まだあります。 例えば、車のバックミラー。 道路を走っていて、バックミラーに右後方から追い越しをかけてくるバイクが映ったとします。 この時、このバイクにぶつからないために、たいていの人は左に避けることでしょう。 ここで、1つの疑問が浮かぶのです。 「『鏡は左右逆に映る』と思っているのに、何故右後方から来るバイクは、『左から来る』ではなく『右から来る』と思うのか?」 これは、バックミラーのすぐ下に、本物の道路があるため、と考えられています。 バックミラーの映像は、本物の道路の映像と重なっています。 そのため、鏡の映像を、本物の映像の延長として捉えているのではないか、と考えられているのです。 |
ボウリングの球は、何で出来ているのか? 非常に重いボウリングのボール。原料は一体なんでしょう? 「ボウリング施設、設備、用具の規格」と言う規定があります。 これの第28条には、「ボウリングボールは、非金属性のものでなければならない」とあります。 つまり、ボウリングのボールは、非金属製のものなら何でも良いわけです。 一般的には、ウレタン、プラスチック、ポリエステルなどの、いわゆる「合成樹脂」が主に使用されています(ただし、ウレタンは合成樹脂ではありません)。 ウレタンとは、タイヤなどにも使われているゴムの一種で、分子の中に「ウレタン結合」と呼ばれる構造を持つ物です。 どのような構造かと言うと、分子内に[−NHCOO−]があるのがウレタン結合。 Nとは窒素原子、Hとは水素原子、Cとは炭素原子、Oとは酸素原子をそれぞれ表し、 この4つの原子のこのような結合を「ウレタン結合」、これが含まれるゴムを「ウレタン」と言うのです。 ちなみに、ボウリングの球は、実は三層構造になっています。 まず、「表面」。そして表面を剥がすと、「中球(なかだま)」と言う物が出てきます。 その中球の中に、「ウェイトブロック」と言う特殊な核が入っているのです。 このウェイトブロックは、核と言っても全く丸くなく、キノコのようだったり、蒸気機関車のようだったりと、無茶苦茶な形をしています。 実は、ボウリングの球が曲がる理由は、もちろん投げる人の技術もありますが、このウェイトブロックが無茶苦茶な形をしているからでもあるのです。 このようにヘンテコな規則性の無い形をしていると、球の重心は中心ではなく、少しずれた位置にきます。 重心とは重さの中心。回転するものには遠心力(外へ引っ張られる力)がかかりますが、その遠心力は、重い物ほど強くなります。 重心がずれていると、その重心がある方に、遠心力が強く働きます。 そのため、ウェイトブロックを無茶苦茶な形にすると、そのボールの曲がり方に個性が出てくるのです。 愛好家が自分専用のボールを作る理由も、そこにあります。 お店で借りるボールでは、毎回毎回個性が違うので、どのように曲がるか、投げてみるまでわかりません。 しかし、自分のボールなら、その個性がわかっているので、それにあわせた力加減が出来、上手に投げる事が出来るのです。 次に、ウェイトブロックを取り囲んでいる中球ですが、ボウリングのボールの重さは、全てここで決まります。 ボウリングボールは、大きさに厳密な規定があるので、大きさで重さを変える事は出来ません。 そのため、ここに使用する合成樹脂の種類によって、ボールの重さを変えているのです。 最後に合成樹脂で表面を形作り、規定の大きさまで削ります。 こうして、ボウリングの球は作られているのです(このような方法で作られたボールを、「皮付きボール」と呼びます)。 ちなみに、最後に合成樹脂について説明を。 合成樹脂とは、「樹脂」とついていても、樹脂ではありません。 初めて作られた時、なんとなく天然樹脂に似ていたので、このように呼ばれました。 人工的に作られた、分子がとても長く連なった化合物(合成高分子化合物)のうち、ゴムや繊維を除いた物の事です。 プラスチックの大部分が、この合成樹脂にあたります。 参考文献;サイエンスチャンネル【http://sc-smn.jst.go.jp/】 協力;(財)全日本ボウリング協会【http://www.japan-sports.or.jp/bowling】 |
テレビの仕組み1〜ブラウン管テレビ〜 3回シリーズを予定している「テレビの仕組み」。第1回目はブラウン管のテレビです。 一般的な、「普通のテレビ」です(10年後(2015年ぐらい?)には、珍しくなっているかも知れませんが)。 テレビの奥には、「ブラウン管」と言う機械が埋め込まれています。 このブラウン管を縦に真っ二つにすると、一番手前、「画面」となる部分に、「蛍光体」と呼ばれる物が敷き詰められています。 その後ろには、細かい穴がたくさん開いた「シャドーマスク」と呼ばれる板状の物。 そのさらに後ろに「偏向コイル」があり、その後ろに「電子銃」があります。 では詳しく説明していきましょう。 テレビ局から送られてきた電波をテレビが受信すると、電子銃から、電子のビーム(電子ビーム、電子線)が発射されます。 この電子線は、「赤色を作るビーム」「青色を作るビーム」「緑色を作るビーム」の3種類。 何故かと言うと、この赤、青、緑の3色の光を使うと、全ての色を表現する事が出来るからです(この3色の事を、「光の三原色」と言います)。 例えば、赤と青を光らせれば紫、青と緑なら水色、緑と赤なら黄色、そして全てを光らせると、白になります。 さて、電子銃から発射された電子線は、すぐ目の前の偏向コイルへ飛び込みます。 「偏向」とは、電子の向き(電子線の向き)を変える事。 電子線は、何もしないと真っ直ぐ飛んでいきますが、近くで電気を流したり、磁石を近付けたりすると、向きが変わります。 偏向コイルは、磁力によって、この電子線の向きを上下左右に変えます。 向きを変えられた電子線は、そのまま真っ直ぐ飛び、シャドーマスクへ向かいます。 シャドーマスクには、直径0.20〜0.25ミリメートルの穴が規則正しく並んでいて、 電子の向き(角度)を調節する役目を担っています(どうやって角度を変えているのかがわかりません。どなたか知っていたら、教えてください)。 これにより、赤の電子線は赤の蛍光体、青の電子線は青の蛍光体、緑の電子線は緑の蛍光体に、それぞれ激突します。 「蛍光体」とは、電子線やX線、放射線、光などが当たると、光る性質のある物体の事。 明るいところに置いておいて、暗いところに持って行くと青白く光る物がありますが、あれが蛍光体(蛍光塗料)です。 テレビの画面には直径1ミリメートル以下の蛍光体が、約50万個も並んでいて、これらが光ったり消えたりしています。 すると、人の目は、そこに画像を捉える、と言うわけです。 また、このブラウン管の中は、電子が通りやすいよう、真空状態にしてあります。 この真空状態の中を、高速で飛ぶ電子の事を、「電子線」と呼ぶのです。 そして、電子はマイナスの電気(陰の電気)を帯びているので、電子銃を「陰極」、電子線を「陰極線」とも呼びます。 では、テレビの映像は、画面上でどのように変化しているのでしょうか。 「パラパラ漫画」と言うのを知っていると思います。 一枚ごとに少しずつ違う絵を描き、それを勢い良くパラパラめくると、絵が動いて見える、と言う物です。 テレビの絵が動く原理もこれと全く一緒で、テレビは、1秒間に30枚の絵を映し出しています。 パラパラ漫画はなんとなくギクシャクしていますが、テレビの場合はものすごく速いので、人間の目には違和感無く映るのです。 そしてテレビの画面は、よく見ると、横に細い帯が並んでいます。 これを「走査線」と言い、電子線は、走査線上をたどりながら、画面を光らせていくのです(走査線は、525本も並んでいます)。 さらに、自然な動きにするために、1枚の画像を2回に分けて映し出します。 最初の60分の1秒で、525本の走査線を1本おきに光らせ、次の60分の1秒で、残りを光らせます。 このように交互に走査線を光らせる事を、「飛び越し走査(インターレス)」と呼んでいます。 ちなみに、今回説明した方法(ブラウン管、電子線、走査)を用いて、世界で初めて物を映したのは、日本人の高柳健次郎さん。 1926年12月25日に、カタカナの「イ」を映し出しました。 これは本来、特許クラスの発明で、日本がテレビの特許を取得するはずでしたが、この高柳さんが特許を取らなかったため、日本はアメリカに特許を取られる、と言う悲劇に見舞われてしまいました。 ちなみに、テレビ局でテレビカメラに入った光は、カメラの中で赤、青、緑に分けられ、電気信号に変わります。 そして、「テレビのどの位置で表示するか」を表す信号に変えられ、同時に「画面の明るさ」を表す信号も作られます。 さらに「画像同期ミキサー」と言う機械で、色の信号と、明るさの信号を、テレビ画面上であわせる働きを持つ、「同期信号」が作られ、音声の信号と一緒に、各家庭へと送られていくのです。 |
テレビの仕組み2〜液晶テレビ〜 テレビシリーズ第2回。今回は、液晶テレビの仕組みです。 まずそもそも、「液晶」とはなんでしょうか。 「液晶」とは、英語では「Liquid Crystal」と言い、直訳すると「液体結晶」。 「液体でもあり、固体でもある物質」なのです。 別な言い方をすれば、「液体の性質と、固体の性質を併せ持つ物質」なのです。 「液体の性質」とは、ズバリ、形を自由に変えられる事(この性質を、「流動性」と言います)。 そして、「固体の性質」とは、ズバリ、見る方向によって見え方が変わる事(この性質を、「異方性」と言います)。 水は、どんないびつな形をした器にも入るので、流動性があり、氷は、見る方向によって形が変わるので、異方性があります。 では、液晶は何故、流動性と異方性の2つの性質を持つのでしょうか。 それは、液晶の分子構造を見ればわかります(分子とは、物体を構成するものすごく小さい粒の事)。 液晶の分子は、細長い楕円のような形をしていて、これがずらりと並んでいます。 固体の場合、この分子が、向き、位置、の両方が、ぴっちりと規則正しく並んでいます。 液体の場合は、この分子の向きも位置も、全くバラバラで、無秩序です。 これが液晶になると、向きは全部同じなのですが、分子の位置が全くバラバラ。 つまり、全部が同じ方向を向いたまま、好き勝手な場所にいて、移動しているのです (このような液晶を、ネマティック液晶と言い、たいていの液晶ディスプレイに使用されているのは、このタイプです)。 このように、分子の位置がバラバラなところから、流動性が生まれ、同じ方向を向いているところから、異方性が生まれるのです。 ところで、この液晶に光を当てると、光はどのような動きをするでしょうか? 光には、「屈折」と言う性質があり、これは、「物体Aの中を飛んでいる光が、物体Bに入ると、進む方向が変わる」と言う性質です。 この時の、「進む方向は、どのぐらい変わるか?」と言うのを数字で表した物を、「屈折率」と呼びます。 液体や気体の場合、どんな角度で光が入ってきても、屈折率は変わりませんが、固体や液晶は、光が入ってくる角度によって、屈折率が変わります。 実は、このような性質の事も異方性と呼び、液晶ディスプレイは、まさにこの性質を利用しているのです。 液晶に電気を流すと、その向きが変わります。向きが変わると、そこに当たる光の屈折率も変わります。 これにより、液晶を通過する(透過する)光の状態を変化させる事が出来るのです。 また、光を屈折させるだけでなく、ある程度遮断させる事も可能です(完全に遮断する事は出来ない)。 こうする事で、液晶を透過する光の量を、増減させるのです(この仕組みを、光スイッチと呼びます)。 この時の光は、液晶パネルの場合、バックライトやフロントライト、または外光などです。 液晶テレビのディスプレイは、2枚のガラス基板と、それにはさまれた液晶によって構成されています。 この厚さはおよそ0.004mm。髪の毛の直径が0.02〜0.03mmなので、髪の毛のおよそ5分の1の厚さになります。 これだけだとカラーにはなりませんが、赤、青、緑のカラーフィルターを使う事で、カラーにする事ができます。 赤、青、緑は「光の三原色」と呼ばれ、この3色で、黒以外の全ての色を表現する事が出来ます(光を完全に遮断すれば、黒になります)。 液晶だけでは完全に光を遮断する事は出来ないので、「偏光フィルタ」と言うフィルタを液晶の前後に配置し、それによって光を遮っています。 偏光フィルタとは、絵が飛び出して見える立体映画(3D映画)などを見る時につける、黒いメガネがありますが、あの黒いセロハンが、偏光フィルタです。 偏光フィルタを2枚重ねて片方を回転させると、ある点で、向こう側が見えなくなります。この時、光が遮断されているのです。 液晶ディスプレイの利点は、ガラス基板と液晶だけあれば作れるので、超薄型化、超軽量化が可能で、 また、画素(画面を構成する最小単位)が液晶分子とカラーフィルターなので、高精細化も可能となっています。 他の利点は、液晶の持つ流動性により、消費電力が少なくて済む事です。 何故かと言うと、「液晶に電気を流し、向きを変える」と書きましたが、液晶には流動性があるため、わずかな電力で、簡単に向きが変わるからです。 ただ、利点が多い液晶ですが、技術的な課題(欠点)も多く、まだまだ多くの技術開発が必要とされています。 ちなみに、携帯電話やパソコンの液晶には、石油から合成された人工の液晶が使用されていますが、 液晶は自然界にも存在し、イカスミや石鹸水は、自然に存在する液晶のひとつ。 そもそも、液晶の最初の発見は、コレステロールの中。オーストリアの植物学者、ライニッツァが、1888年に発見しました。 液晶は固体と液体の性質を持った不思議な物質なので、これからあらゆる場所に応用されていく事が期待されています。 |
テレビの仕組み3〜プラズマテレビ〜 テレビシリーズの最終回は、プラズマテレビです。 一見しただけだと、プラズマテレビと液晶テレビに違いはありませんが、何が違うのでしょうか? 簡単に説明すると、プラズマテレビは、ディスプレイに小さな蛍光灯がたくさん並べてあるテレビなのです。 そもそも、「プラズマ」とは何でしょうか。 例えば、ここに氷があるとします。 氷を熱すると溶けて水となり、さらに熱すると蒸発して水蒸気となります。 これをさらに熱し続けていくと、水蒸気(の水分子)は、酸素原子と水素原子にわかれてしまいます(水は、酸素と水素の化合物)。 そして、もっともっと熱すると、電子と原子核にわかれてしまうのです(全ての原子は、電子と電子核から出来ている)。 全ての物体は原子から出来ているので、水以外のあらゆる物質も、熱し続ければ最終的に電子と原子核まで分解されます。 ところで、電子はマイナスの電気を、原子核はプラスの電気を帯びています。 この電子のマイナスの数と、原子核のプラスの数が等しいと、全体としては、電気的に中性になります。 プラズマとは、このように、物体が電子と原子核に分かれつつも、電気的に中性である状態の事を言うのです。 と言っても、プラズマテレビに使われている「プラズマ」は、いわゆる「放電」です。 プラズマテレビ内部には、電極があるのですが、そこから放電をしているわけです。 さて、この粒子(電子や原子核)が、他の原子や分子(どちらも、電気的に中性)にぶつかると、どうなるでしょうか。 止まっているボールに、ものすごいスピードで別のボールをぶつけると、止まっていたボールは動き出します。 物体が動いている時、その物体はエネルギーを持っています。 これと同じく、粒子がぶつかった原子や分子は、高いエネルギーを得る事になります(これを、「励起(れいき)した」と言います)。 しかし、原子や分子は、励起状態を嫌います。 自分の許容範囲外である高いエネルギーを持ち続けるより、許容範囲内の低いエネルギーを持ち続けた方が、楽だからからです。 そのため、励起した原子や分子は、なんとかして、自分の持っている余分なエネルギーを外へ放出しようとします。 このとき、原子や分子からは、光の一種である紫外線が放出されるのです(紫外線を出さない原子や分子もある)。 光にも、「光エネルギー」と言うエネルギーがあるので、紫外線を出す事で、エネルギーを放出できるのです。 この時の紫外線は、当然人間の目には見えません。 しかし、その紫外線が蛍光物質に当たると、蛍光物質はその紫外線のエネルギーを使い、人間の目に見える光(可視光)を出すのです。 これが、プラズマテレビの仕組み。どこにでもある蛍光灯と、全く同じ原理です。 構造としては、ガラス管の中にガスが詰めてあり、両端にある電極から放電している…と言うだけです。 蛍光灯の光は白ですが、プラズマテレビは、赤・青・緑をそれぞれ出す3種類の蛍光灯が、たくさん並べてあるのです。 この3色である理由は、この3つの色で、黒以外の全ての色を表現できるからです(光らなければ、黒)。 プラズマテレビのガスは、表面に電極のあるガラス基板2枚の間に挟まれているのですが、その厚さはたった約0.1mmなのです。 プラズマテレビ(プラズマディスプレイ)の利点は、視野角が広い、色純度が良い、などが挙げられます。 一方、欠点は、明るい部屋でのコントラスト(明暗の差)が低い、消費電力が高い、ディスプレイが発熱する、などです。 また、液晶と比べて大型化が簡単ですが、反面、小型化・高精細化が困難となっています。 ただ、近年は技術が進み、特に消費電力は、状況によっては、液晶より消費電力が少なくなっています。 これは、プラズマは、画面が暗いと消費電力が小さいなど、消費電力が変化するのに対し、液晶は常に一定の消費電力を保つからです。 プラズマと液晶は一見よく似ていますが、プラズマは発光型、液晶は非発光型。 そして、「大きく、見やすく」はプラズマ、「小さく、細かく」は液晶の担当なのです。 |
ガラスの正体! ガラスと言う物体は、日常生活でとてもよく使います。ディスプレイ、窓、コップ、ビン、電球や蛍光灯などなど…。 では、そのガラスの主成分は、いったいなんでしょう? その答えは、「二酸化ケイ素」と呼ばれる、酸素とケイ素の化合物。 「ケイ素」と言うのは、原子の名前で、ガラス以外には太陽電池や半導体などに使われています。 また、二酸化ケイ素とは、いわゆる「水晶」の事です(水晶には、わずかに不純物が含まれていますが…)。 普段使う、板ガラスやガラス瓶などには、「ソーダガラス」と呼ばれるガラスが、 実験器具などには「カリガラス」、装飾品、レンズなどには「鉛ガラス」、電球などには「ホウケイ酸ガラス」と言う物が使われています。 これらの主成分は、共通して「二酸化ケイ素」ですが、そこに何を混ぜるかによって、微妙な特徴の違いを生み出しています。 ところで、この世には、固体、液体、気体の3種類の物体があります。 氷は固体ですが、溶かすと水と言う液体になり、さらに熱すると水蒸気と言う気体になります。 では、ガラスは固体、液体、気体のどれでしょうか? 見た目からして、ガラスは固体と言う気がしますが…実は、ガラスは液体なのです。 そもそも固体と液体、気体の違いは、その分子(物体を構成する最小単位が原子。その原子が2つ以上くっ付いた物が分子)のつながり方の違い。 氷は水分子がガッチリ組み合い、水は水分子が緩やかに組み合い、水蒸気は水分子が好き勝手に飛び回っています。 ガラスの分子(二酸化ケイ素)は、この氷よりも、むしろ水のつながり方に近いのです。 「硬い液体」これがガラスの正体だったのです。 ガラスは500℃以上に熱するとドロドロになりますが、アレは水あめが溶けてドロドロになるのと同じ理屈。 また、液体ですので、熱を加えなくても、実は何百年もかけてゆっくりと溶けているのです。 そして、この「硬い液体」だからこそなし得る、とても便利な特徴が、ガラスには秘められているのです。 一番の特徴は、「光を通す」事。 分子がガッチリと組み合い「結晶」を作っている固体は、結晶が邪魔して光を通しません。 しかし、ガラスは液体。つまり、結晶がないので、光をよく通すのです。 また、結晶があると、何かを混ぜて色をつけるのが難しいですが、液体であるガラスは、それが容易にできるのです。 ガラスには、「液体である」と言う事と関係が無い部分でも、便利な特徴はまだまだあります。 傷が付きにくい事、熱に強い事(耐熱ガラスだけですが…)、薬品に強く、錆びず、溶けず、食べ物を入れても安心。 水も風も電気も通さないので家の材料にピッタシで、ちょっと割れても、溶かせば簡単にリサイクル出来る事…と、たくさんあります。 化学実験の実験器具にガラスが多用されているのも、ガラスと反応する物質が、ほとんどないからです(もちろん、反応する物もあります)。 しかし、そんなガラスの最大の欠点が、「割れやすい」と言う事。 何故割れやすいのでしょうか? それは、ガラスが「硬い液体」であると言う事に由来します。 実は、ガラスには、目に見えない細かい傷がたくさんついています。 それが、ビニール袋の切り込み(上下にあるギザギザ)のような役割をして、力がかかるとそこから一気にやぶけてしまうのです。 固体であれば、結晶がこの「破れ」を食い止めてくれるのですが、ガラスには結晶がありません。 そのため、一度割れ始めたが最後、ザックリとイッてしまうのです。 しかし、そんな「きっかけ」が無ければ、ガラスはかなり強い代物。 ガラスそのものは、1mm四方で、1トンの力に耐えます。これは、割り箸の先の大きさのガラスに大型トラックを載せられる事を意味します。 また、ガラスを細い糸にすると、引っ張りに対しては、ガラス本来の強さが発揮。 これを色々な向きに組み合わせ、固めると、車のボディやボート、ヘルメットに使用されているグラスファイバー製品ができあがるのです。 普段接するのであまり気にしませんが、実はガラスには、色々な秘密が隠されているのです。 |
宇宙の電波を、携帯電話でキャッチ! 宇宙が誕生したのは、今からおよそ137億年前と言われています。 宇宙が誕生した時、宇宙空間には、たくさんの電波が放たれました。 この電波は、「宇宙背景放射」と呼ばれ、137億年経った今でも、宇宙空間を飛び回り、そして地球に降り注いでいます。 そのおかげで、宇宙が誕生した頃の出来事などがわかるのですが…。 実はこの電波、普通の携帯電話でも簡単に「受信」する事が可能なのです。 と言っても、「受信する事が可能」ではなく、「受信する事がある」の方が正しいかもしれませんが。 携帯電話で話していると、極まれに、雑音が混ざるのを聞いた事があるかと思います。 その雑音。そのうちの一部は、実はこの「宇宙背景放射」なのです。 携帯電話が「受信」する雑音は、簡単に言ってしまえば「電波障害の雑音」。 宇宙背景放射によって電波障害が起こり、雑音に聞こえてしまうのです。 また、携帯電話でなくても、普通のテレビ(VHF。超短波放送)をつけ、チャンネルが映らないところにあわせてください。 そこには、「砂嵐」などと呼ばれるノイズが映っていると思います。 そのうちの1%程度も、やはりまた、宇宙背景放射なのです(どれ? と聞かれても困りますが…)。 夜。美しい宇宙を見上げながら、携帯電話の電源を入れ、137億年前の電波にそっと耳を澄ませる…。 ただ、「いつ受信するか」&「どれが宇宙背景放射なのか」は一切わかりません。 全ては、あなたと宇宙の結びつきの強さ…。それだけにかかっています。 参考文献;「夜の物理学」(竹内 薫・著) |
オゾンホールは、何故南極にしか現れないのか? 1930年ごろ、アメリカで「フロン」と言う物質が発明されました。 当時は、人体への害もなく、理想的な物質だとして、冷蔵庫やクーラー、ヘアスプレーなど、あらゆるところに使われました。 ところが、1986年に、フロンが地球を覆う「オゾン」を破壊している事が判明したのです。 フロンがオゾンを破壊する…と聞いて、真っ先に思いつくのは、「オゾンホール」と言う言葉でしょう。 写真などでよく見るように、南極上空にはオゾンが極端に少ない部分があり、ここが「オゾンホール」と呼ばれています。 しかし、何故オゾンホールは、南極上空にしか発現しないのでしょうか。 オゾンを破壊する原因はフロンなのですから、フロンを使う人間が多い場所に現れそうなものですが…? 実はこれには、「対流」と言う自然現象が関わってきます。 空気は、暖められると軽くなり、上昇します。すると、そこに冷たい空気が流れ込んできます。 これが対流という現象。 この現象は、小さな規模でもたくさん起こっていますが、実は、地球規模でも起こっているのです。 赤道付近で暖められた空気は、軽くなって上昇します。 上昇した空気は、北や南に流れ、北極・南極上空にやってきます。 すると今度は冷やされて下降。そして下降した空気は、今度は揃って赤道を目指すのです。 実は、この対流現象によって、世界中で放出されたフロンが、南極・北極の両極に送られるのです。 また、南極は冬になると、「極域成層圏雲(きょくいきせいそうけんうん)」と言う雲ができます。 フロンはこの雲の中に溜め込まれてしまい、次々とオゾンを破壊してしまいます。 さらに、南極には、「極渦」と呼ばれる特殊な風が吹いています。 この風は、南極大陸を取り囲むようにして、グルグルと渦のように回転し続けている風です。 先ほどの「極域成層圏雲」は、この極渦の内側にあり、また、周りの空気は極渦の内側にほとんど入れません。 そのため、外からのオゾンの供給が絶たれ、極渦内のオゾンがどんどん減少。 結果、「オゾンホール」が生まれてしまうのです。 なお、北極でオゾンホールが発生しない理由は、極渦の流れが乱されやすいためです(一応、北極にもオゾンホールは現れています)。 要するに、「対流によってフロンが南極に集められるため、南極でオゾンホールができる」と言うわけです。 ちなみに、オゾンホールは南極の春から夏(日本の8〜10月)ごろに、出現します。 その理由は、フロンがオゾンを破壊する方法にあります。 実は、フロンはオゾンを直接破壊するわけではないのです。 フロンは、炭素原子1個、フッ素原子1個、塩素原子3個がくっ付いた物質ですが、紫外線を浴びると、この塩素原子を放出します。 すると塩素がオゾンと化学反応を起こし、酸素と一酸化塩素になる(オゾンを破壊する)のです。 ところで、南極は、冬になると太陽が全く昇らなくなります。 フロンが塩素を放出するためには、紫外線が必要ですので、この時期は塩素を放出する事ができません。 そのため、冬の間はオゾンホールは現れず、太陽が当たる春から夏の間だけ、オゾンホールが活発に現れるのです。 |
ジェットコースターの動力! 絶叫マシンの定番と言えば、ジェットコースター。 ものすごい速さで、乗り物がレールの上を疾走する乗り物です。 速いものは時速100kmを軽く超し、時速200km近くなるものもあります。 こんなに速いジェットコースターには、どんな動力がついているのでしょうか? 実は、ジェットコースターには、動力が一切ついていないのです。 ボールを坂の上に置くと、何もしなくても転がって行きます。 ジェットコースターが動く理由は、ずばり、これなのです。 普通のジェットコースターは、スタートすると、まず坂を上ります。 動力がないのに、どうやって上っているのかと言うと、単純に、2本のレールの間にあるベルトコンベアに、運んでもらっているだけなのです。 コースターによって、歯車だったり、何か違う物だったりしますが、とにかく動力は、レールにあるのです。 そして、坂の最高点に達すると、動力が無くなり、後はただただ落ちるのみ。 また、コースの途中にある坂では、ベルトコンベアすら使いません。 コースターは、ものすごい勢いで落ちてくるので、その勢いで、坂を上る事が出来てしまうのです。 上下にうねりのある道でボールを転がした時、高いところから転がすと、道の途中の小さな山は、簡単に上ってしまいます。 これと同じ事です。 理論上、ジェットコースターがコース内の最高地点に一度上ると、あとは一切の動力を使わずに、コースを進む事ができるのです。 ただ、実際には、レールとコースターの摩擦や、空気抵抗が加わるので、話は単純になりませんが、摩擦も抵抗も、計算で求める事ができます。 ですので、ジェットコースターを作るときは、この摩擦、空気抵抗を計算し、ベルトコンベアを使う部分が最も少なくなるように設計しているのです。 |
アイススケートは、何故滑るのか? 冬のスポーツの1つに、「スケート」があります。 氷の上を、金属板のついた靴で滑るこのスポーツですが、何故滑るのか、考えた事はありますか? 「氷があるからに決まってるじゃん」と言う気がしますが、実は氷だけだと、あのようには滑らないのです。 では、何故滑るのでしょう? その理由は…と言いたいところですが、実はこれ、現在(2005年)の科学では、未だに解明できていないナゾなのです。 そもそも、氷だけだと何故滑らないのでしょうか? 氷の表面と言うのは、小さなデコボコが無数にあり、摩擦がとても大きくなっています。 「氷は滑る」と言う印象があるのは、氷の表面が常に濡れているため。 小さなデコボコがあるところに水がつくと、水が表面のデコボコを覆います。 すると、見た目上、デコボコがなくなるので、摩擦が小さくなり、滑りやすくなるのです。 スケートリンクの氷は、見ての通り、表面はほとんど濡れていません。 そのため、本来は滑らないはずなのですが、スケートの歯が当たると、氷がその部分だけ溶けるのです。 氷が溶ければ水になります。そのため、歯と氷の間に水が入り込み、先ほどの理由で、滑りやすくなるのです。 そして、スケートの歯が移動すると、一度溶けた氷も、またすぐに凍ってしまいます。 現代科学で解明されていないのは、この「氷が溶ける理由」です。 「温度が高くなったわけでもないのに、何故歯が当たっただけで、氷が溶けてしまうのか?」 この理由が、未だに解明できていないのです。 現在有力とされているのは、「圧力融解説(圧力を加えると融ける)」と「摩擦融解説(摩擦熱で融けている)」の2つ。 しかし、この両者ともに解決されていない疑問点があり、真実がどちらなのか、あるいは全く別な物なのかは、まだまだわからない状況なのです。 ちなみに、同様の理由で、スキーが滑る理由も、実はよくわかっていないのです。 |
長さ30万キロメートルの棒を動かすと、不思議な事が起こる この世で最も速いのは、光です。光の速さは、およそ秒速30万キロメートル。1秒で地球を7周半も回る計算になります。 そして、「どんな物でも、光の速さを超える事はできない」と言う法則もあります。 特殊な条件が揃うと別ですが、真空中では、どんな物体も、光を追い抜く事はできません。 また、特殊な条件が揃っても、「秒速30万キロメートル」の壁を破る事はできないのです。 では、例えばここに、長さ30万キロメートルの棒があったとします。 この棒の一端をAさんが、もう一方の端をBさんが持っているとします。 いま、Aさんが棒を動かすと同時に、Bさんに光を送りました。 では、Bさんが棒の動きを感じるのと、光を感じるのは、どちらが先でしょうか? 光は、秒速30万キロメートルで進みます。つまり、30万キロメートル進むためには、1秒間、必要なわけです。 一方、棒は、片方を動かせば、同時にもう片方も動きます。 ですので当然、Bさんが先に感じるのは、棒の方……と思いきや、実は光なのです。 そもそも、棒の一端を動かすと、何故もう一方の端も、動くのでしょうか? 例えば、ここに10円玉が10枚、1列に並べて置いてあるとします。 そして、その10円玉の列の端っこに、別の10円玉をぶつけました。 すると、ぶつけられた10円玉は、反対側に動き、すぐ隣の10円玉にぶつかります。 ぶつけられた隣の10円玉は、さらにその隣の10円玉に、その10円玉はまたさらにその隣の10円玉にぶつかります。 この動作が連鎖的に行われ、最終的に、反対側の1個の10円玉だけが、遠くに飛んでいきます。 実は、棒が動く理由も、これなのです。 この世の全ての物質は原子からできています。この原子は、非常に小さなツブツブなのです。 いまの例えで言う10円玉が、1個の原子にあたります。 棒の一端を前に押すと、押された原子は、1つ隣の原子を押します。 押された隣の原子は、またさらに隣の原子を押し、その原子は、そのまた隣の原子を押します。 これが連鎖的に繰り返され、反対側が動くのです。 これはもちろん、引っ張っても、横に動かしても同じ事です。 全ての物体は、光より速く動く事はできません。 この原子1個1個の動きも同じで、光より速く、隣の原子を押す事はできないのです。 そのため、仮に30万キロメートルの棒を作り、その一端を動かしても、 もう一方の端が動くのは、光が届いた後…1秒以上経った後なのです。 ですので、実を言うと、どんなに短い棒も、一端を動かしてからもう一端が動くまでには、微妙な間があるのです。 ただ、身の回りに存在する棒は、あまりにも短すぎるため、人間の目では確認できないだけ、なのです。 もちろん、この現象は棒に限らず、この世の全ての物体に当てはまります。 全ての物体は、光よりもゆっくりと動いているのです。 |
水をかけると燃え始める!? 火は、水で消える…。 これは常識ですが、世の中には例外がつき物。 この世の物質の中には、「水をかける事で燃え始める」と言う物質があるのです。 その物質の名前は、「ナトリウム」や「カリウム」などです。 これらの物質は、「アルカリ金属元素」と呼ばれ、元素の周期表(元素の一覧表みたいな物)の、一番左に書かれている物です。 その中でも激しく燃えるのが、ナトリウムやカリウムなのです。 水は、水素と酸素からできています。そして、「燃焼」とは、物質が酸素と激しく結びつく(化合する)事です。 ではナトリウムやカリウムは、水の中の酸素と反応するのかと言うと、そういうわけではありません。 「水は、水素と酸素からできている」と言いましたが、化学的には、「水酸化物イオンと水素イオンからできている」と言います。 水酸化物イオンとは、水素の原子と酸素の原子が1つずつくっ付いたもの。 水素イオンとは、水素の原子1つから構成されたものです。 ナトリウムやカリウムは、このうちの水酸化物イオンと反応するのです。 水から水酸化物イオンを取ると、水素イオンが残ります。 すると、水素イオンは、2つ1組になり、水素になります。水素は、非常に燃えやすい物質です。 物が燃えるために必要なものは、「燃える物」「酸素」そして「熱」です。 酸素は空気中にありますし、燃えるものは水素です。では、熱は? 実は、ナトリウムやカリウムが水酸化物イオンと反応すると、ものすごい熱が出ます。 この熱を使って、水素は酸素と化合…つまり、燃焼を始めるのです。 中学で習う、「化学反応式」を使って書くと、ナトリウム(Na)の場合、 2Na + 2H2O → 2NaOH + H2 と、なります(カリウムの場合は、「Na」を「K」に変えればいいだけです)。 アルカリ金属元素にはこの他、リチウム(Li)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)があります(カッコの中は、元素記号。この記号で、物質を表す)。 これらも、水と反応して水素を発生させるのですが、熱をあまり出さないので、燃焼はしません。 しかし、逆に言えば、熱さえあえば、燃え出します。 ですので、アルカリ金属元素が燃えている時、水をかけると、アルカリ金属元素が水と反応して、水素が発生。 最初に燃えていた、と言うことは、熱がある、と言う事ですので、この水素も燃え始めてしまいます。 非常に危険ですので、アルカリ金属元素が燃えていたら、水をかけてはいけません。 消す場合には、砂をかけるなどして、空気を遮断するのが、良い方法です。 なお、食塩は「塩化ナトリウム」と言って、ナトリウムが含まれていますが、水に入れても燃えることはありません。 これは、食塩の中のナトリウムが、「ナトリウムイオン」と言う物になっているからです。 ナトリウムは、「ナトリウム」の状態だと不安定で、水と反応して安定した状態(NaOH)になろうとしますが、 「ナトリウムイオン」の状態だと、安定しているため、水と反応しようとしないのです。 ですので、安心して、食塩を水に溶かしてください。 |
宇宙の中心は、ここだ! 突然ですが、宇宙の中心は、いったいどこでしょう? 宇宙はものすごく大きいので、人類はまだ宇宙の端まで行ったことはありません。 また、宇宙がどのような形をしているのかも、まだよくわかっていません。 しかし、「宇宙の中心はどこか?」と言う疑問には、既に答えが出ているのです。 宇宙は、ものすごい速さで膨張しています。 この事は、アメリカの天文学者ハップルが、銀河の動きを観測していて発見しました。 宇宙に存在する全ての銀河は、どんどん地球から遠ざかっているのですが、遠くにある銀河ほど、速いスピードで遠ざかっている事がわかったのです。 これは何を意味するのでしょう? 例えばここに、ものすごく長いゴムひもがあるとします。そして、そのゴムひもの上に、適当に印をつけていきます。 このゴムひもが「宇宙」、印が「銀河」です。 ゴムひもを思いっきり伸ばすと印の間隔が広がっていきます。 これは、宇宙が膨張すると、銀河と銀河の距離が広がっていく事を意味します。 この時、ある1つ印の立場に立つと、自分に近い印はゆっくりと、遠い印は速く、遠ざかっていくように見えるのです。 地球から観測すると、遠くにある銀河ほど速く遠ざかっているのですから、宇宙もこのゴムひものように伸びている(膨張している)と考えられるのです。 さて、ここで、さっきのとは別の印の立場に立ってみましょう。 先ほどの印から見ると、自分から見て近い印ほどゆっくりと、遠い印ほど速く、遠ざかっていくように見えました。 しかし、別な印から見ても、やはり同じように、自分から見て近い印ほどゆっくりと、遠い印ほど速く、遠ざかっていくように見えるのです。 このように、宇宙のどこから見ても、宇宙は同じように広がっているため、 「宇宙に中心と言えるような場所は存在しない」と言えるのです。 つまり、冒頭の「宇宙の中心はどこか?」と言う疑問の答えは、「宇宙に中心は存在しない」となるわけです。 …が。これには続きがあります。 「宇宙のどこから見ても、宇宙は同じように広がっている」と言うことは、「どこでも中心とみなせる」とも言えます。 つまり、宇宙のどの銀河も、「宇宙の中心だ」と考える事ができるのです。 先ほどのゴムひもの例えで言うと、 ある1つの印の立場に立つと、自分は一切動かず、自分の周りの印だけが動いているように見えます。 つまり「周りの印が、自分からどんどん離れて行っている」ように見えるのです。 しかし、これはどの印の立場に立っても同じ事です。 どの印の立場になっても、「自分を中心にして、全ての銀河が自分から離れていく」ように見えます。 ですので、「宇宙のどの銀河の立場になっても、自分を中心に宇宙が広がっていく」ように見えるわけです。 こう考えると、「宇宙の中心が無限に存在する」と考えても不自然ではありません。 「無限に存在する」と言うことは、何も中心を「銀河」と考える必要はありません。 例えばあなたの頭が宇宙の中心だとしても良いし、あなたの手のひらが宇宙の中心だとしても構いません。 とにかく、自分の好きなところを「宇宙の中心である」と考える事ができるのです。 と言うわけで、「宇宙の中心はどこ?」と言う疑問の答えは、こうなります。 「『宇宙に中心は存在しない』または、『自分の好きなところが宇宙の中心である』」です。 |
手をこすると温かくなるのは何故? 手をこすると、手が温かくなります。 これは「手をこする事によって摩擦熱が発生する」とよく説明されますが、では何故摩擦熱が発生するのでしょうか? この疑問を解決するためには、「熱とは何か」を知る必要があります。 一言で言うと、熱とは「分子(原子)の運動」の事です。 この世の全ての物質は原子から出来ています。そして、原子がいくつもくっつくと、分子になります。 この分子が激しく運動していると(=激しく動いていると)温度が高くなり、 逆に動きがゆっくりだと、温度が低くなるのです。 物体の温度を上げるためには、この分子をムリヤリ動かしてやればいいのです。 手をこすると、手の表面にある分子はこすれあい、微妙に動きます。 これをずっと続けると、次第に分子の運動が大きくなります。 分子の運動が大きくなると言うことは、物体の温度が上がると言うことなので、手をこすると、手が温かくなるのです。 ちなみに、温かい物と冷たい物を並べると、冷たい物の温度が上がっていきますが、 これは、温かい物の中の分子が、冷たい物の分子にぶつかるため。 すると、止まっているボールに動いているボールを当てると、止まっていたボールが動き出すように、 冷たい物の分子の運動が大きくなるので、冷たい物の温度が上がるのです。 ただし、動いていたボールの動きが鈍くなるように、温かい物の分子の動きも鈍くなるので、温かい物の温度は下がってしまいます。 なお、カイロを振ると温かくなるのは、全く別の理由によるもの。 詳しくは、「カイロがお店に並んでいる間に冷めないのは何故?」をご覧ください。 |
電子レンジに金属を入れてはいけない理由 「電子レンジに金属を入れてはいけない」と言うのは、常識です。 では、何故いけないのでしょうか? それにはまず、電子レンジの仕組みを知る必要があります。 電子レンジのスイッチを押すと、内部を「マイクロ波」と呼ばれる電磁波が飛び回ります。 このマイクロ波が、食品中の水分(水の分子)を揺さぶり、食品を温めるのです(詳しい説明は、「電子レンジはなんで物を温められる?」を参照してください)。 さて、ここからが本題。 電子レンジに金属を入れてはいけない理由は、金属と電磁波に、次の2つの性質があるためです。 1つ目が「金属に電磁波が当たると、電磁波が反射する」と言う性質。 2つ目が「金属に電磁波が当たると、金属に電気が流れる」と言う性質です。 では、何故この2つの性質があると、電子レンジに金属を入れられないのでしょうか? まず1つ目。 電子レンジ内を飛ぶマイクロ波は、「マグネトロン」と言う装置から発射されます。 通常ならば、マイクロ波は電子レンジ内の食品にほとんど吸収されます。 しかし、内部に金属があると、そこであらぬ方向にマイクロ波が跳ね返り、場合によってはマグネトロンに戻っていってしまいます。 すると、電磁波を浴びたマグネトロンが劣化し、電子レンジの故障の原因になるので、金属を入れてはいけないのです。 もちろん、食品を入れていても、たまたま「マグネトロンに戻っていくマイクロ波」が出てくる事もありますが、 そうなっても、「マグネトロンにあまり影響が出ない」ような構造になっているので、大丈夫なのだそうです。 こういう理由ですので、食品を入れずに電子レンジを動かすのも、危険です。 2つ目の「金属に電気が流れる」と言う性質。 金属に電気が流れ、その電圧が上がっていくと、電気が金属から飛び出してしまいます。 つまり、「放電」するわけです。 放電した電気が電子レンジの壁に当たれば、そこから電子レンジが故障する事もあります。 それ以前に、放電が起こる事自体、非常に危険なので、電子レンジに金属を入れてはいけないのです。 丸めたアルミホイルなどは、もってのほかです。 くしゃくしゃにしたアルミホイルには、突起部分がたくさんあります。 電気は、このような突起部分に集まりやすいと言う性質があるため、突起部分に電気が集まり、電圧が上昇。 そしてそこから放電が次々と起こってしまうのです。 まとめると、「電子レンジに金属を入れると、 1;電磁波が跳ね返され、電磁波を発生させる装置を破壊してしまう 2;金属内に電気が流れ、放電するので非常に危険 なので、電子レンジに金属を入れてはいけない」と言う事です。 では、ここからはちょっと踏み込んだ話を…。 先ほど「金属に電磁波を当てると電気が流れる」と述べましたが、何故電気が流れるのでしょうか? そもそも、「電気」とはなんでしょうか。 この世の全ての物質は原子から出来ており、その原子はさらに原子核と電子と言うものから出来ています。 この電子が、物質内を移動すると、「電気が流れた」と言うのです。つまり電気とは、「電子の流れ」の事なのです。 金属の内部には、「自由電子」と言って、非常に身軽に動ける電子がたくさん含まれています。 また、電磁波はエネルギーを持っています。 電磁波が金属に当たると、自由電子が電磁波からエネルギーを受け取ります。 すると、受け取ったエネルギーを使い、自由電子が金属内部を四方八方に移動します。 つまり「電気が流れる」のです。 例えて言うならば、電磁波を小石、金属を池だと思ってください。 小石を池に投げると、池の表面に波が出来ます。この波が電気なのです。 電子レンジについては、前述の「電子レンジはなんで物を温められる?」や、「電子レンジの台は何故回転する?」もご参照ください。 |
果たして、銀河系に宇宙人は存在するのか? いまなお、世界中の天文学者が宇宙人を探していますが、そもそも、銀河系に宇宙人は存在するのでしょうか? (なお、「銀河系」というのは、わたし達が住む銀河の事で、他の銀河は含みません) 実は、この問いに対する答えは、1961年に既に出されています。 アメリカの天文学者・天体物理学者のフランク・ドレイクが発表した「ドレイクの方程式」と呼ばれる式が、それです。 その式に必要な値を全て代入すれば、「銀河系に存在する、宇宙人が住む星の数(地球を除く)」が得られます。 先に断っておきますが、ドレイクの方程式で導かれるのは、「地球人とコンタクト(接触)が可能な知的生命体がいる星の数」を表すもので、「地球外生命体がいる星の数」を表すものではありません。 で、まずドレイクの方程式を記号で表すと、「宇宙人がいる星の数N」は、 N = R* × fp × ne × fl × fi × fc × L です。 ここで、7つの記号はそれぞれ、以下を表します。( )内は単位です。 R*;我々の銀河系で1年間に恒星が形成される速さ(個/年) fp;惑星系を有する恒星の割合 ne;1つの恒星系で生命の存在が可能となる範囲にある惑星の平均数 fl;上記の惑星で生命が実際に発生する割合 fi;発生した生命が知的生命体にまで進化する割合 fc:その知的生命体が星間通信を行う割合 L ;星間通信を行うような文明の存続期間(年) これらの値を全てかければ、求めたいNがわかるわけです。 何故このような式が出るのでしょう? この式は「高度な文明を持つ星の数」を知りたいわけです。 そして、「高度な文明を持つ」ためには、次のプロセスを踏む必要があります。 「銀河系で恒星が生まれ、それが惑星を持ち、その惑星が『太陽と地球』のように適切な配置に並び、そこで実際に生命が誕生し、その生命が知的生命体に進化し、その知的生命体が星間通信を行い、その文明が続く」 ドレイクの方程式は、これらの値を単純にかけたものなのです。 ドレイクがこの式を発表した時、彼自身は、R*に10、fpに0.5、neに2、flに1、fiとfcに0.01、Lに10を入れています。 これを単純に計算すると、答えはたったの0.01個。つまり、「ゼロ」と出たわけです。 ただし、ドレイクはこの値にはそれぞれ「誤差がある」と考え、その誤差を考慮した上で計算。 するとその結果は、0個〜50億個でした。 ちなみに、銀河系に存在する「恒星」の数は約2000億個。 惑星の数は、我々の太陽系が「標準」だと考えれば、その10倍の2兆個前後ある事になります。 しかし、言うまでもありませんが、ドレイクが代入した値は、全て「推定」であり、「確定」したものではありません。 多くの人がこの方程式に様々な値を代入して、様々な結果を出しています。 そして、この方程式に「妥当だ」と思われる値を代入すると、ほとんどの場合、Nが1より大きくなる事がわかりました。 つまり、「地球以外にも知的生命体がいる星が、最低1個ある…かもしれない」と言えるわけです。 ちなみに、ドレイクの方程式によって、計算上は宇宙人が「いる」事になっていますが、 これに関してエンリコ・フェルミの提唱した「フェルミのパラドックス」と言う有名なパラドックスがあります。 フェルミのパラドックスとは、「もし恒星間航行を可能とする宇宙人がいるなら、何故地球にやって来ないのか?」と言うもの。 このパラドックスへの解答は色々挙げられていますが、大きく次の4つ。 ・宇宙人は存在し、既に地球にやってきているが、表立っては活動していない(または、やってきていたが確実な証拠が見つかっていない)。 ・宇宙人は存在するが、なんらかの制限もしくはある意図のためにまだ地球にやってきていない。 ・宇宙人は存在するが、恒星間空間に進出するための進化・技術発展における難関を突破できない。 ・宇宙人は存在しない。 果たして、銀河系に宇宙人は存在するのか、しないのか? 残念ながら、この問いに関する完璧な解答は、2006年現在、全く出ていません。 |
白い水着が透ける理由&透けない理由 海やプールで水着を着ますが、その時に白い水着だと、透けてしまう事があります。 色がついた水着では透けないのに、何故白い水着は透けるのでしょうか? これは、「白」と言う色が、光をたくさん透過させるためです。 そのため、光が水着を貫通し、透けて見えてしまうのですが、何故白は光をたくさん透過させるのでしょうか? そもそも「色」とはなんでしょう? 色とは、物体に光が当たった時、物体が「吸収しなかった光」によって生み出される物です。 そして「白」とは、「全ての光を吸収しない色」の事です。 「吸収しない」と言う事は、「全ての光を反射させている」と同時に、「全ての光を透過させている」事でもあります。 だから、白と言う色は、光をたくさん透過させてしまうのです。 実を言うと、白い色材は、ガラスのように本来透明なのです。 ですが、ガラスを粉々に砕くと白く見えるように、色材を小さくすると白っぽく見えるのです。 ガラスが粉々になると、表面に小さな凹凸が生まれ、光がそこで反射されやすくなります。そのため白く見えるのです。 とはいえ、本来透明な物なのですから、透けて見えるのは当然です。 さらにこれが水に濡れると、表面の凹凸を水が覆い、見た目上球体っぽくなり、光が反射されにくくなります。 すると、本来水着の表面で反射していた光が水着を貫通し、より一層透けやすくなるのです。 その上水着には伸縮性があります。そうして伸びた部分は部分には隙間が出来やすく、さらに透けやすくなるのです。 以上をまとめると、白い水着が透ける理由は、 「白と言う色が、光を透過しやすいため」と「水着が伸びて隙間が出来るため」の2点になります。 ところで、「水に濡れても透けない白い水着」と言う物もあります。 これは要するに、上の2点を改良した水着です。 先ほど、ガラスが粉々になると、光が反射されやすくなり、白く見えると述べました。 実は、水着に使用されていた顔料は球形で、表面で光が反射しにくかったのですが、 これを星型に改良する事で、表面で光を反射しやすくしたのです。 また、水着に使用されているナイロン糸に、弾力性の高いポリウレタン製の繊維を編みこみ、さらにナイロン繊維で覆いました。 こうして水着を3重構造にする事で、少し伸びても隙間が生まれないようにし、伸びた部分でも透けにくくしたのです。 「星型の顔料」と「水着の3重構造」。これが、白い水着が透けない理由です。 |
石灰水に息を吹き込むと、白くなる理由 小学校の理科の実験で、「石灰水」と言う物が出てきたかと思います。 「息を吹き込むと白く濁る液」の事ですが、では何故白く濁るのか…というお話。 そもそも石灰水とはなんでしょうか。 石灰水とは、消石灰を溶かした水の事です。 消石灰と言うのは通称で、正式名称は「水酸化カルシウム」と言います。 学校の校庭にラインを引く白い粉は、この水酸化カルシウムです。 これを水に完全に溶かし切ると、石灰水になります (実際には、水酸化カルシウムは水に溶けにくいので、水酸化カルシウムを水に入れた後ろ過したり、上澄み液を使ったりする)。 では、ここに息を吹き込むと、中で何が起こるのでしょうか? 吐いた息の中には、二酸化炭素が含まれています。 水酸化カルシウムは、この二酸化炭素と化学反応を起こし、炭酸カルシウムと水になります。 「白濁」の正体は、この炭酸カルシウムです。 炭酸カルシウムは、水酸化カルシウムよりも水に溶けにくい物質です。 そのため、石灰水の中で炭酸カルシウムがたくさん出来ると、水に溶けずに粉となって漂うため、石灰水が白く濁る…と言うわけなのです。 ちなみに、白濁した石灰水に更に息を吹き込むと、炭酸カルシウムと水と二酸化炭素が反応して、炭酸水素カルシウムができます。 この炭酸水素カルシウムは水に溶けやすいため、濁った石灰水が元の透明に戻ります。 一度試しに息を吹き込み続けたのですが、2〜3分やっても透明にならず、そこで飽きて止めてしまいました。 根気強い方は試しにやってみても面白いかもしれません。 ちなみにこの反応。アコヤ貝の中で真珠が出来る時や、鍾乳洞の中で岩のツララが出来る時などと、同じ反応です。 なお、水酸化カルシウムは水に溶けると強アルカリ性を示すため、触ると皮膚が溶ける恐れがあります。 目に入れると失明する事もあるので、取り扱いには十分気をつけてください。 |
アポロが月に置いてきた物 1961年5月、当時のアメリカ大統領J.F.ケネディーの発言から始まった「アポロ計画」は有名です。 人類初の月面着陸を成し遂げたのはアポロ11号。1969年7月16日の出来事です。 アポロ計画の目的は「月へ行く」と言う事でしたが、その他にも学術的、政治的な目的もありました。 その一環としてアポロ11号が月に置いてきた物に、鏡があります。 アポロ11号が着陸した「静かの海」に、100枚の鏡を繋げて作った一辺約46cmの鏡が置かれました。 では、何のためにこんな物を置いてきたのでしょうか。 これは、地球と月の距離を数cmの精度で測るためです。 月の鏡に向かってレーザー光線を発射し、再び戻ってくるまでの時間を計測する事で、月までの正確な距離を割り出すことが出来ます。 これによって、新たにこんな事もわかりました。 月は毎年約3.8cmずつ地球から遠ざかっている、と言うのです。 早速計算してみると、地球が月を引っ張る重力より、月が地球から離れようとする遠心力の方がわずかに上回っている事がわかりました。 なおその計算によると、この重力と遠心力がつりあうのは約40億年後。地球と月の距離が50万キロメートルになった時です。 ちなみにアポロが月に置いてきた鏡は、普段よく見る平面な鏡ではなく、立方体の内側に貼り付けられたような形の鏡です。 文章で説明できないので具体例をあげると、 中が空洞になっているサイコロの、6、5、3の面を取り外したような物体の内側に、鏡を貼り付けたものです。 このように3枚の鏡をそれぞれ互いに垂直になるように内向きに置くと、その鏡のどれか1枚に当たった光は必ず元来た方に帰っていきます。 この原理を利用して、月までの距離を測りました。 |
地動説は間違っていた? 「天動説と地動説」の話は有名です。 その昔、人々は「地球は宇宙の中心で、太陽が地球の周りを回っている」と考えていました。これを「天動説」と言います。 対して、「地球が太陽の周りを回っている」と言うのが「地動説」。言うまでもなく、本当は地動説です。 地動説を最初に唱えた、とされているのはアリスタルコスと言う紀元前300年頃の天文学者。 地動説を唱えた有名どころは、ニコラス・コペルニクス、ヨハネス・ケプラー、ガリレオ・ガリレイの3人でしょう。 特にガリレイは地動説を唱えた事で「聖書に反する」と教会から弾圧された事で有名で、「それでも地球は回っている」と言うセリフも有名です。 コペルニクスやケプラーも、程度は違いますが批判や無視を受けた人々です(コペルニクスは死の直前に地動説を発表したので、彼自身は特に批判を受けていませんが)。 この天動説と地動説の話は、しばしば「正しい者が不当に批判を受ける」と言う事の喩えに使われますが…。 現代科学からすると、この3名の説は実は間違っているのです。 そもそも彼らが非難されたのは、宗教的な理由ももちろんありますが、科学的なちゃんとした理由もありました。 まずコペルニクスですが、彼が著した地動説のモデルの概略は、 「太陽を中心に、全ての惑星が完全な円運動を行っている」 というもの。 ところが現代の天文学によれば、惑星は完全な円運動は行っておらず、わずかにつぶれた楕円形をしています。 そのため、コペルニクスの計算と実際の観測結果は一致せず、観測と一致しない理論は間違っている、というわけでコペルニクスの地動説は受け入れられなかったのです。 それから数十年後。ケプラーが師匠ティコ・ブラーエの残した観測記録を元に惑星の軌道を正確に計算し、惑星が楕円軌道を描いている事を突き止めました。 そのおかげで、地動説と観測結果が一致しました。 さらにガリレオが、天動説では起こりえない金星の満ち欠けや、木星の衛星を発見し、地動説を支持・主張しました。 ところが、彼ら2人に解けない謎が登場したのです。 天動説は「地球が宇宙の中心だ」とする面もあります。このように考えたのにはわけがあります。 地球が丸い事は紀元前からわかっていました。地球が丸い、と言う事がわかると次に浮かんでくる疑問は、 「では何故地球の反対側にいる人は、宇宙の彼方に落ちていかないのか?」 ということです。 これを解決する理論として登場したのが、「全ての物質は宇宙の中心に向かう性質がある」というもの。 すなわち、地球は宇宙の中心であり、故に地球の反対側の人も宇宙の彼方に落ちていかないのだ、と言う考えです。 もしガリレオとケプラーが言うように地球が宇宙の中心ではないのだとしたら、「では何故地球の反対側にいる人は、宇宙の彼方に落ちていかないのか?」と言う疑問が生じます。 実はガリレオとケプラーは、この疑問に答えられなかったのです。 その謎を解いたのが、有名なアイザック・ニュートン。 彼は、これまた有名な「リンゴが落ちるのを目撃する」という体験から万有引力の法則を発見(この体験はウソとされてますが)。 「全ての物質は宇宙の中心に向かう性質がある」と言う理論を打ち砕き、「万有引力によって、地球の反対側にいる人は落ちていかないのだ!」と説明しました。 これにより地動説に疑問はなくなり、徐々に広く受け入れられるようになっていったのです。 参考文献;『ビックバン宇宙論 上』サイモン・シン/著 |
ボウリングの球が突然曲がるのは何故か? プロが投げるボウリングの球を目で追うと、球は一度レーンの端っこへ向かいます。 レーンの端っこへ向かい、そのまま落ちてしまうかな…と思うと、ピンの直前で突然の方向転換。 そして、ピンを倒してしまいます。 この世には「慣性の法則」と言う法則があり、空気も重力も何も無ければ、投げた物は真っ直ぐと一定の速度で飛び続けます。 物を転がした場合にも、真っ直ぐと一定の速度で転がり続けます。 実際には空気抵抗や地面との摩擦がありそのうち止まってしまいますが、基本的に途中で突然急カーブを描く事はありません。 では、何故ボウリングの球は、突然急カーブを描くのでしょうか? その理由は、ボウリングのレーンにあります。 実はボウリングのレーンは一様ではなく、手前と奥で"滑りやすさ"が異なります。 手前の方がツルツルしていて滑りやすく、奥に行くと摩擦が大きくなって滑りにくくなるのです。 ここに、例えば左回転するボールを右側に向かって投げたとします。 初めは左回転しつつ、右側に進んでいきます。床が滑るため真っ直ぐ進んでしまうのです。 しかしピンの直前、突然摩擦が大きくなり左向きに方向転換します。これはボールが左回転しているためです。 そして見事ストライクをとってしまうのです。 |
iPS細胞とES細胞の違い 病気などで臓器が悪くなったとき、誰かの臓器を自分に移すことを移植と言います。 しかし移植を行うと、場合によっては拒絶反応が起こり、死亡してしまうこともあります。 外から入ってきた臓器を、自分の体が「病原体」と判断し、攻撃するためです。 また、腎臓など一部の臓器を除くと、相手が死亡してからでなければ、移植することが出来ません。 こうした課題をクリアする方法として考え出されたのが、「万能細胞」です。 さて、我々ヒトはみな、受精卵から発生します。 受精卵とは、母親の卵子と父親の精子が融合して出来た、たった1個の細胞です。 そしてこの1個の細胞が何度も分裂することにより、我々の体が形作られます。 ということは、この最初の受精卵には、我々の持つ全ての臓器に変化する能力を持っていることになります。 これを利用したのがES細胞(Embryonic Stem cells、日本語では「胚性幹細胞」)です。 受精卵は分裂すると、「胚」と呼ばれるようになります。 分裂を続け、母親の胎盤に着く直前にまで成長すると、「胚盤胞」と呼ばれるようになります。 ES細胞は、この胚盤胞を利用して作ります。 胚盤胞の中には、内部細胞塊と呼ばれる細胞の集団があります。 内部細胞塊を取り出し、培養したものがES細胞です。 これは全ての臓器に変化する能力を持っているわけですから、ES細胞を上手く扱えば、好きな臓器を作り出すことが出来る……というわけです。 ES細胞(胚性幹細胞)の名前の由来は、「胚から作られる肝細胞」だからです。 「幹細胞」とは、他の細胞に変化する能力を持った細胞のこと。 幹細胞は、まず幹細胞のまま増え、その後、他の細胞に変化します。 例えば、我々の体内を流れる血液は、「骨髄幹細胞(造血幹細胞)」が変化して出来たものです。 ES細胞は、「胚から作った、あらゆる細胞に変化しうる幹細胞」なのです。 しかし、これには倫理的な問題があります。 ES細胞を作ると、それに利用した胚盤胞は、以降成長することは出来ません。 本来、胎内に宿しておけば、いずれ成長し、胎児となり、生まれて来るはずだった胚盤胞の成長を止めてしまうのです。 これは殺人と同じではないか……と言う問題があるわけです。 また、ES細胞は結局、他人の細胞です。 最初の移植と同様、拒絶反応が起こってしまうこともあります。 この倫理問題と拒絶問題、両方を同時に解決できるのではないかと期待されているのが、iPS細胞(induced Pluripotent Stem cell、人工多能性幹細胞)です。 iPS細胞は、ES細胞と異なり体細胞を用います。 体細胞とは、生殖細胞以外の全ての細胞の総称です(幹細胞も、体細胞の一種です)。 本来なら、体細胞はあらゆる細胞に変化する、と言うことはありません。 ところが、体細胞の遺伝子を少し変化させ培養すると、「あらゆる細胞に変化しうる幹細胞」になるのです。 この変化のことを、「リプログラミング」と言います。 遺伝子を変化させる方法は色々ありますが、世界で始めてiPS細胞を作った山中伸弥さんは、ウィルスを用いました。 人工的に目的の遺伝子を持たせたウィルスを、細胞に感染させ、細胞にその遺伝子を取り込ませる、と言う方法です。 iPS細胞ならば受精卵を使う必要がないので、「殺人と同じではないか?」という倫理問題は発生しません。 また、自分の細胞を使って臓器を作ることが出来るので、拒絶反応も起こりません。 体細胞をiPS細胞に変えることも比較的容易に出来るため、現在iPS細胞に注目が集まっているのです。 ところで、何度か出てきた「あらゆる細胞に変化しうる幹細胞」のことを「多能性幹細胞」や「万能細胞」と言います。 結局、ES細胞とは「胚から作る多能性幹細胞」で、iPS細胞とは「体細胞から作る多能性幹細胞」なのです。 ちなみに。iPSの「i」が小文字なのは、iPodにあやかったから、と言われています。 参考文献;CiRA(サイラ)|京都大学iPS細胞研究所【http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/index.html】 文部科学省 iPS細胞等研究ネットワークiPS Trend【http://www.ips-network.mext.go.jp/】 |